本教が常に唱うる地上天国とは如何なる世界を言うのであるか、と今更改めて言う程の事もない。御承知の如く何回となく繰返しているからで地上天国とは言う迄もなく、全人類の三大苦悩である処の病貧争の三厄除去であって、勿論此三災の主要条件としては病気の悩みである。此意味に於て今神が人類を救はんとすれば、先づ第一健康の解決から出発しなくてはなるまい。健康なくして何の幸福ぞやというべきである。もし健康を解決すべき力を有たないとすれば、如何なる宗教も科学も無用の長物でしかないといえよう。何となれば貧も争も健康の解決がなければ成立つ訳がないからである。
本教が病貧争絶無の世界などという此大言壮語は恐らく今日迄主唱した宗教も科学もなかったであろう。然るにそれを一枚看板とする本教として、絶対的確信がなければ言ひ得る筈がないではないか。もし確信なくしてそのような大それた言を発するとすれば、人類社会を欺瞞する大山師の類か、又は狂人かの二者以外の何物でもあるまい。そうして此二者の孰れかであるとすれば、例外ない程の短期間に十数万の入信者があるばかりか、日に月に入信者が漸増しつつあるといふ事は、あまりにもロジックが合はない話ではないか。故に此点を世の識者に充分考慮されん事を望むのである。
以上の如き意味に於て本教が健康問題解決を宣言し治病第一を以て進むのである。そうしてその実例を知らしむべく毎号光新聞及び地上天国に出来るだけ満載しつつあるが、之を読む限りの第三者、特に当局は固より学者も専門家も一応は疑念を起すに違ひない。何となれば其殆んどが有り得べからざる程の奇蹟であるからで、それに対し為政者も専門家もそれぞれの機関を通じて綿密なる調査を必ず行うであらう事も予想され得らるるのである。然るにその結果として未だ例のない問題発生の危険さえ含まれてゐる。それは多数のおかげばなしが真実であるか、ないかと言ふ事、若し事実ありのまま、些かの誇張や虚構もないとしたら一体どういふ事になるであらうか。問題が今日迄全世界の歴史上例のなかった故にこそ、容易ならぬ、寧ろ見当さえつき得ない事態に立到るかも知れない。
然し事実は飽迄事実であり、真理は飽迄真理である。吾々としても何を好んでそのような重大問題を捲起すべき渦中に自ら投ずる愚を行はなくてはならないかと言ふ事である。然し一歩退いて深く考ふる時、斯かる大事業こそ全く時期といふ絶対者の権威の発露でありそこに真の大愛を認めざるを得ないのである。おかげばなし中にある無数の実例をみても知らるる如く重難病者の苦悩に喘ぎ凡ゆる既成療法を用いたに拘はらず、終に絶望の淵に陥った悲惨なる人々が本教浄霊を知って、忽ちにして起死回生の喜びに遇い、感謝の言葉さえ見当らないという程の事実を、世人は何とみるであろうか。
もし之を否定したり疑念を起すものありとすれば、それは実際に触れてみないからで、もし徹底的調査を行ったその結果、事実に相違ない事を見極めたとすれば、断乎として現在の世界苦の解決に向って、本教の力を利用すべきが人間の道ではないか。然し万一にも之を雲煙過眼視するとすれば、それはその人は人類愛の欠如しているか又は事情やむを得ない境遇にある人達か、又は精神病者とみるより外、考えようがないであろう。
以上述べた論旨はあまりに忌憚なさ過ぎたとは思うが、救世の神意を体して進む吾等である以上、洵にやむにやまれぬ叫びである。
（光新聞十四号 昭和二十四年六月二十五日）