今日の世相を熟々見てみると、不可解な点が余りに多いのは、何が為かをかいてみよう。それには色々あろうが、その第一は近頃の如く各地に大中小の火災の多い事で、その損害高も相当の額に上るというのである。これには人間に分らない何かの原因がなくてはならないと誰しも思うであろうし、その他交通事故にしても、ヤレ衝突、脱線、墜落等々、その都度人畜の被害も中々馬鹿にはならないものがある。その他最も悪質なものとしては、つまらぬ事で喧嘩、殴合い、殺傷沙汰など、人間の命を余りに軽く見過ぎる態は、普通の頭では解釈出来ない。又僅かな金を奪(ト)る為に簡単に人を殺すなどもそうで、彼の運チャンの首を締めて、僅か千円か二千円の金を奪うなど、人の命を見る事敝履(ヘイリ)の如しである。
右は男性に関する事だが、女性の方も感心出来ない事が沢山ある。その中で最も情ないと思うのは貞操観念の低下である。吾々としても封建時代のような堅苦しい事は言いたくないが、その反動でもあろうが現在のようではどう考えても行過ぎとしか思えない。近頃町を歩いても、公々然と寧ろ誇らし気にパンパン嬢が外国兵と腕を組んで横行している有様は、これ等も止むを得ないという理屈もあろうが、一種の国辱的感がするのは誰しもそうであろう。これを譬えてみると人間の肉体の汚い処は出来るだけ人に見せないようにするのが本当である。
以上は気の附いたままかいたのであるが、ではこれ等の原因は一体何処にあるかというと、これこそ吾々の神霊医学を通して見ればよく分る。それは今日の人間程薬を多く用ゆる時代はなかったであろう。つまり薬を多量に体内に入れ、一方近代文化生活は頭脳を酷使する為、薬という毒物は頭脳目掛けて集溜し固結する。その個所は後頭部及び延髄附近であるから、どんな人でも右の部を触れば必ず判ると共に、それが溶ける為の微熱も必ずある。そこでその固結が脳の血管を圧迫する為、常に軽い脳貧血が起っていると共に、微熱は脳に影響して脳の活動を鈍らす。そのような訳で今日の人間は頭が痛い、重い、ボンヤリする、焦々する、考えが纏らない、気が塞ぐ、悲観的となる、というような症状のない人は殆んどあるまい。これを医学では神経衰弱というのである。そうして薬毒の固結排除活動が発る。即ち浄化作用である。これが感冒、下痢、胃病、肺病、心臓病、不眠、精神病、赤痢、疫痢等の原因となるに対し医学では全然分らないから逆な療法を施す以上、増えるとも減る筈はないのである。処がこの原理が徹底的に分る所は我救世教より外になく、しかもそれを完全に治す方法が我浄霊医術であるから、何が何でも右の症状のある人は、先ず薬を廃めて本教へ来る事である。それによって右の苦痛は拭ったように去り、明朗愉快な人生を送り得ると共に、社会的には事故、犯罪、貧乏、争い等々解消するとしたら、これが地上天国を作る宗教でなくて何であろう。
(栄光二百十四号 昭和二十八年六月二十四日)