脳溢血

原因は、頸髄から延髄へかけての両側に「毒血」が溜結するんであります。

之は、毒血の沢山ある人が、頭脳を多く使ふのが原因であります。

近代人は肉食を多くする為毒血が殖へる。そこへ頭脳を多く使ふからそれへ向って神経が集注し、それが為毒血が溜結するので、中には癌のやうに固結した人もありますが、之は脳溢血になり損ねて外で固まったものです。そうして毒血の溜結が或程度を越へると、血管が破れて脳の方へ溢出する。それが小脳中の各種の機関に障害を及ぼすので、それの表れが人事不省であり、気の付いた時には中風になってゐるのであります。

面白い事には、毒血溜血は左右孰れかであるから、病気症状も必ず右か左か一方なのであります。

右が溢出すると左の半身が不随になり、左ですと右半身が不随となります。

中風は医学の解釈では頭脳から繋がってゐる手足への神経が切れると言ひますが、之は誤りの様であります。何故なれば、本療法によれば治癒するからであります。 ですから、脳溢血を予防するのは容易であって、後頭部へ溜った毒血を浄化すれば絶対に起らないのであります。

予防法は、最初一、二週間治療をして後は一ケ月に二、三回位、半ケ年位続ければ先づ五年間位は大丈夫であります。

脳溢血の場合は、最初激烈な偏頭痛があります。そうして発熱と嘔吐があります。そういふ症状は、脳溢血の序幕と見ねばなりません。嘔吐が頻繁である程、脳は余計に犯されてゐるのであります。

食欲皆無となり、ヌラヌラした唾液を吐きます。

嘔吐の少いのは軽症で、つまり嘔吐の多少によって病気の重軽を知るのが、最も確実であります。嘔吐が四、五回以上ある時は重症とみていいのであります。

それから人事不省となり、早くて一、二晩、長いのは二週間位意識不明であります。脳溢血になると同時に左右孰れか一方の手足はブラブラになりますが、脳溢血になった時、直ぐに本療法を行へば十人が十人必ず治るので、手足がブラブラになったのでも大抵二週間位で元通りに恢復するんであります。

全治には一ケ月位とみればいいので、実に素晴しい治病力であります。

脳溢血の徴候は、血圧が高く首筋や肩の凝り、手の先が痙れたり、手が痛かったり、耳鳴、偏頭痛、眩暈等であります。

治療は、頸髄、延髄、小脳部其他熱い所か痛い所、麻痺した個所をやればいいのであります。

(岡田先生療病術講義録 昭和十一年七月)