大千世界と三千世界

本教祝詞の中に、大千三千世界という文字があるが、之が仏教では三千大千世界というように、反対であるのはどういふ訳かと、不思議がる人がよくあるから、茲に解説してみよう。

先づ、此両者の意味を、文字によって解いてみるが、大千世界の大の字は、宇宙全体という意味である。大とは無限大の意味で言い換へれば全大宇宙という事である。又大という字は五つの棒でなっているから、五は火であり、火は霊であり、霊は天であるから天は上になるのが本当である。処が三千世界とは、神幽現の三界を指したもので、大千世界が、三つに分離されたそれを称えたものであり、三の数は水であって、水は体である。又文字から言っても、大は一の字を引くから始めであり、三は二の次に位するものであるから、下に附くのが本当である。

又霊主体従の法則によっても、霊は上に体は下になるべきである。又今一つの解釈は、大は火であり三は水であるとしたら、大は昼の世界であり三は夜の世界となるから、仏教は夜で月の教へとしたら、今迄は夜の世界であったから、三が上になっていてよかったのである。本教は昼の世界の宗教である以上、大千三千世界というのが本当である。

(栄光八十五号 昭和二十六年一月一日)