昭和二十五年一月
“正月に雑煮を喰べて祝ふ由来について――昔、国常立尊を押し込めた事と関係があるとも聞いて居りますが如何でせうか。
“この国常立尊の事は大本教で言ふんですがね。国常立尊は艮の金神とも、又鬼門の金神とも言ひますが、その国常立尊を押し込めてその臓腑を煮て喰った事から雑煮を喰べるんだって言ふんですが、これは嘘とも思へないし、又本当とも思へませんね。
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“正月に御供餅を十一日まで御供へしておくのは何故でせうか。
“昔ね、これは或は江戸だけかも知れませんが、商人が正月に仕事を休んでて、十一日から商売を始めたんです。で、この日を「蔵開(クラビラ)きの御祝」って言ふんですよ。十一日まで鏡餅を御供へするのはこれから起ったんでせうね。
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“過日の御論文にて、もはや仏界が全くなくなった由ですが、そうなりましても幽世大神様の御名前はそのまゝで宜しいのでせうか。
“これはね、「全く」なってしまったんぢゃなくて、なりつゝあるんです。一ぺんに昼の世界になるんぢゃなくて、だんだんになって行くんですから、丁度、太陽が段々に高く上る様にね。ですから、まあ仏界の移動が始まったといふ所ですね。移動だって一日や二日ぢゃ出来ませんからね。ま、「昼の部に入った」といふ訳です。幽世大神の御名前は無論この通りですよ。幽世大神は霊界が昼になったってありますからね。――それから、今迄は第三天国位しかなかったんですが、今度初めて最高天国が出来るんです。その反対に最低地獄といふものもなくなって来るんです。まあ、キリスト教でいふ「煉獄(レンゴク)」、仏教でいふ「無間地獄(ムケンヂゴク)」、神道の「根底(ネゾコ)の国(クニ)」といったものはなくなって来るんです。これを現界で言へば、例へば牢屋なんかなくなる、重い罪を作る様な人が居なくなりますからね。そうなると一番重い刑罰は重労働といふ事になるんです。だから、地下へ入って石炭を掘る事や火夫の様な苦しい仕事が重刑になるんです。悪い事をする人が居なくなるから重い刑罰もなくなるんです。
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“恵方詣りには大将軍を避ける様ですが、大将軍について御伺ひ申し上げます。
“大将軍ってのは国常立尊の息子で、ま、長男ですね。○○教は大将軍が神懸ったと言はれてますが、それに違ひないでせう。大将軍は神代の頃は余り性質がよくなかったんです。今でいふドラ息子的だったんで、親父から勘当されてしまったんです。(笑声)然し、後になって改心していゝ事をしようとして開いたのが○○教だといふことですね。○○教ではこの事を知ってるかどうですかね。まあ、知ってゐたって言はないでせうね、値打ちがさがっちゃふから。(笑声)で、大将軍ってのは国常立尊のあととりだから、やっぱりおっかない方の神様なんです。国常立尊は始終私を守護してくれてますし、それから又、観音様の御本体は国常立尊ですからね、だから邪神共が怖がって世に出ない様にしてるんですよ。新聞なんかゞ盛んに観音教を悪く書き立てゝるのもこの為なんですね。そして又、今迄鬼門が悪いといはれてたのも同様の意味ですよ。
“大将軍の方角は三年づつとか申しますが――
“いや、一年でせう。
“朝鮮や支那でも大将軍といふ事を申す様ですが、これは同じでせうか。
“えゝ、同じですね。
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“賭博心理といふものは生活を強く支配する様に見られ、先進国でも盛んの様ですし国内でも賭博は勿論株や戦後の宝くじ、競馬、競輪等のスポーツもこの心理に左右されて居りますし、更に企業や、地位名誉を得る為に一種の投機的心理の動きによる場合も多い様に存ぜられます。又、捨鉢的な生活態度もその影響の様に考へられます。将来昼の世界になりました場合、かゝる賭博心理や之と関聯ある様な好奇心、多くの恋愛、冒険、投機心等はどの様になりませうか。
“投機心理は将来ずっと減りますよ。これは悪ですからね。その代りスポーツはずっと盛んになりますね。それから、冒険や恋愛は変りませんね。然し、恋愛だって女房があるのに外に女を作って、女房をおッぽり出す様な事はないですね。そんな風な邪恋はなくなるんですよ。人を苦しめるのは邪恋ですからね、だからいけないんです。
“賭け事などは如何でせうか?
“賭け事は損した人が苦しむんだからいけませんね。ま、宝くじ位はいゝでせう。それから、株もいゝけど、相場の為に株をやるのはいけませんね。投資として、余ってる金を投資してその歩合を貰ふ事は差支へありませんがね。競馬や競輪なんかは賭け方が今のやり方と違って来るでせうね。例へば、入場料をもっと高くして、馬なら馬に札を入れてそれが当った場合に賞金が貰へる――といふ風になるでせうね。こういふ方法なら当らなくても大して損はしませんからね。捨鉢的な気持なんかはそういふ悪い事をするからなるんです。だから昼の世界になれば、要するに邪悪が減って来るんです。人間には投機心や競争心があるんだから、それをいゝ方へ向ける事が必要なんですよ。
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“歌舞伎役者の女形(オヤマ)やオペラの男役になる婦人は霊的に意味がございませうか。
“大いにありますね、つまり女形になる様な人は女の生れ代りなんですよ。だから、いゝ女形になると「のどぼとけ」がないって言はれてますね。以前新派の某といふ役者は「のどぼとけ」がなくて全く女でしたよ。オペラの男役なんかも男の生れ代りです。ターキーなんか男だったんですね。(笑声)だから女に人気が出るのは女がその「男性」に惚れるんです。同様に同性愛なんかも、二人の中の一方が男になり他方が女になるんですね。だから「あんな男みたいな女のどこが一体いゝんだらう」なんていふ様な女が女学校ではモテるんですよ。(笑声)
“生れ代った当人は異性を嫌ふものでせうか?
“そうなんですね。――私も前世は女だったんです。だから私の体は毛が少くて、丁度女の膚(ハダ)の様ですよ。(笑声)釈迦も変性女子だったんですね、だから独身で居られたんです。まあ、女の分子が多かったんですね。そのくせ、お釈迦さんは女を汚らわしいもんだなんて言ったけど、あれはお釈迦さんとしてはムゴイですね。(笑声)(御光話録第三号参照)
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“三十四才の男、七年前胃の附近が歩行の度に軽痛を感じ尿が少量づつ一日十数回出ました。次第に肝臓も痛み出し便秘する様になり、医師は肝臓にアメーバー赤痢が入ったとて相当注射を致しましたが効果がありませんでした。昭和二十二年十一月入信致しましたが、現在左右肩胛骨、脊柱両側、肝臓等に痛みあり、御浄霊頂きますと腹部全体に膨脹を来し嘔気を催しますので人工嘔吐を致して居りますが、一、人工嘔吐の是非、二、腹部が急速に膨脹する原因について御伺ひ申し上げます。
“ま、これは毒が背中にあって歩くと胃へ還元するんですね、これはもと服んだ薬ですね。尿が一日十数回ってのは少し多いけど、大した事はないでせう。
“少しづつ出ます。
“出たくなるんですね?
“はい、出たくなりますが少ししか出ません。
“こりゃあ、何だな、膀胱と尿道の間に毒があるんですね。けど、こんなの何でもないですよ。肝臓の痛みもそこの毒の為ですし、便秘は……この人食事は?
“少うございます。
“あゝ、少いから便秘するんですよ。けど、便秘なんかは差支へありません、却って世話なくていゝでせう。(笑声)医学では便秘は悪いって言ふけどそんな事はありませんよ。私も毎日便所へ行くのは面倒くさいから便秘しようとしてやってみたんですが、やっぱり出来なかったですね。(笑声)アメーバー赤痢なんてのはデタラメですね。この人は一寸当分の間悩むでせう。薬の性質や濃淡は判りませんが、浄化しますね、劇痛は浄化ですからね。それから、毒が溶けてもそれが濃い場合には暫く溜ってるんで腹がふくれるんですね。嘔吐は背中の毒が胃に還元してそれが出て来るんです。だから人工嘔吐は差支へありません。何れだんだん毒が減るにつれて治りますよ。
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“七十三才の老人、十年前より尿道狭窄の所昨夏より腰が痛み尿が流れる様になると共に臍の直下が瘤の様に隆起し出し、普段は固く排尿するとゴムマリの様に柔かく小さくなります。之は治りませうか。
“この尿道狭窄ってのは昔痳病をやった人がなるんです。痳病ってのは苔みたいなもんでね、発病すると動物になり、治ってる間は植物ですからね。この人のは痳菌が植物性になって固まってゝ幾らかふえでるんですね。それから小便の濃い人や薬毒の多い人は小便のカスが溜って狭窄になるんですから、尿道をよく浄霊すればいゝんです。腰の痛みの方は腎臓をよくする事ですね。尿をたれ流すのは尿道の神経が苔のために麻痺してるんだし、臍の下の瘤は一寸薬毒がそこへ溜り、やがてそれが小便になって出るんです。だから少し気永にやってれば治りますよ。この位の年になると腎臓が萎縮して働きが悪いから、腎臓をよく浄霊する事ですね。
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“従来、発芽促進のため稲、麦等を浸水致して居りますが、こうした処置はその後の作物の生育にどの様な影響がありませうか。
“これは、普通はしなくたっていゝんですが、空気や土地が乾燥してる所では水に浸すと発芽が早いですね。よく湯殿の湯につけるといゝって言ひますがね、まあそうしなくったっていゝですね。といふのは植物にはすべて適季と言ってそれに最も適当した季節があるものなんです。だから、季節に遅れたりした時には水に浸して発芽を早めたらいゝでせうね。
“農村では習慣的に浸水をやって居りますが……
“ありゃあ、嘘ですよ。今言った様に作物にはちゃんと適した季節があるんだから、早く蒔けば早く育つかって言ふと、そうでもないんです。私も以前枝豆でやってみた事があるんです。一度に種を蒔くと一時に沢山穫れてしまって喰べきれないから、二十日おきに種を蒔いてみたんですよ。順々に穫って喰べられる様にって、こういふ訳なんですがね。そしたら早く蒔いた方は余り出来なくて、遅く蒔いた方が沢山出来たんですよ。ですからこういふ風にね、気候の暑い寒いや何かいろいろ原因があるから試してみるんですね、そしてその土地に一番いゝ方法をとる事ですね。
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“田舎では暦を規準にして種蒔きを致しますが、之は差支へないでせうか?
“差支へますね、何故かって、土地によっていろいろ違ひますからね。昔は田舎の方は余り開けてなくて、開けた所だけあの暦を利用したんです。だから暦の廃止はいゝ事ですよ、すべてが世界的になって来たんですからね。
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“土素中に含まれて居る窒素、燐酸、加里の中、窒素は空中に含まれてゐるとの事ですが、燐酸や加里も空中に含まれて居りませうか。或は土中のみに含まれて居るものでせうか。
“これはね、窒素ってのは土霊、地霊ですからね、こんなかに一切のものが含まれてゐるんですよ。酸素は火の霊、水素は水の霊、窒素は土の霊ですね。そして、窒素は始終地上から発散して空中に溜り、その溜ったのを今度は雨が下へおろすんですね。そして地中に入る、これを繰返すんですが、それで丁度いいんです。今は空中から窒素をとって肥料にしてますが、こんな事をやると窒素が多過ぎてしまふんです。一時はいゝけど暫くすると却って土がやせて来てしまふんですよ。この事は本にも書いたでしょ。窒素肥料はドイツが第一次大戦の時発明したんだから、急の間に合はせる為ならいゝけど、普段之を続けてては土がやせてしまっていけないんです。そういふ訳で、地霊の中に燐酸も加里も皆含まれてゐるんですね。何よりの証拠はね、今年の稲作が思ったより出来なかったんです。不作だったんですね、最初の予定より一割位減ってますよ。この一番の原因は虫の害なんですよ。で、虫は肥料から湧くんですからね。だから、戦争中は肥料が足りないから出来ないって言ってたんですが、今度は肥料が多過ぎて虫が湧いて出来ない――実にバカなもんですよ。(笑声)
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“一年中で一番日の長い夏至、一番短い冬至の暑寒はその日が最高である筈ですが実際はどちらも一、二ケ月後が最も劇しい様に感じられます。之は何故でせうか。
“夏至と冬至とは寒暑の関係は次で、それよりも日の長い短いって事なんですよ。夏至の時は太陽が丁度真中を通り、冬至の時は一番端の方を通るんですね。寒暑の劇しさがずれるのは、地球が息を吐く時と、太陽の通る道とずれて来るんです。そしてこれはずれてゐていゝんですね。若しずれてなければ、暑い時には物凄く暑く、寒い時には又非常に寒くなるから、まあ、神様がそういふ風に作られたんですね。
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“最近の新聞に太陽の二十七倍の高熱の星が米国で発見され、この星が太陽と同じ位の距離にあれば地上の生物は残らず焼死するとの事ですが、之には霊的の意味がございませうか。
“これはデタラメですよ。太陽より熱いのなんて絶対ないんです。学者ってのはいゝ加減な推定でやるんで全く始末が悪い。(笑声)又、太陽と同じ距離っていってもそんなものはある訳がない。火星に人間がゐるとか、月世界へ行くなんて事もよく言ひますが、あんな事も絶対に嘘で生物が居るのは地球だけであり、月世界へも絶対に行けないんです。行けると思って研究してる人は、ま、一種の道楽ですね。(笑声)月ってものは氷結してるんですからね、月世界へ行ったら氷結してしまいますよ。
“宇宙の大きさについて御伺ひ申し上げます。
“あゝ、これはね、誰でも疑問に思ふんで、私もそうですよ。この大宇宙は無限で、全く限りがない。ですからね、この事が大した事なんだってよく言ふんですよ。そして宇宙の構造は大きい方も小さい方も限りがない。小さい方の黴菌だってどこまで細いか判らないし、原子力の微粒子だって同様です。中間子なんて大きい方ですよ、今の顕微鏡で見えるんですから。浄霊する時この掌から出る微粒子だって非常に細かくて原子と同じですよ。私も今度書きましたが、中間子よりもっと細いのが霊子です。そしてその霊子の中でも一番細いのが神霊子なんですね。更にその神霊子の中にもいろいろあり、その神霊の階級にもよるんですが、細い程強く、見えない程無限の力がある。この事はなかなか簡単には説明出来ないけど、いづれはもっとはっきり判る様になるんですよ。この大宇宙は一寸想像出来ませんね、何しろ突き当りってのがないんだから。(笑声)けれども、この大宇宙の中心は地球なんです。要するに、こうして万物を存在させ、生きてるものゝ生命を持続させる為に日月星辰があるんですからね、宇宙の日月星辰等はすべては地球の為にあるんですよ。ですから、この点が判ると地球は実に値打ちがあり、本当に尊いものであり、そして更に、この地球をよくしてゆく人間も実に尊いものである事が判って来るんですよ。けど、そいつが判らないから人間を軽蔑するんです。まあ、あんまり汚いから軽蔑する様にもなるんで、こういふ事が判ると人間ももっと立派になるんですがねえ。……
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昭和二十四年
“祝詞の「惟神霊幸倍坐世」の意味について御教示下さい。
“「惟神」っていふのは神様に従ふ、神の御心のまにまに、神に倣(ナラ)ふっていふ事で、それから「霊幸倍」は魂の幸ひが倍になる、だから魂の仕合せを多くして、魂をふやして頂き度いっていふ事で、神道で「御霊のふゆを幸ひ給へ」っていふのがありますが、之は魂を大きくふやして頂きたいっていふ事なんで、だから同じ事ですよ。 肉体にも痩せたのと太ったのとがあるように、魂にも痩せたのと太ったのとがあるんですよ。そして魂は太ってなくちゃいけないんです。肉体の太り方とは違って、魂が太ると驚く程非常に大きくなるんです。よく物に怯(オビ)える人や、恐怖症の人は魂がやせて萎縮してるんです。今まで恐怖症だった人がこの信仰に入ると、そういふ事がなくなりますよ。魂が太り、魂の量が殖えるからなんですね。そうすると、外界の影響や刺戟をはねつける力が強くなって、割合に恐怖心も起きず、物に怯える事もなくなるんです。そうすると、あの「図々しい奴」は魂が太ってるのかって言ふ事になりますが、(笑声)これは又違ふんで、あゝいふのは太ってることは太ってるんですが動物的な太り方なんですよ、質が悪いんですね。(笑声)神様の方のは質がよくて太るんですからね。
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“観音様の御姿はよく拇指と人差指とで丸く輪を作って居られますのを拝見致しますが、これには意味がございませうか。
“えゝ、これにはいろいろあるんで、拇指と人差指とで丸を作るのや、拇指と中指とで作るのがありますね。拇指と薬指は余りない様ですね。この意味もいろいろ説がありますが、けど結局これは魂ってことを表徴するんです。そこで、私は以前観音様の絵を描いた時に、本当の玉を右の手の上にのせて、左でこういふ具合に拇指と中指で丸く書いたんです。ある説では、中指は一番不浄な指だ、汚い所を拭くのに中指を使ふ、だからこういふ風に中指を隠すんだなんて言ふんですがね。要するに、丸い形は同じ事なんで、右手に玉、左手の指で丸く輪を作ることは霊と体になるんですよ、そういふ意味で私は描いたんですがね。だから、これは魂を象(カタド)るっていふ訳なんです。又、広く考へるとね、どんなにでも考へられるんです。宇宙は丸、地球が丸、太陽も丸、それから魂はすべて丸くなって移動しますしね。あらゆるものは丸でいゝ訳ですね。
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“幽世大神は神幽現の三界の中、幽界の主宰神であらせられるのでせうか。又、幽界とは中有界と地獄界とを指すのでせうか。
“この幽といふ字は両方に使へるんで、幽冥界ともいふし、幽庁っていへば閻魔の庁で地獄だしね。私は外にいゝ字がないんで、幽玄界っていふ風にいゝ方に使ってますがね。つまり、幽玄微妙っていふやうなことで、霊界の感じを実によく表してゐる字なんですね。だから、幽界は地獄界の方に多く使はれますが、地獄界許りでもないんですね。それから、幽世大神って方は幽界を直接支配されるんで、従って現界の方は間接的ですね。そして閻魔大王が幽世大神様だったんです。閻魔大王の御本体は国常立尊なんですがね。所が、国常立尊は現界の方の仕事をされる様になったので、――これは最近の事ですがね、――そのあとに大国主命が後釜になって居られるんです。で、大国主命って神様は極くおとなしい神様で、まあ神様の二級どころですが、国常立尊は一級の神様で、素晴らしい御力を持って居られるんです。それで、今でも全く交替された訳ぢゃなくて、やはり国常立尊が一部を司って居られるんです。五六七の御世になれば大国主命で沢山ですがね、今は未だ兇党界の邪霊が働いてますからね、これには国常立尊でなくちゃいけないんです。兇党界の親玉でも国常立尊にはかなわないんで、国常立尊を非常に怖れるんですよ。
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“本教信徒の祖霊は神界に入る事を許されませうか。許されます場合その順序は如何様でせうか。
“これは少し本教を侮辱してますね。本教の信徒こそ神界へ行く事が出来るんですよ。他の信仰でも行けない事はないけど、手数がかゝって仕様がないんです。この信徒だと非常に簡単に神界へ行けるんです。この事は大事な事だからよく認識しなくちゃいけない。神界へ行く場合、祖霊はもう霊界に行って居て仕方がないから、今残ってる家族とか縁の繋ってる人が人を助けて徳を積みいゝ事をすればするだけ祖霊は早く神界へ行けるんです。その順序は、祖霊が地獄に居れば地獄から八衢へ、次で八衢から神界へと上って行くんです。その時各界に階段が夫々六十段づつあって合計百八十段に分れてゐるんです。更に六十段が二十段づつ三つに分れてゐて、それをだんだんに上って行くんですよ。
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“私の主人は戦死致しましたが、昨年秋或人が私宅へ来た時その人に亡夫が見え、「私は今妻が励んでる信仰のおかげで人間として最高の地位にのぼる事が出来た」と申したそうですが、この最高の地位とは何でせうか。
“これは天国ですよ。天国でも一段、二段、三段に大別出来るんですが、この最高の地位は第三天国で、第三天国も三段に分れてゐるんで、その一番上に行ったんでせうね。第二天国っていふのは神格のある人が行く所で、人間でも霊的因縁が高級の人でなければ行けないんです。第一天国は普通の人間は絶対に行けませんね。
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“私は昭和廿三年七月入信、十二月御神体を頂きましたが何れも妻の諒解を得ずに致しました。約十月程遅れて妻も入信致しましたが翌日御守りを外し、間もなく私が本部に泊めて頂いた事に腹を立て翌日御守りに御無礼致しました。私は驚いて、大先生様の御写真、御神体に御詫び申し上げました。之は私の罪でございます。どうぞ御許し下さいませ。
“これは御詫びですね。
“それが、御光りを破いてしまったのでございます。
“破いた? 誰が? この細君がですか?
“左様でございます。御光りを破いて丸め、焚付けにしようとしたそうでございます。
“ほう――何か他の信者なんですか?
“以前他の宗教をやった事がある様でございます。
“御光りに御無礼したってのはそういふ事ですね?
“左様でございます。
“で、奥さんが教修受けてからですね?
“はい、前の晩主人が外に泊ったので嫉妬もあった様でございます。どうもその細君には狐霊がついてゐる様でした。
“その御亭主は前に何か信仰してたんですか?
“何か稲荷を信仰して居った様でした。
“ま、神懸りぢゃ仕方がない。然し、改心しなけりゃいけませんね。けど、こういふのは細君がよく判らない中に無理に教修を受けさせたんぢゃないですか?
“そうらしうございます。
“そうでせう、それがいけない。破いて丸めるのは当り前だ、むしろ丸める方が本当ですよ。決して無理に教修を受けさせちゃいけない、命令的に信仰させるのは絶対いけない。いくら妻でも子供でも押しつけるのは絶対にいけません。信仰ってものはその人自身の心に湧き起ったものであるべきなんです。どうしても教修受けたい、已むに已まれず御光りを頂きたいっていふんでなけりゃ、受けさせてはいけません。御義理や命令で教修を受けるのは、神様に対して大変な御無礼ですよ。そういふ人が御守りをかけると御守りが穢れますよ。そんなのは御守りを非常に安ッポク扱ってるんです。神様を安ッポクしてますよ。御無礼も甚だしい。そういふ者に御守りを与へるなんて飛んでもない事です。まあ、これはこのまゝにしといて、この細君が大変悪い事をしたと心から覚って、どうしても信仰に入れて頂きたいと気がつく迄はそのまゝにしといていゝです。――これは重大な事ですからね、一寸した考へ方で非常に違って来ますから、こゝんとこによく気をつけなくちゃいけません。間違った考へ方と言へば、この間も或る人が火事に向って浄霊したら、風向きが変って大難が小難で済んでしまった。所がその人は「これは焼くべきものを焼かずに済ましてしまふんだから悪いんぢゃないか」って言ってましたが、そうぢゃない、非常にいゝ事なんです。つまり、それが神の慈悲なんですよ。悪人も助けなくちゃいけないんです。火事が起ったっていふのはそこが穢れてゐるからそれを浄化するために焼かれるんですが、浄霊すれば曇りが消えて難を小さくして頂けるんです。不仕合せはこの浄霊によって消滅するんです。何事でも、人間の苦しみを減らす事は神の慈悲なんですから、余計な事は何も考へないで、無意識に、たゞ可哀想だからやってやる、それでいい。無意識でいゝんです。それが已むに已まれぬ慈悲なんですよ。そして、そうする事が又、神様の御旨に適ふんですよ。
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“御守りの「丶」の意味について御伺ひ申し上げます。
“これは、天から最高の霊、神様の御霊が御降りになって人間を御救ひになられる事なんです。――大本教では一厘の御霊って言ひますがね、今までは九分九厘の世の中で、そこに一厘の御霊が天から降って十になる。そうなった世の中が神の世だってありますが、之は非常に面白いですね、又それが本当なんです。だから、この「丶」を御光りのなにゝ書いたんです。「丶」のいはれは簡単なもんぢゃありませんからね、何れ又、詳しく話しませう。
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“人以外の生物や無生物に御浄霊しても素晴らしい効果がありますのはどういふ訳でせうか。例へば農作物は増収で品質がよくなり、味噌醤油は味がよくなり、蜜柑は甘くなり、鉈はよく切れる様になるのはどういふ訳なのでせうか。
“浄霊をするとね、すべての曇りが取れて浄化するんです。浄化するとね、何でもすべていゝ働きをする様になるんです。人間以外の生物、動物でも病気するのはやはり曇りがあるからなんで浄霊すると曇りが除かれるから治るんです。つまり、森羅万象一切のものは曇りがとれると「力」が出て、その物本来のいゝ働きをするんです。 農作物がよく育たないっていふのはそこの霊界が曇ってるからなんです。悪い曇りって言ふのは、つまり水素で冷たいんですから、そこの霊界が冷たいんですよ。所が、この浄霊は火素を放射するんですから霊界が暖かくなるんです。だから、光明如来様を御祀りするとそこの田地はずっとよく出来る様になるんですが、これは、光明如来様から光が放射されてその人の範囲だけ明るくなるんです。光は火素が多いんですから、光が沢山行くとあたゝまるから、そこでよく出来るんです。それから虫とか黴菌なんかも火素にあふと、いろんな作物を災ひする力が弱るんです。だからよく出来る、とそういふ意味なんです。食物の味がよくなるとか、鉈がよく切れるとかいふのも同じ理窟なんです。すべてね、浄霊すればあらゆるものが、悪いものは減り、いゝものは多くなる。で、その用途がよくなるんです。だから、浄霊すると、すべて人間の幸福を増すべき働きをする様になるんですよ。
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“本教発展の為の参考として、又インテリに説明する為の予備知識としての他の諸宗教や道徳科学、心霊科学等を研究したいと思ひますが如何でせうか。
“この、道徳科学だとか心霊科学なんていふのは低級なんですよ。私から見るとまるで子供だましなんです。こんなのは参考にするなんて馬鹿々々しくて出来ませんよ。それよりかこっちには奇蹟があるんだからその説明をした方がいゝですよ。この間も或る宗教団体に入って呉れって来ましたがね、これはあらゆる宗教を網羅してゐて時々集合をやってゝ、ま、悪い事ではないんで入ることにしたんですがね。今の宗教は、仏教にしろ何にしろ先に行ってどうなるかって事がこっちにははっきり判ってますからね。だから、いくらこんな事をしたって無駄なんですよ。……奇蹟に対する説明は今どんどん説きつゝあるんですよ。いろんな印刷物に発表して行きますからそれをよく読めば沢山ですよ。宗教ってものはね、「奇蹟」なんです。奇蹟だけが宗教であとは理窟なんですよ。心霊科学だって現象だけで、その説明はないんですからね。心霊研究は西洋の雑誌にもいろいろ出てるし、日本にもいろんなのがありますが、みんな似たり寄ったりですよ。それからね、心霊現象で出て来る霊は全部八衢以下の低級な霊なんです。だから、一通りの理窟が判れば必要ありませんね。高級な神様はそんなのとはまるで違ひますからね。
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“私は数年前御守りを頂き職業(漁師)の傍ら御救ひの御手伝ひをさせて頂いて居りましたが、最近御救ひの方が多忙になり殆ど漁師の方は出来ません。そこで御道一方だけで進みたいと思ひますが、家族や親類が強く反対して居ります。如何致したら宜しいでせうか。
“こりゃあ、御救ひ一方にしたがいゝですよ。家族や親類の反対は全然構はなくていゝですよ。それにこの人は「御救ひの方が多忙だ」って言ふんだから。私がそうでしたよ。皆反対だったんですが、私は頑としてそんなのに耳を傾けずにやってたんです。実際、この位立派な、いい事はないんですからね。魚をとって人に喰はせるよりか、この方がいゝですよ。漁師をやる人は他に沢山あるんですしね、これで人を救った方がどんなにいゝか判りませんよ。――職業を選ぶ場合だってそうですよ。どっちが世の為になり、多くの人が幸福になるかを考へて、こっちの方がいゝと決ったら、誰が反対しようとどんどんやってくんですよ。私だってそれで押し通したんです。よく、当局が調べるとか、弾圧されるとか、医師会が妨害するとかいろいろ聞きますがね、私はそんなの何とも思ひませんよ。何故って、私のやってる事の方があっちでやってる事よりずっといゝんですからね、それを止めようとするのは悪いんです。正しい神様が居られる以上悪が勝つなんて事は絶対にないんですからね。 それから又、こっちが確固たる信念を持ってると反対者はなくなるもんですよ。反対者があるとか、いろいろ妨害されるのはこっちに未だ隙がある事も多いんです。いくらかでも迷ひとか弱い所なんかゞあると、そこを狙って――やはり霊ですからね、邪神が邪魔するんです。こっちが十が十決心して隙がなければ、邪神はどうにも出来ないんです。そうなると反対する者も諦めますよ。そしてその中に「あゝあれは成る程いゝんだな」っていふ事が判って来て、お辞儀をして来たり、賛成したりする様になるんですから、この人も家族や親類の反対なんかにはビクともしないでやっていゝですよ。
“私の家は代々浄土真宗であり、私共夫婦は本教を固く信じて居りますが親が反対致します。この場合私共は親や真宗に対しどの様な態度をとったら宜しいでせうか。
“これも今言った通りでいゝんです。然し、故意に先方に反対したり、悪く言ったりするのはよくないですよ。だから、出来るだけ穏かにしといて、こっちがずんずんやってけばそれでいいですよ。こういふ風に反対する者が大抵はあるもんですね。又、反対するのもよく知らないんだから無理もないんですよ。実際、新しい宗教にはインチキなのや邪教が多いですからねえ。……私が今やってる様なものは、とに角今迄にはないんですからね。例へてみればね、今迄のはみんなガラス玉だったんですよ。そしてそのガラス玉を本当のダイヤだと思ひ込ませようとしてたんですよ。だから、ガラス玉に混って本当のダイヤが出て来てもそれもガラス玉だと思ふんですよ――既成宗教は、まあ、ニセぢゃないけど、ごく力が弱かったんで、金メッキ位のとこですね。年月が経てばやはりメッキは剥げますからね。今、いろんな宗教に力がないのはメッキが剥げて来てるんですよ。然もその通りの事を釈迦も説いてるんですからね。釈迦は、この世は仮の娑婆だと言ってるし、いづれ仏滅の世が来るって、仏教の御本尊がちゃんと予言してるんです。だから釈迦を信じてるとしたら、私の言ってる事は決して違っちゃいないんですがね。まあしかし、そう始めっから言ふと、先方は怒って、邪教だのインチキだのって言ひますからね、余り言はずにどんどんやっていけばいゝんですよ。
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“私は入信以来一心にこの御道を人にすゝめて居りますが、今少しの所でどうもはかばかしく参りません。これは如何なる因縁でせうか。
“これは焦らないことですよ。この人は未だ入信して間がない様ですから、まだまだ人を信仰に入れるだけの力がないんですよ。段々年限が経って来るとコツを覚えて来るんです。最初のうちは無暗にやりますがそう効果はありませんよ。所が甲羅を経てくると狙ひ打ちをする様になるんです。一寸話してみてその人が耳を傾ける様だったら更に突込んで話をするし、先方にそれ程気がない様だったら話をやめる、そういふ風にすると無駄が無くなり効果があるんですよ。そして話をするにしても、先方の心が動く様な話と、心が動かない話とありますからね。経験を積むとその急所が判って来て、一寸急所を衝くだけでいい様になるんです。それから、先方が字の読める人ならこの道の本を貸して読ませるとかね、とにかく一つのコツが判って来るんです。そうなるとスラスラ面白い様に信者が出来るんです。この人も未だ新しいんだから、焦らずに今言った様な事を注意してやってくことですね。
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“正守護神はその人の身辺にて守護してゐるとの御言葉ですが、霊の見える人には正守護神も見えるのでせうか。
“正守護神は余り見えないですね。却って動物霊とか死霊なんかは見えますが、正守護神は先づ見えませんね。霊は霊界に長く居る程浄化され稀薄になるから見えなくなるんです。だから幽霊なんかになって出て来るのは、霊界に来て間もない浄化の不十分な霊なんです。それに執着が強い程益々濃いんです。所が、正守護神になる位のは執着のとれた霊ですから稀薄でなかなか見えないんですよ。たまたま見えるのは正守護神の命令で働いてる狐などが見える事はありますがね。
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“浄霊した場合、本守護神、副守護神が浮き出して変った動作をする事があるでせうか。
“本守護神と正守護神は決して浮かないんです。浮くのは副守護神だけですよ。変った動作は副守護神の動物的本性なんです。ペラペラ喋るのは狐ですよ。狐ってものは休みなく喋り続けるんですからね、面白いもんですよ。ヒステリーになった女はとても喋りますが、あとで聞いてみると、そんな事言ったのかって言ひますが、あれは霊が浮くんで自分では判らないんですね。……それから、浄霊されて浮き出して来るのは苦しいからで、苦しくて落ちついて居られないんですね。所が、その人が浄まって来ると副守護神の力がだんだん弱るから、そういった変な挙動は次第になくなるんです。人間は霊が浮かないのが本当ですがそうかと言って浮かない方がいゝと許りも言へないんです。浮かないのでも、浄まってゝ浮かないならいゝんですが、毒が余り多過ぎて感じなくなって浮かないって人もありますからね。丁度、毒素がなくなって健康な人と、毒素は沢山あっても、それが固まってゐる外見だけの健康な人とある様なもんですよ。始終浄化を起すのはこの中途半端な奴で之が一番多いんですが霊の場合もこれと同じ様なものなんです。
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“人間は死ぬ直前に病状が一時よくなりますが、之はどういふ訳でせうか。
“これは霊が抜けるんですよ。そして霊が抜けるとずっと楽になるんです。楽になるって言っても、気の抜けた様な余り活気がない状態ですが、ひどい苦痛はなくなるんです。一寸見ると治る様に思へますがね。よく「颱風来らんとして風静かなり」とか「嵐の前の静けさ」とか言ひますがね、すべてあゝいったものなんですよ。
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“出雲の神様は縁結びの神様とされて居りますが、之は霊的に意味がありませうか。
“これは造ったもんでせうね。もと、出雲朝が日本を支配してゐた頃には大変な勢力があったんですが、神武天皇に国土を奉還してから変って来たんでせうね。丁度今の神社みたいなもんでね、――最近は神社によってお宮をアパートにしたり、ダンス場にしたりしてますが、神主さんも生活問題に四苦八苦してますからね。この近くの神社では蜜柑を売ってなかなか繁昌するそうですが、神社の方は余り構はないんで大変なゴミになってるって言ひますね。まあ、それと同じで国土を取り上げられて生活に困るもんだから、何かやらうって訳で結婚の媒介をやって生活問題の解決をした、とこういふ訳ぢゃないですかね。あんまりどうも見方が安ッポすぎて叱られるかも知れませんが、(笑声)外には解釈の仕様がないですね。大国主命っていふ神様は縁を結ぶ様な神様ぢゃないんで、縁結びは産土(ウブスナ)の神様ですからね。それから、大黒様を大国主命だなんて言ひますが、あれも関係ないんで、大黒と大国と通じるからそうしたんでせうが、なかなか商売上手なんですよ。(笑声)
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“私は一年前より肺浸潤と腹膜炎を患ひましたが、僅か三日間の御浄霊にて起きられる様になり、余りに顕著な御利益に早速母と共に入信致し此の度御神体も頂きました。然し私の主人は私を全快の見込みなしとし、私の父母と私を養って行けないとて子供を置いて実家に帰ってしまいました。籍は未だそのまゝですが、全然送金も致しません主人と一緒になる事は如何でせうか。
“これはね、光明如来様に御願ひして、もう何も考へない方がいゝんです。根本を言ひますとね、この奥さんに霊の曇りが少くなって、霊的に向上すると、若し一緒になった方が仕合せなら一緒になるし、一緒になっては不仕合せなら、その主人とは別れて、別の人と一緒になるか、それとも暫く一人で居るかになりますね。とにかく、この信仰に入って、光明如来様にお任せしてればこの御婦人が仕合せになる様になりますよ。こゝで一寸夫婦の事を話すと、夫婦は霊的にいふと大した違ひはないんですよ。所が、一方が信仰に入って霊的に向上すると非常に離れてしまふ。その場合霊の下の方は生き別れるか死に別れるかしないとどうしても釣合がとれないんです。けど下の人が気がついて一心に信仰すると一緒になれる訳なんです。だから、主人の信仰が進まずにずっと離れてしまふと、いくらくっつけようとしても、もうくっつかないんですよ。どうしても別れる様になっちゃふんで、又それでいゝんですよ。そこで神様が因縁によって 同じ様な人を一緒にさせて下さるんですよ。結婚だってそうなんですよ。非常に違ったのが一緒になろうったって駄目なんですよ。自分が磨けてりゃ必ずいゝ配偶者が来るものなんですよ。だから、嫁入りの時にいろいろ家系だとか何だとかを調べますね。けど、あゝいふ事は要らないんです。神様に御任せしときゃ必ず同じ位の人が一緒になるんです。何にも心配は要らないんです。家の引越しなんかもそうなんです。家相だとか方位方角なんか一寸も気にしなくたっていゝんですよ。ちゃんとその人に相応した方角の家に越す事になるんです。中有界の人は中有界の方向へ越すし、身魂が天国にある人は、どうしたっていゝ家でなけりゃ越せないんです。同様に霊が地獄にゐる人が、いくらいゝ家相や方角の家に越そうとしたって、決してそんな所へ行けやしないんですよ。私なんかそれを知ってますから、家相も何も調べやしないんです。気が向けばそこへ行って見る。行くと必ずいゝ家なんですよ。却って越してからその家のいゝ所が沢山判って来るんですよ。 何にしても原因は自分にあるんですよ。自分が自分の運命を造るんです。言ひかへれば運命はその人の徳によるんです。いい事をすればいゝ事が多くなって運命はよくなるんですよ。何のことはないんですが、たゞ出来にくいんですね。(笑声)「言ふは易く行ふは難し」でね。然し、いゝ事をやり出すと、いゝ事に興味が出て来るもんで、いゝ事をするのが面白くなり、悪い事をするのがバカバカしくて出来なくなっちまふんです。悪い事は癖がついてると離れ難いもんですが、信仰するとその癖が離れ易くなり、それだけいゝ事をし易くなるんですよ。それに、いゝ事をする様になれば神様の御守護があるから尚更よくなるんです。といって、勿論その人にはその人だけの運命があるから、その運命だけのものは来ますからね。たゞその場合、大難は小難にして頂き、小難は無難に振り替へて頂ける訳なんですよ。
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“或る婦人の信者、その人の住んでゐる村の鎮守の森にむじなが居り、以前その婦人が隣人に対してある事から怨みを懐き、その人をそのむじなにかけて呪った所その人は狂ひ死にしたそうです。この様な場合呪った人と呪はれて狂ひ死にした人との現界霊界の苦しみの因縁はどうなりませうか。
“これはどっちも悪いですね。然し、どっちかって言へば呪はれて死んだ人の方がむしろいゝですね。呪った方がずっと悪いですよ。これは因果応報でそうなるから仕方がないんです。だから人を呪ふって言ふのは自分を呪ってるのと同じなんですよ。人を呪ふ事によって大きな苦しみを作るんですからね。然し、呪はれて死ぬ方にもそれだけの罪があるんですよ。だから「呪った方だけいけなくて、死んだ方には罪がない」なんて事は決してないんです。つまり、呪はれて死ぬだけの資格があるんですね。この信仰に入り神様からの御守護を頂いてれば、いくら呪はれたって何ともありませんよ。そりゃあ、いくらかはありますよ、いくらかはね。この信仰に入ったって矢張り曇りはありますからね。然し、苦しみで浄化されるからそれでいゝんですよ。
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“素盞嗚尊が退治した八岐大蛇(ヤマタノオロチ)は霊的にいかなる意味がございませうか。
“八岐大蛇についてはいろいろ説がありますが、霊的に言ふと悪魔の巨頭ですね、八岐大蛇と邪鬼と、それから金毛九尾の狐とが兇党界の親玉だとされてますが、之は本当ですね。それが世の中を乱し自分の天下にしようとして盛んに活躍したし今でも活躍してるんですね。そしてそういふのには眷族が何億ってゐますからね、それが一人々々の人間にかゝってるんです。それがちゃんと本元から霊線で繋ってゐて、その人間に悪い事をさせようとする訳なんです。この三つの親玉にもそれぞれいろいろと性格って言ひますか、役目って言ひますか、そういふものがあるんです。八岐大蛇は戦争が好きなんですね。で、戦争なんかの場合にその眷族が、例へばヒットラーだとか東条だとかにかゝって戦争をやらせるんですよ。それから邪鬼ってのも確かにあるんで、「ユダヤの鬼」って言って、多くユダヤ民族を利用してやるんです。これの眷族のついてゐる人は顔を見ると判りますがね、之は余り詳しく言へませんが、まるで鬼の顔をしてますよ。そういふ人が沢山ありますね。金毛九尾の狐は女にかゝるんです。昔、支那の皇后で、女の腹を割いて子供をえぐり出したってのが居ましたが、あんな惨虐な事が好きなんですね。個人々々でみるとあのパンパンガールなんてのには金毛九尾の狐の眷族がついてるんです。あゝいふ風に世の中を堕落させ、頽廃させる事がとても好きなんです。あんなのは盛んに男を堕落させようとするんですが、みんな金毛九尾から霊線によってそうさせられるんですよ。花柳界の女や夜の女なんてのには、すべてこの霊線が太く繋ってゐるんですね。人間ってのはね、そういふのと本守護神とが始終戦ってゐるんですよ。所がその人の霊が曇ってると、金毛九尾や邪鬼なんかの方が勝っちまって、そこで悪の御用をする事になるんです。
“兇党界の三巨頭の霊は、光明世界になった場合いかになりませうか。
“これは或る一箇所に押し込められて出られなくなるんです。どうしてかって言ふと、いかなる巨頭でも、光に会ふと苦しくてたまらず、活動出来なくなるんです。霊界が昼の世界になると明るいんですから、まづ手も足も出なくなってしまふんで、閉ぢ込められたと同じ事になるんです。奴等には光が一番怖いんですよ。だから、だんだんいろんな邪魔もされなくなるんです。――私には邪霊はかゝれないんですよ。私にかゝれって言ってもかゝらないですよ、悪い霊だとね。どうしてかゝらないのかって訊いたら、私の三尺位そばまでよると、眩しくて眩しくてもうとてもそばに寄られないって言ふ霊がありましたがね。…
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“男狐が女に憑いたら死ぬと申しますが、之は霊的に意味がございませうか。
“こんな事ありませんよ。男狐が女に憑く事もあれば、女狐が男に憑く事もあっていろいろですよ。――面白いのは狐にも夫婦がありその上二号、三号のあるのも居るんですよ。けど、人間程にひどくない様ですがね。(爆笑)そういふ点では狐以下の人間もありますからね。(笑声)狐にも色女がある位ですから正式の結婚もあって、夫婦の狐は別にチャンとしてるんです。なかなか磨けた狐も居るんですよ。人間に比べられては却って怒るかも知れませんね、「俺達は人間程不道徳ぢゃない」ってね。(笑声)それに人間から狐になるのも沢山ゐますからね。狐には人間によく似た思想があるんですね。
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“霊が地獄に落ちた場合、地獄の釜に入れられ、ふたをされたまゝで何千年の間出られないと申しますが如何でせうか。
“これは形容ですよ、本当の釜の中に入れられる訳ぢゃありませんよ。お盆には地獄の釜のふたが開くなんて言ひますがね。これは何でせうね、地獄の中でも極くひどい所の事を指すんでつまり密閉されてる様な恰好になるんでせう。釜ってのも、ふたをされてる様なっていふ形容でせうね。だから、字にとらわれないで、たゞ地獄の事だと思へばいゝんですよ。
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“その年の農作物の豊凶は熱田神宮の御神示によって判ると言はれて居りますが如何でせうか。
“さあ、熱田神宮には判りませんよ。若し判るとすれば、それを気象台なんかが利用しなくちゃいけない。(笑声)はづれる事もあるんですよ。だから気象台も利用しないんです。本当は神様は当る筈なんですが、けど又、ぴったり当ってもいけないんです。だから、いかなる立派な神様でも当らせないんです。たゞ、これだけは確かですよ。豊年だとか凶作だとかになるのは、みんな人間がそうするんです。日本中の人間が立派な心を持ち、農作物に対して感謝の気持で有難く頂戴し、物を粗末にせず、ずるい心を起さずに正しい行ひをすれば、とても豊作になって到底喰べ切れない位出来ますよ。所が今の人間はそれとは丸ッきり反対の間違った料簡を持ってますからね、ですから不作になるんです。今言った事は絶対で、これは真理ですよ。いかなる災難でも天候の不順でもみんな人間が造るんですよ。
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“近来漁村では不漁続きで、原因は暖流の為だと言はれてますが、暖流の変化及び暖流寒流の関係に就て御伺ひ申し上げます。
“これは学問的には暖流の為だなんて言ふんですがね。然し、霊的には漁村の漁師が本当の事、正しい事をやってない為に、それだけ海の神様からの御守護が薄いんですよ。だから、この信仰に入った漁師はとても沢山獲れる様になるんですよ。それからよく釣をする人がありますが、あれは一寸罪になる様ですが、この信仰に入ると非常にとれるんですね。つまり、魚が獲れるといふ事は海の神、或は川の神の支配なんですから、その神様から御恵みを頂ける訳なんです。以前或漁師が、大先生に差上げようと思って獲ると、必ず思ふ様な魚が獲れるってそう言ってましたがね。ですから、魚が獲れないのは漁村の漁師がどっか間違った事をやってるんです。それを知らないから暖流や寒流の関係だなんて言ってるんですよ。徳のある人の所には物質が自然に集まって来るのと同じ事で、その土地の漁師の心がよくなり、行ひが正しければ自然と大漁になるんですよ。
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“酒毒といふものはあるものでせうか。
“酒毒はやはりありますよ。之も昔はあんまりなかったんですが、今は余計ありますね。今は酒に防腐剤を使ってますから、この防腐剤の毒が又多いんですよ。酒は一時興奮させるんですが、一番興奮するのは胃の辺りで胃が一番熱をもって血を寄せますから酒毒は一番胃へ来るんですよ。すると、胃壁がだんだん柔らかくなって、ブヨブヨになって来るんです。そこへ固いものを喰べると胃壁に亀裂を生じ出血するんで、之が胃潰瘍ですね。それから酒を飲むと中風になるって言ひますが、これはそれ程でもない様ですがね。胃潰瘍が一番多いですよ。まあ、酒なんてものは或程度にしとかないといけませんね。また、この信仰に入ると或程度で止るんです。酒飲むのはどうせ狸か天狗ですからね。酒飲んで理窟を言ふのは天狗であり、居眠りしたり御機嫌がよくなったりするのは、あれは狸ですよ。以前私の所にゐた○○なんて顔付がまるで狸でしたがね。ところが、この信仰に入るとそういった霊が萎縮しますからね、少ししか飲めなくなって酒の害も減って来るんです。
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“私は今度医科大学を卒業致した者でございますが、体内の毒素は固まり、浄霊はそれを溶かすと伺って居ります。毒素が固まるのはどういふ理由によるのでせうか。
“万有は時が経つに従って固まって行くんです。すべて固まるものなんですね。そうかって、人間が固まってミイラになっちゃ困るんで、生きてる以上は固まらないんです。所が人間の体に合はないものが体内に入ると、それが段々固まるんです。そして一応固まり切ると、それから崩壊作用を起すんです。石でも、あれは土が固まって出来たものなんで、土の硬化作用によるんです。そしてそれが硬化し切ると今度はボロボロに砕けるんですよ。これが万有の法則なんです。星でもこの宇宙には光らない暗星といふのが沢山あって、それが万有硬化の理によって硬化して来ると太陽光線の反射で光る様になるんです。それが更に硬化して極点に達すると、今度は分裂し出すんで、流星はそれなんですね。隕石なんかも星が分裂したものなんです。膿でも同じでね、薬毒は体の中で段々固まって行くんです。で、或程度固まると今度は溶解する、それがつまり病気なんですよ。熱が出て固結毒素が溶け、液体になって出る訳なんです。だからそのまゝにしておけばいゝのに、やれ病気だなんて心配して湿布したり冷したりするもんだから折角溶けて外へ出るものを固めちゃふんです。人為によって固めるんですね。この間違ひを人類に目覚めさせなきゃあどうしようもないんですよ。殊に肺病なんかは人間が造ってるんですよ。この原理は光新聞の号外に詳しく書きましたからね、あれを読めば大抵判るでせう。だから医学がなくなれば結核は必ず何分の一かに減りますよ、固めないから。――放っておけば体内から出るものを出ない様にコチコチに固めちゃふんですからねえ、浄霊はそれを溶かして出すんですよ。
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“毒素の硬軟はその固結してゐる年数及び毒素の種類によって違ふのでせうか。溶解速度に遅速の差異を生ずるのは何故でせうか。毒素が溶解する場合何倍位に増量するものでせうか。凝結した毒素が折れたりひゞが入ったりして痛苦を生じる事はありませうか。
“毒素の硬軟が違ふ原因はいろいろでね、一つや二つの原因ぢゃないんです。服んだ薬の性質にもよるし、その人の浄化作用の強弱にもよるし、又その人の環境にもよるんです。職業なんかでも違ひますからね。頭ばかり使ふ人は毒素が頭によるし、手で仕事をする人は手によるし、その使ふ場所によって違ふんです。それから、その人の想念によっても違ひますしね。いろいろあるから一概には言へませんね。溶解速度の遅速もいろんな事で違って来るんです。浄霊して貰ふ先生によっても違ひますしね、その先生の霊力の強い弱いですね。それから話す言葉にもよります。話が急所を衝いてれば、成る程と思ひますからね。心が違ふとまた違って来るんです。誠の多い少いですね。やっぱり心と心とが相通じるんですからね。毒素は何倍になるかって、そりゃあ直径一寸位の塊りでも溶ければこの位(約八、九寸)になりますよ。漢方薬なんかを持薬にして一年も服めば、膿が何升出るか何斗出るか分りませんね。或は何石かも知れない。西洋の薬は割に量が少い事が多いけど、永く服めばやっぱり大変な量になりますからね。漢方薬なんかをお茶の代りに服む人もありますが、そんなのも水分は外に出ますが薬は残りますからね。それが溶けて出る時には大体元通りに服んだ時と同じ位になると思へばいゝでせうね。そんなのが痰とか排泄物なんかで出てくる訳ですね。それから、折れたりひゞが入ったりする事はありませんよ。そんなに固いもんぢゃありませんからね。
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“頭や顔に出来ますハタケ、シラクモはどういふ訳で出来るのでせうか。
“これはやはり薬毒ですよ。薬毒が皮膚に出て来るんです。薬の性質によって、又その人の体質によって方々から出ますからね。薬毒が分泌して出て、それが乾燥して出来るんですね。そこの個所を浄霊すれば治りますよ。
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“電気療法の「虫封じ」を致しますと、指先から細い絹糸の様な白い虫が出ると申しますが之は霊的に意味がありませうか。
“電気療法でなくても指先から虫の出る人はゐますよ。指の先から白い毛の様なものが出て、ヒョロヒョロしてますね。私も見た事がありますよ。少し、二、三分ばかり出て動いてるんです。「虫封じ」って言ふけど、子供の虫とは関係ありませんよ。別に何でもないんです。これは、きっと蜘蛛か何かの生れ変りでせうね。(笑声)丁度、蜘蛛の巣の糸みたいなもんですよ。
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“あくびの原因及びあくびは伝播すると言はれて居りますが如何でせうか。
“あくびは悪霊って事で、肩が凝ったり、一つ事を長くやったりすると、つい自然浄化で霊だけが出る。それがあくびなんです。あとの物質的な毒はそれだけ遅れて出るんですね。それから伝播するっていふけど、之は誘はれる様なもんで大した意味はありませんよ。みんな誰でも毒はあるんですからね。一人があくびして、はッと思った拍子に、外の人も浄化しちゃふんです。つられてするだけのもんですよ。
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“信州の某地では井戸を掘ると全村の水が絶えてしまひ、今に至るも井戸がありませんが、井戸を掘れる様に致しますにはどの様にすれば宜しいでせうか。
“これは龍神ですね。龍神が井戸を嫌って掘らせないんです。井戸を掘ると、そこへいろんな龍神がやって来るんで、それを嫌がるんですよ。ま、自分だけでこの村を独占したいんですね。龍神にもいろんな性格があるんで、こんなのは博愛心のない龍神ですね。然し、こんな間違った事はそう長く続くもんぢゃありませんよ。今はもう差支へないでせう。殊に、光明如来様を御祀りした家の人は絶対差支へありませんよ。とに角、間違った事はそう長く許されるもんぢゃないんです。
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“私の地方では土地特有の風土病があり、土地では「カタヤマ病」と言ひ――“へえ、まるで社会党みたいですね。(笑声)
“……他村から縁づいて来ますとこの病気にかゝり、若者でも衰弱して老人の様になってしまいますので、他の土地の人は怖れて入りません。医師は水中に存在する細菌の為だとも申しますが未だ原因不明です。これはどういふ訳でせうか。“これは他の土地の人がそこへ入るのを嫌がる霊の仕業で、前の龍神みたいに博愛精神のない、頑固な霊なんです。大抵龍神ですがね。然し、之も決して長くは続かない、一時的なもんですよ。一、二度そういふ事があると、怖れてそうなるものと決めてしまふんですが、こんな間違った事は長く続くもんぢゃないから、もう大丈夫でせう。ひどいのになると、胡瓜だとか茄子だとか、特殊の野菜を作らない農村がありますよ。こんなのは一時的なことなんです。根本はね、間違った事は決して長く続くもんぢゃないって事なんですよ。
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“宇都宮地方では山の仕事をする男が、産後のお七夜に御祝ひの品を喰べて山へ登ると、必ず難に遭ふと申しますがこれは何故でせうか。
“これは、山の天狗の霊が、子供の生れた事に対してとやかくされるのが面白くないんですよ。こういふ事はありますね、子のなかった人が天狗になったりした場合、人の子が生れると面白くない、そういふ天狗ですね。けど、この信仰に入った人は大丈夫ですよ、天狗の方でどうする事も出来ませんからね。それに、こんな間違った事はそう長く続けられるもんぢゃないんですよ。神様から止められますからね。又、一度こういふ事があると、もうそれが伝統になってしまって、きっとそうなるものと思ひ込んで怖れるって事もあるんですよ。
(光話十七号 昭和二十五年二月二十八日)