おかげばなし批判 不可解な病状急変

生命を救う現実問題を

(本文省略)

此の実例に就て注目すべきは、医療である。勿論、脳膜炎には違いないが、注射をするや間もなく全身冷くなり死の状態を呈したというのは不可解である。吾等の経験上脳膜炎の初期としてはそういう事はあり得ないにみて、どうしても注射の為としか考えようがない。又他の病気に対しても注射後間もなく死んだという例はよく聞く所で尊い人命に関する以上、此の点最も慎重に診療すべき事を臨床家に希望したいのである。成程医学の新発見も肝腎であるが、現実問題の方は一そう重大事であるからである。

(救世五十号 昭和二十五年二月十八日)