ベートーヴェン

この間私は独逸映画、題名エロイカ、製作はウィンフィルム会社で、ストーリーは楽聖ベートーヴェンの中年から晩年に至る間の経路を描いたもので、近来の傑作である。始めから終り迄息もつげない程で、主人公に扮する俳優もそれらしく素晴しい演技であった。しかも聾耳になってからの悲痛な場面は、胸の迫る思いであった。処がそれを観ながら私は熟々感じた事は、この聾耳(ツンボ)の原因である。これは頭に溜っている毒素が、職業柄長い間耳に神経を集中する為、鼓膜と聴感神経との間に、毒素が少しずつ溜り固まったものであって、浄霊によれば訳なく治る性質のものである。

処が惜しい哉、年代の大きなズレと、国の異いさの為、折角の大芸術家がこれからという時、人生の幕を閉じたのであるから残念である。もっと年を貸したなら、どんな名作が出来たか分らないと思うと、返す返すも遺憾である。勿論今後も世界的偉人や名人が半途にして、この世を去る場合もあるであろうから、我救世教の神霊医術を一日も早く全世界に知らしたいと切に思うのである。

(栄光二百十四号 昭和二十八年六月二十四日)