奇蹟! 奇蹟!

吾々は常に奇蹟には恵まれ通しで、知らず知らず麻痺状態になってゐる。処が今回吾々と雖も撞着せざるを得ないような奇蹟が起った事を報告しよう。

それは三月五、六、七の三日間小田原市五六七教会本部に於て春季大祭がとり行はれた時の事である。其折りの参拝者二千五百有余名が神前へ捧呈した金額が合計五拾六万七千五拾円也であったのは、流石に一同驚かずには居られなかった。五六七の下へ五十といふ数字は五は火であり、出づるであり世の中へ出て燎原の火の如く燃えるといふ意であらう。十は経緯結んで神となる文字である。どう考えても奇蹟としか受取れない。二千数百人が捧げる一人々々の誠は神様が命令されたとしか思はれない。それでなくては余りに偶然すぎ、実に神威赫々たる時となった事は一点の疑ひない事と信ずるのである。

次は今一つの奇蹟であるが、それは本月月初め渋井会長から熱海教務所へ丈三尺六寸、白鳳時代の作と思はれる木彫聖観世音菩薩の御尊像を献上された事に就てである。実に見事な彫像で国宝的のものである。処が、その運んだ自動車が静岡五六七の番号であった事は、見た人何れも唖然としたのである。而も其時の自動車代は千八百円だったといふ事である。

(地上天国四号 昭和二十四年五月二十五日)