近頃智能犯の増加

近頃の新聞紙を賑はしている智能犯増加の傾向は何人も憂慮する処であるが、此原因と対策に就て吾等の見解をかいてみよう。

智能犯にも大小種々あるが、近頃のそれは大掛りのものが非常に多いのである。市井の小さな詐欺や、文書偽造、横流し等はその害毒も知れたものではあるが、多くみる智能犯は頗る規模が大きく、大会社や銀行を利用したり、大規模な横流し、役人の誘拐、高利貸の脱法行為等々中には相当社会的に知られたものも混っているのであるから、害毒を流す点も軽々に看過出来ないものがある。然らば、之等の原因は何によるかをかいてみるが何時も吾等がいうが如く唯物偏頗の教育の為である事は、今更贅言を要しない処であろう。

右の理由は頗る簡単で、見えないものを信ずるか信じないかである。智能犯を行うものの心理を解剖してみると斯うである。

世の中には神も仏もない、従而人の眼にさえ触れなければどんなズルイ事をしても差支えない、巧妙に人の眼を暗まして巧い事をする事こそ利巧者であり手腕家であるという唯物哲学の絶対信者である。処が事実は不思議にも意外な処からバレるが、彼等は唯物的解釈で之は行り方がまづかったんだから此次はもっと巧くやらうとし益々智能が発達するといふ訳で、どこまでも唯物的で善因善果悪因悪果などは愚か者のたわ事位しか思ってはゐないのである。然し何程巧妙にやっても結局失敗を重ねるばかりだが、どうしても気がつかないのは、丁度邪教迷信者と同様である。

右の事実は、本教にタカってくるユスリ輩に見て明かである。彼等は実に巧妙に何だ彼んだと本教に有利なような事を持ちこんでは誘惑する。うっかり乗ると危いからうまく逃げて了ふ。それに就て神様からの霊感によって、誠しやかな彼等の言葉も芝居もよく判るのである。一言にしていえば騙したと思っていい気になっていると、結果は相当の運動費を使って、虻蜂とらずという事になるが仲々彼等は目が醒めない。之等の智能犯者が如何に巷に溢れているかが予想外の数に上るであろう。而も相当肩書や地位のある人にも彼等に瞞され手伝いをする事もあるから油断は出来ないのである。斯様な腐った世の中としたらどうしても神様が大掃除をされなければ明るい幸福な社会は生れる筈はないと痛感するのである。

以上のような唯物思想の弊害を見れば見る程、唯心主義教育の如何に必要であるかで、此点世の識者の大に三省を促すのである。勿論唯心主義教育とは宗教の本来のあり方であるが、宗教哲学の如き一部の人にだけ理解されて、大衆には理解出来ないようなものでは実際の役に立たない。どうしても奇蹟によって見えざる神の存在を認識させ得る宗教でなくては意義ない事を知るであろう。

(救世五十二号 昭和二十五年三月四日)