歌集「山と水」に就て

いつも言う通り、信仰の目的は魂を磨き、心を清める事であるが、その方法としては三つある。一は、難行苦行や災害による苦しみと、二は善徳を積む事と、三は高い芸術によって魂を向上させる事とである。以上の中、最も簡単で、捷径なのは高い芸術による感化である。而も楽しみながら知らず知らずに磨けるのだから、之程結構な事はあるまい。

此意味に於て、山と水の和歌を暇ある毎によむ事である。それによって不知不識魂は向上する。魂が向上すれば智慧證覚が磨かれるから頭脳が明晰となり、信仰も楽に徹底する。それというのも山と水の和歌悉くに真善美が盛り込まれているからである。

以上の如く、私の目的は、言霊の力によっても信仰を、進めんとするのである。

(救世六十一号 昭和二十五年五月六日)