年頭の辞

愈々、西暦一九五一年となった今日、恒例の新年御目出度いと言いたいが、どうもその気にはなれない。というのは本年程いつもと異った年はないからである。御承知の如く、昨年朝鮮動乱を契機として、第三次世界大戦が持ち上りそうな気配が見えたので、共産国家以外の国家群は大いに慌て出し、之を喰止めようとして、凡ゆる外交手段を用いているのは昨今の実状である。

処が右の如き引延し手段は、そう長く続こうとは思えない。いつかは必ず爆発するに決っている。とすれば先づ早くて今年、よくいっても来年を越す事は、恐らく難しいであろう。

而も、ソ聯の案外強腰である点や最近卜大統領の非常事態宣言といい最早大戦勃発は決定的と見なければなるまい。実に全人類は噴火山上に右往左往しているようなものであろう。勿論、今度は原爆戦争である以上、其結果たるや果してどうなるであろうか。物質の大破壊と消耗、人類の殺滅等々、其惨澹たる様相は、到底筆紙には表わせない。全くハルマゲドンの戦でなくて何であろう。

斯くして、此大破壊の後に来たるものこそ、吾等が唱える地上天国である。

(栄光八十五号 昭和二十六年一月一日)