憂欝感及び麻痺と痙攣

憂欝感には、種々の原因と種々の症状があるが、最も多いのは頸部及び肩の凝りに因る事である。之は、其項目にある如く、凝りの圧迫によって脳への送血が減少し、脳貧血になる為である。爰に面白いのは、幼児が常に機嫌がわるく憤(ムズ)かる事で、医家に於ても、原因がさらに判らないので困難するのであるが、それ等は大抵、肩が凝ってゐるのである。幼児のくせに肩が凝るとは不思議に思ふであらうが、事実であるから致し方ないのである。此場合、肩を治療するや、忽ち機嫌が治り、普通状態になるに察ても明かである。又前頭部及び後頭部等に毒素があり、その浄化作用の微熱が常にあるため憂欝の原因となる事もある。次に、胃の附近に毒素があり、その浄化作用の微熱に因る事もある。そうして此症状の原因としては薬毒が多いが、稀には霊的原因もあるから、之は霊的病気の項目に譲る事とする。

次に、麻痺は種々の原因と症状があって、最も多いのは脚気であるが、之は脚気の項目に譲る事とする。其他の麻痺としては、注射の原因による薬毒(之は手指に多いのである)と手術後疵(キズ)が治癒してから、其附近に麻痺のある事がある。之等はいづれも放置しておけば時日を経るに従って僅か宛(ズツ)自然治癒するものである。又、中風が原因で局部的に麻痺する事がある。之は容易に治癒し難いものであるが、罕(マレ)には自然治癒するものもある。

次に、痙攣には二種の原因がある。一は、最も急激な浄化作用であって、それは急性高熱の場合で特に脳疾患に多いのである。又、胃痙攣、腸痙攣等も急激の浄化作用である。そうして、幼児の痙攣の場合、その苦悩の強烈なる為、危険をさへ感ずるのであるが、痙攣が致命傷となる場合は殆んど無いといってもいいので、大抵は時間を経れば恢復するものである。

次に、今一つの原因は、霊的であるからその項目に説く事とする。

(明日の医術 第二篇 昭和十七年九月二十八日)