私は、昨年、世界救世教教祖の教えを纏めてみよ、との御指示を受けたのでありますが、さて編纂に手をつけてみますと、教祖の教義が如何にも深遠で、而もその説かれる所が、霊界・現界の両方面と、その関連性から更に、芸術・文化等の各方面にまで、極めて広範囲に及んでいますので、それ等全般に渉り検討せねばなりませず、なかなか容易の業でない事に気づいたばかりでなく、現に続々と御講話を発表されておりますので、それらを綜合し分析して、逐一吟味するには多年の歳月を要することを痛感いたしました。若し強いて筆をとりますと、結局その全貌を尽すことが出来ず、冒瀆の罪を免れません。

考えて見ますと、キリスト教でも、また仏教でも、その教義は皆教祖一〇〇年の後少くとも幾百年後に編纂されております。私如き非才の徒が、短日月の間にかかる大業を完成しようとすることは、全く冒険であります。自己を偽り、換骨脱胎のお粗末なものを作りあげて、教祖の徳を害うことは、到底私には出来ないのであります。

調べては考え、考えては筆をとり、筆を執ってはこれを破棄し、また調べ考え直すという苦悶の連続半歳。寧ろ率直に、これを告白して、生涯をこの大業に没頭せんと覚悟したのであります。

而しながら、教義解説の編纂要望の声は信徒の間に漸次高まり、又信徒以外の人々からも盛んに勧められますので、進退谷まった私は、先ずわが世界救世教が今重点をおいて力説し、且つ実行に懸命の努力を注いでいます、病・貧・争なき世界-即ち地上天国建設の真趣旨についての解説を発表し、続いて第二、第三と漸をおうて解説を公にして、これらの要望に応えます事をお約束して、その責を塞ぐことにいたしました。

(世界救世教教義解説 昭和二十六年六月一日)