斯んな事は滅多にない事だろうが、左のお蔭話を見ると膚に粟を生ずるのである。この患者は勿論原因は薬毒で作ったもので、慢性胃病には違いないが、最後に至って手術をした処、胃は何等異状がなく、慢性盲腸炎であったという事であるから、その診断の軽率にも驚かされる。これというのも医学の診断法が頗る幼稚な為であるからであろう。全く呆れるの外はない。そうしてこの患者の最初からの経路を静かに検討してみると、誤れる医学の犠牲者にされた事は明かであるから、結果からいえば善意の殺人といえよう。斯んな言葉は使いたくないが、そう言わざるを得ない程の事実であってみれば、これを読んで涙なき人は恐らくないであろう。嗚呼悲しむべきは科学の迷信である。
医者の頼りなさ
霊界にて救われた主人
(本文省略)
(栄光二百十三号 昭和二十八年六月十七日)