肥毒に就て

之は自然栽培に切換えて、一、二年から三年位の間は葉が黄色く、細々とした茎などの為近隣の人々から嘲笑され、注意されたりするので、遂迷い心が出たり、恥かしい思いをしたりして、苦労する人がよくあるが、それでも収穫の段になると予想外の好結果でホッとする例はおかげ話中によくあるが、之はいつも言う通り最初の中の見てくれの悪いのは、無論肥毒の残っている為であるから、そこを辛抱すれば、遂には最初から黄ばみなど少しもなく、青々とした有肥田に勝るとも劣らない姿になるが、之こそ全く肥毒が解消した為でそうなって、初めて五割以上の増産は間違いないのである。そうなるにはどうしても四、五年はかかると見ねばならないから此点をよく心得ておくべきである。

(栄光百五十一号 昭和二十七年四月九日)