現代医学進歩の窮極

現代医学が、此儘で進歩したとしたら、結局どうなるであろうかを、想像してかいてみるが、病気は浄化作用であり、医療は浄化停止であるという事が判ったとしたら、之も予想出来ない筈はない。だが之を知らない人が、初めて此文を読んだとしたら、大いに驚愕するであろう。そうして医学が今現に行いつつある浄化停止をすればする程、病気は起らなくなるので、それを医学の進歩と思い違い、益々其方法を進歩発達させる以上、之が逆効果となって、浄化微弱な人間ばかりが増えるのは当然である。即ち弱体健康者となり、消極的健康者の社会が出来るのである。此理を判り易くする為、二つの例を挙げてみよう。近来分った事だが、腺病質の虚弱児童程結核に罹りそうなものだが、事実は反対だという事と、今一つは伝染病が高度の文明国人には少なく、文化の低い民族と、そうして下層階級程多いとされている。此事実によってみれば、前者は病気が発り得ない弱体者であり、後者は病気が発り得る健康者という事になる。としたら実に可笑しな話と思うであろうが、それが事実であってみれば、何をか謂わんやである。

そこで医学は、斯ういう擬似健康者を旺んに造っているので、之で進んでいったなら、窮極はどうなるかを考えてみるとして、今一つの例を挙げてみるが、今日何よりも医学衛生を守る人程弱く、又弱いからそうする訳でもあろうが、そういう健康者が増えつつあるのは、注意すればよく分る。之によって或程度病人は減ると共に、長寿者も増えるという妙な現象になる。近来米国も日本も、国民の寿命が延びたといって、サモ医学の進歩のように思っているが、之は前述の理由を知らないからで、吾々からみれば寧ろ憂慮すべきである。故に此儘で進むとしたら、次第々々に文化民族は消極的健康者が増え、何れは重大な結果を生む事になろう。之は私の独断ではない。現に英国及仏蘭西等を見ても肯ける。近来両国民の元気のない事甚だしく、只安逸を貪る事のみに汲々たる有様で、昔とは比較にならない程の国民性の衰えである。而も米国でさえ最近のスポーツ界を見ればよく分る如く、ボクシングなどはニグロの方が桁違いの強さである。近来我国に於ても、此傾向が見え初めたのは大いに戒心すべき要があろう。

右は現代医学の進歩の真相をかいたのであるが、では窮極に於て文化民族の運命はどうなるかというと、容易ならぬものがある。成程病人の数は漸次減るであろうが、其代り人間の元気は衰え、老人のような青年が増えるのは必至であり、一時は寿齢も延長するが、それを越えると大変な事になる。即ち今度は漸次短命となるからである。而も此短命は今日のそれとは根本的に異うから、最早挽回の道はない事になり、只生きているに過ぎない人間が大部分を占める事になろう。勿論其時代は機械文明も極度に発達し、便利な社会となるから、之が又拍車をかける事になる。其結果長い間下積にされていた野蛮民族勃興の気運となり、茲に世界は野蛮と文明の交替が始まるであろう。之こそ文化民族にとっての一大危機であり、其時になって周章てても最早遅いとしたら、今の内此誤れる現代医学に目覚め、積極的健康者を作り得る真の医学が出来なくてはならないのである。処が悲観するには当らない、何となれば神の大愛は之を未然に防ぐべく、私をして真の医学の原理と治病の方法とを啓示され給うたからで、今現に素晴しい成績を挙げつつある事である。其様な訳でやがては全世界の医学者も一般人も、普ねく此事が分るとしたら、如何に人類は救われるであろう。然し一日早ければそれだけ速く危機を免れ得られる以上、何人も今直に吾に来って、幸福の門を叩かれん事で、之を勧告して止まないものである。

（栄光百二十一号　昭和二十六年九月十二日）