六月八日(火)
【お伺】「霊体の曇りが局所に於て毒素となる」との御教を頂いて居りますが、想念や行為の不道徳がその様な毒素となる場合は三毒以外の毒となるのでせうか。
【御垂示】毒は夫々皆違ふが大した違はないのです。同じと思ってもよい。想念や行為の不道徳は罪汚れとなるが三毒の中へ入れてもよい。この罪汚れを消す様な行為をすればよいが、さうでないと毒はふえる許りです。
(昭和二十三年六月八日)
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【お伺】人が死んで霊界に帰った場合、その人の副守護神は離脱するものか否か、もし離脱すればその霊魂は善のみとなり従って霊界も悪がなく善のみと存じますが。
【御垂示】普通副霊は霊界へついて来る。霊界でその霊が改心すれば尚相当期間ついてゐるが、改心出来ぬものは却って離れて了ふものです。副霊はついたものですから何れはなれるべきものです。所が中には霊界で副霊にその又副霊がついたりすることもある。そして人間の霊と副霊と一緒になって生きてゐる人間に憑る事がある。以前狐の憑いた女を治療すると霊が出てくる、そこで「あんたは誰だ」と訊ねると「荒井サクだ」と云ってるが、暫くすると狐が出る。「お前には用がない」と叱ると又荒井サクが出て来たりしたことがありました。之は本に書いた事です。執着の霊は半分龍で半分人間です。尻尾が出来てくるのもあります。いろんなのがありますから一概には言へません。或る一寸有名な人が何かの講演で「今の人々は平気で古い木を切って了ふが自分は可哀相で仕方がない。必ず御祀りすべきだ」と云ったがその人の顔は猿に似てゐたさうです。猿だから大きな立木を切られると可哀相なんです。
(昭和二十三年六月八日)
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【お伺】一、神様の三方は塗り物でも宜しいでせうか。
二、法事に坊さんを頼むのは通常何回忌までが宜しいでせうか。
三、再婚はしても宜しいでせうか。
【御垂示】一、神様のは白木が本当です。神様は極く古い時代人間の姿で現れ、霊界に行き、人間として生れて来ず、霊界で働いて居られるんだから、その古い時代の生活のやり方をして居られる。従って神代時代の器物を使った方がよい。又その方が神より人間の方で気持がいゝですよ。仏様には塗ったのでよい。塗った三方は大黒様によい。
二、出来るだけ永い方がいゝです。昨日の質問に「霊を供養してもその霊が生れ代って此の世に来て了ってゐる場合は如何でせう」とあったが、そういふ風に霊界に不在の時、その供養は現界に戻って来て或程度その人の霊を高める事に役立つのです。古い仏のもまあ臨機応変にしたらいゝです。古いのは強ひて坊さんを頼まなくてもよい。普通は十七回位までゝす。
三、再婚は二度までいゝとされてます。一年以上経ってからならいゝ。一年以内に再婚すると亡くなった霊が怒りその障りが来ます。一年以上では霊界の時効にかゝるから障りは来ないのです。
【お伺】離婚した場合の再婚は――
【御垂示】それは気をつける必要がありますが、いろいろです。
【お伺】慎重にしたら如何でせう。
【御垂示】その慎重も形だけでね。離婚は絶対しない事です。夫婦の一方が信仰し一方が反対するのは厄介だがそれは時を待てばよい。正しい信仰を余り邪魔すると神が許さなくてあの世へやられますよ。
【お伺】夫が道楽して妻が離婚された場合、その妻の再婚は如何でせう。
【御垂示】その場合の再婚は差支へありません。
(昭和二十三年六月八日)
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【お伺】今度中村市郎と中村操が結婚致す予定で御座いますが式の仕方は――
【御垂示】普通の方法でいゝでせう。たゞ光明如来様に上げる物をお上げして御許しを頂く事です。「今度縁あって某と某を結婚させたいと思ひますから御許しを御願ひ申上げます。今後共末永く御守護を御願ひ致します」と云ふ。勿論祝詞も上げます。それでいゝです。
(昭和二十三年六月八日)
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【お伺】御浄めにより善人と思はれる人が助からぬ場合があるのに、全く悪人としか思へぬ人でさへも助かる場合がありますのは如何なる理由でせうか。
【御垂示】人間が見て善人とか悪人とか定めるのであって、神様が御覧になると違ふんです。小乗で善人でも大乗で見れば悪人になる事が沢山ありますよ。何故なら本当の善人は少いのです。普通の善人とは意気地なしでせう。世のため神のため大いに働きのあるのは悪人に見られ勝ちです。大善は小悪を伴ひ大悪は小善を伴ふ。その場合小悪の面を見ると悪人に思へるのです。例へば私の此の道が発展すれば医者は私の事を悪人呼りするでせう。之は然し仕方のないことです。悪人から見れば世の中の善人はすべて悪人ですよ。何故なら悪人のすることの邪魔をしてゐる。
善人と云ってもいろいろあります。意気地のない善人や、功利的に人の信用を得んとする善人もある。こんな善人には悪への憤激がない。この悪に対する憤激はなければならないものです。が、之があると悪人に見られ勝ちです――善悪といふものは時代で異るのです。今から見れば、忠君愛国なんかは大変な悪といふ事になります。非常な間違ひです。日本が忠君愛国をやり、支那人や朝鮮人も夫々支那や朝鮮のために忠君愛国をやったら大変な事になります。よく云はれた皇道なんかも共産主義より下です。何故ならロシヤへ行って皇道を宣伝しても広まりはしないが日本に共産主義は広まってゐるんですから。忠君愛国や皇道は小乗の善であり、世界的に見れば悪です。一国や一民族がよくなるのでは悪です。世界中の全部の人がよくなるのが真理であり全人類が幸せになる事でなければ駄目です。御浄めで生命が助かるか否かはいろいろと原因があるのですよ。
(昭和二十三年六月八日)
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【お伺】心の中に魂がある事は判らせて頂きましたが、その魂は体の何処にあるのでせうか。
【御垂示】人体は腹の真中と前頭部の奥とで天と地となり相通じ合ってゐるのです。ですから高天原を人体で云へば眉間です。邪神がつくと眉間へ来たがって仕方がない。眉間を占領すればその人を自由にすることが出来るから。そこで眉間へ来れぬ時はその人を怒らせる。怒ると頭の霊細胞が薄くなるから眉間へ来れるのです。その中又気持が平静になり霊細胞が濃くなると邪霊は下の方へ下るのです。ヒステリーなんかは之です。又狐の霊なんか憑くとよく喋るんです。女でよく喋るのは狐です。又威丈高になって相手に物を言はせないのもさうです。
(昭和二十三年六月八日)
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【お伺】先月末から御浄め致して居ります四十七歳の女ですが、一ケ月半程前から狐が憑き頭の中でいろいろな言を申します。殊に夜になると「さてぼつぼつ苦しめてやらうか」と云って何だ彼だと喋り続け眠ることが出来ず非常に苦しんで居りましたが、一回御浄め受けた夜はよく眠られ、翌日早速御守りを頂きました。最初雌雄二匹憑ってゐた様子でしたが、三日目に雌の方は弱って死んだ様子でした。講習を受けた時「油断をしてゐたら大変なことになって了った」と云ったさうです。御浄めしてゐる私の手を「カチューシャの様な手だな」等と云ったり「あゝ苦しい苦しい」と苦しがったりして居りました。御浄めの時「何か頭で声がしたら直ぐ口に出してみなさい」と患者に云って御浄め致しますと、こんな風な事を申して居りました。雄の方も一昨日はメメズ位、昨日はシラミ位になって参りました。
【御垂示】狐が憑くと一度治った様に見えて又邪魔することがあります。気長にやれば治りますよ。
(昭和二十三年六月八日)
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【お伺】心臓の右にある人がありますか。
【御垂示】えゝありますよ。中には最初左にあって、その中に右の方へ動いて移って了ふ人もあります。
(昭和二十三年六月八日)
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【お伺】神を押し込めた罪とは個人的にですか、又は人類全体としてでせうか。
【御垂示】大きな意味ですよ。神は輿論を以て押し込められたのですから。
主神として天御中主大神が在り、次で高御産神、神御産神が現れ給うた。之で陰陽善悪が出来たのです。以前或人が「何故神は悪をなす人間を作り且その償ひとして苦しみを与へるのか」と訊ねたが「私も作られたのであって想像するだけです。因果の理によって悪い事をすれば悪い目に合ひ、人を幸福にしてやれば自分も幸福になる。それなら人を助けてやればよいではないか」と云ったのです。まア多少打算的でせうがね。然し最深最奥の所は人間には判らないのです。兎も角人間の目的は幸福になることです。だから多くの幸福を人々に与へることです。
(昭和二十三年六月八日)
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【お伺】私の近所の池では毎年丑の日に人が死にますが、私が疥癬の最中自分が牛になり講習生の家で飼はれる夢を見たので、よく調べましたら以前牛がその池で死んだらしいのですが。
【御垂示】月一回牛の好きさうなものを上げてお祀りしたら宜しい。お地蔵様も祀ったらいゝでせう。
(昭和二十三年六月八日)
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六月十八日(金)
【お伺】日月地大神と経文の弥勒菩薩とは関係ありませうか。
【御垂示】弥勒菩薩は釈迦の弟子でこちらとは余り関係はない。まあいくらか因縁はあるでせう。目連とか阿難とかいふ十弟子の中の一人です。
(昭和二十三年六月十八日)
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【お伺】趣味として釣りをするとか、害虫――蚊や蝿を殺すことは差支へないでせうか。
【御垂示】差支へありません。魚釣りも余り熱中しなければよい。私も若い頃釣りをやりましたが餌を針につけるので指が紫色になり痛んだので止めて了ひました。時々やるのならいゝですよ。之は殺生よりむしろ懶けの罪が大きいのです。人間は働くのが本当です。五体殊に頭をよく使ふ方がよい。頭をよく使ふ方が永生きします。昔から坊さんや学者に永生きが多いのはそのためです。犬や猫、野蛮人は早死です。
(昭和二十三年六月十八日)
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【お伺】日連や親鸞が地獄に堕ちて居るやに聞き及んで居りますが、この真相は如何でせう。
【御垂示】私の弟子で日蓮信者があり、身延へ行って日蓮が住ってゐた建物で拝んでゐたら日蓮が淋しい青い顔で現れたと云ってました。これより前から私には判ってましたが――彼の肝腎な点は法華経を弘通した点ですが、法華経とは法の華です。日蓮以前は南無阿弥陀仏であり之は月の教、陰なのです。川なぞへ飛び込んで自殺する時は「ナムアミダブツ」と云ふように、之は陰気なものです。それに対して日蓮は法華経こそ本当の教であり、釈迦七十二才にして顕真実となり説いたものだといふ事を発見したのです。法華経とは仏教の華を咲かせる事であり、その中の普門品二十五は実の髄なのです。又華は咲いて直ぐ枯れるから昔から一代法華と云って一代限りがよいとされてるのです。日蓮は仏教の陰を陽に変へたのです。だから日蓮宗は威勢がいいのです。
それから四ケ格言と云って念仏無間、禅天魔、真言亡国、律国賊として他宗を皆排斥したが、あの排他性は不可ない。あの態度は面白くない。法の華が散りその実が育って実相真如になると云はれてゐる。然し之は逆で真如実相が本当です。真如とは月の事で、釈迦は仏法を一言で云へば真如だと云ったが、之は夜の世界の事で、昼の世界は実相世界です。又すべては空に帰すとか仮の物だとか云ったのも夜の世界の事です。実の髄の仕事を私がする訳です。だから私が実相世界を作る訳です。親鸞が地獄だとは私の師匠の出口王仁三郎先生から聞いたのです。あの人は相当霊覚のある人だったが、或時親鸞が乞食坊主の姿をして現れたさうです。弘法大師や法然上人は極楽に住してゐるさうです。釈迦は勿論更に一段高い処にゐてとても普通は行けぬさうです。
【お伺】日蓮はあの排他性がいけないのでせうか。
【御垂示】えゝさうですね。
【お伺】自分が上行菩薩であると云った事は――
【御垂示】それは死ぬ前に誤りだと悟り、あと六百五十年して本当に上行菩薩が世に出ると云ったのです。日蓮のいゝ点は大変自信のあったことゝ、仏教の陰気になり隠遁的になったのを救ったことですね。
【お伺】親鸞の罪は何で御座居ませうか、
【御垂示】親鸞のはあの時代の一種の共産的思想のためです。師匠も弟子もなく、誰でも皆「御同行」と云ったのですが之は間違ひです。よく云へば民主的だったんですが―― 日本の民主々義と米国のとは違ふ筈なんです。それは日本の霊界は縦で西洋は横ですから。今迄の日本は縦が強すぎたのです。之は隣人愛がないことです。若し隣人愛があれば支那へ遠征なんかしない筈です。日本は神国であり他国なんかどうなってもいゝといふ考へが悪くて遂に逆の結果になった訳です。
(昭和二十三年六月十八日)
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【お伺】日月地大神の御働きは国常立命と観世音菩薩との御一体の御働きでせうか。
【御垂示】国常立命も観音様も日月地の御世出現を助けて居られるのです。が、之をはっきりと説く事は時機が早い。
【お伺】天照皇大神と伊都能売大神とは関係ありませうか。
【御垂示】重大関係がありますが之もまだ云へない。
(昭和二十三年六月十八日)
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【お伺】神は浄化を与へて御救ひ下さる反面、苦痛をも与へられるのは罪業の許しでせうか、又はその刑罰でせうか。
【御垂示】苦痛も浄化です――或人に信仰をすゝめても入らず、此の救ひの綱に捉れと云ってもついて来ないのは、その人が綱までまだ距離があって直ぐには来られないのです。そんな場合その人が自力で苦痛をなめると罪が少し消え従って距離が短くなって綱まで来れるのです。いくらいゝ教へを説いても手の届かない人が多いのです。之は時を待つ外ない。苦痛はすべて浄化です。自力の浄化です。所が御浄めの浄化は他力だから楽なんです。然し他力でも罪により苦しみますがね。又死ぬ人もある。が、死ぬ人は多くの場合心から神に縋る事もない人だと見ていい。全生命をすてゝ神に縋ればまア助かります。一度死んでも助かります。
周囲の人々が忠告がましく医者にかゝれとか云ふと、信仰のない人は直に迷って了ふが、迷ふ途端神とのつながりが切れて了ふんです。尤も周囲が判らない時徹底して云ふと警察問題にもなるから余り強くも云へない場合がある。それは仕方がない。随分気の毒な人がありますよ。某は此の春疥癬をやった。之で死ぬ人はないのですが、私の所へ相談に来て、周囲が煩いから医者にかゝりたいと云ふので、まアかゝんなさいと云った。信仰のない人は周りの人の邪魔――邪霊が沢山来ますからね――で駄目になって了ふ。この人も入院して死んで了ひました。丁度此の人と同じ様に疥癬をやった人も御浄めで今はすっかり治ってゐる。面白いのは死んだ方は教育がなく治った方は大学出なのです。
人が一度信仰に入ると神は御恵みを下さらうとするが汚れたものがある場合、それを浄めて下さる。それは幸せになる資格を与へて下さるのです。信仰に入ると必ずいきなり幸せになるとは云へない。先づ汚れを取り除かねばならない。よく教導師になり専門に御浄めをし出すと疥癬にかゝるのは此の理です。それは魂が先づ浄められるから従って肉体も浄められるのです。――前の世で罪汚れをためて霊界へ行き、浄化が不充分で又現界に出て来る時、浄化の続きをせねばならない。善人であって不幸な人といふのは大体これです。
(昭和二十三年六月十八日)
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【御垂示】葬式や法事に善言讃詞や祝詞を上げるのは結構です。結婚式には両方あげる。
(昭和二十三年六月十八日)
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【御垂示】南無といふ言葉は称へても構ひません。何か妙な事から余計な事まで云ふ人がありますね。リンゴだってさうです。私はただ水気の多い果物が好きだと云ふだけで別にリンゴがいけないとは云ひません。
(昭和二十三年六月十八日)
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【お伺】いろいろと精神的御浄化を頂き有難く御礼申し上げます。
【御垂示】苦しいでせうがもう暫く我慢しなさい。観音様は一方で奇蹟を与へてくださるんです。結局良くなるための苦しみです。さうなるとむしろ苦しみが楽しみです。その人の使命の大きい程苦しみも大きいのです。私の浄化もかなり苦しかったが寿命は約廿年のびましたね。以前は健康で居てゝもどうも調子が変だった。スーとしなかった。然し近頃はせいせいしてゐます。
(昭和二十三年六月十八日)
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【御垂示】外国人と結婚した場合霊界は主人の方に属します。
(昭和二十三年六月十八日)
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【お伺】私宅は鰻やで鰻やドゼウを殺しますが、如何に祀ったら宜しいでせうか。
【御垂示】鰻は龍神の変ったもので普通の魚と違ひます。殊に耳のある鰻は「バン竜」と云って、之を殺して食へば必ず祟ります。少しづつ殺しても長い間には相当怨みが溜るから祀ったらいゝ。何か鰻の霊の憑き易い様なもの、位牌の様なものへ竜神として、あんたの名前は?折原?そんなら「折原明神」として高い所へ上げ、酒・米・水・魚――魚は共喰ひになるからやめた方がいゝですね。まあそんなものを御供へして祝詞を上げればいい。「あなた、ぢゃ変だし、鰻さんかな、御蔭で商売させて頂いて有難う御座います。今度御供養しますからその積りで居て貰ひたい」といふ風な事を言葉で云ってから祝詞を上げなさい。月一度日を定めて祀ったらいゝ。竜神だから必ず水を大きな容器に入れてお供へする。御軸を御祀りしてゐる床の間に祀ってもいいですよ。多少鰻は苦しいかも知れませんがね。
(昭和二十三年六月十八日)
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六月二十八日
【お伺】人間は神様によって初めに地球上の一地域に作り出され逐次各地に分散したものでせうか、それとも地球上に広範囲に造り出されたものでせうか。
【御垂示】最初は一組の男女が出来、それから次第に殖えたのです。だから最初は血族結婚だった。「イモセ」といふ古い言葉は妹を妻にした事であり「吾妹子(ワギモコ)」とはこれを云うたものです。
然し人間を作られた時人種はいろいろと御作りになった。又初めは土から作られたのでせう。土人は黒土から作られ、それから赤土、白土といふ風にね――人間は死ぬと土に還るのはその証拠です。勿論人間だけではなく、物質はすべて土から出来たんです。人間がどういふ風に作られたかは一寸……
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】原日本人(天孫民族)は日本の如何なる地に造り出されたのでせうか、或は地球上の何処かに造り出され日本に渡来したものでせうか。
【御垂示】天孫民族といふのは漢族なのです。瓊々?杵尊の系統で、この尊は漢の英雄です。之はユダヤではないかと思はれます。ユダヤは昔十二種族もありその中一種族だけ東方へ行ったと伝へられてますから、之が支那へ来てこゝで何かやらうとしたが、当時支那は栄えてゐて事を挙げることが出来ず、その上ユダヤは放浪性があり定住することがなかった。その中の一部が九州の高千穂に来て葺不合尊(ウガヤフキアエズノミコト)や神武天皇になったのです。山の上から下へ降りたから天孫といふだけで純粋ではないんです。富士山に住んでゐたとの説もあるが本当ではなからう。
【お伺】原日本人(天孫民族)創造以前に神様は人間を御造りになられたのでせうか、それとも天孫民族が一番最初に神様によって作られたのでせうか。
【御垂示】天孫民族は古くない。まあ二千数百年位で一番最初の人間からは何十万何百万年経ってゐるか判らないですよ。
【お伺】天孫民族と大和民族とは同一内容のものでせうか。
【御垂示】大和民族の方は相当古いんです。之は全く戦争を嫌ひ平和愛好民族なのです。所が素盞嗚尊が朝鮮からやって来て直に日本を征服したが、それが又神武天皇に征服されて了った。大和民族は此の二つの民族の下づみになって判らなくなって了った。日本を支配したのは朝鮮、支那の民族であって日本民族はずっと支配されて来た。朝鮮系は素盞嗚尊から三代を経て大国主命になったんですが、今迄の日本の歴史とは朝鮮系と支那系の天下の「とりっこ」であって日本人の行動は出てない。今迄人民の歴史がなく、特権階級の歴史だったのはそのためなのです。これから本当の人民の歴史が出来るんです。之は体的許りでなく霊的にもずっと連ってゐるのです。徳川家康は大国主命の系統であり、天皇は神武天皇系だったのです。神武天皇の次の綏靖天皇の后は大国主命の娘であり、南北朝の南朝は素盞嗚尊、北朝は瓊々杵尊と神武天皇の争ひです。
【お伺】その事は大先生のみの御存じの事でせうか。
【御垂示】いや歴史にありますよ。出雲朝が日本を支配した事もはっきりしてゐて、天皇になった事も出てます。天理教にも「日本の真の柱は唐人だ」とあり、大本の霊界物語にも支那の磐古親王――之は日本の天照皇大神に当るんですが――が日本に来て天皇になったとある。だから之は私のみの意見ではない。私は別の事でも判ってゐた。それは以前「神憑り」によって詳しく知ることが出来た。瓊々杵尊から神武天皇に至る間にも神秘は沢山あります。大和民族には偉人も出てゐるが、多くは芸術家に優れたのが居ます。光明皇后、応神天皇や義経は大和民族です。義経にはいろいろ神秘がある。聖徳太子は代表的な大和民族です。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】血統と霊統の区別並にその関係に就て――
【御垂示】本当は違ふんです。霊統とは又系統の事です。血統の方は混ってゐる。日本人は殆ど混血ですが霊統の方はずっと続いてます。之はどうしても続くんです。血は混った方が宜しい。以前ナチスが民族の純血を唱へてユダヤ人を追放したがあれは駄目です。今後だって混血した方がよい。何故いゝかと云ふと、他人種の力をとり入れゝばそれだけ力が強くなる。文化だってさうでせう。交通が開けて各国の文化が交流すればする程文化は発展するのです。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】大和民族は古いのでせうか。
【御垂示】いや大和民族は新しいです。日本自体が新しいのです。之は私の意見ですが、ダイヤとかプラチナなんかはアフリカ等に沢山出て、日本には出ない。鉱物は古くなればなる程硬化する。だからダイヤやプラチナは相当古いものです。之が日本にない。従って日本は新しいといふ事になるのです。
アメリカは世界で一番新しい。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【御垂示】外人との結婚はいゝですよ。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】以前天津祝詞は御先達一人で奏上し御神名から一同で奏上致しましたが、今は之を致しませんが如何でせうか。
【御垂示】今の祝詞は私がやらないからそれでいゝわけです。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】御軸に対しまして合掌してから頭を下げる人と合掌せずに頭を下げる人とありますが何れがよろしいでせうか。
【御垂示】手を合せてから頭を下げる方がよい。御供へ物は人間の方へ向け人間が見易い様にするのが本当です。神と人間と両方満足する様に。ドイツの哲学者のオイケンは之に就て「人間が満足するために神を祀るのである」と主張してゐました。気持を矢張り神様に上げる事です。神様の御供へには箸は要らない。御先祖には向ふ側(仏様の側)に箸をつける。観音様の御軸に対する御供へは箸を観音様の方においたら宜しい。御供へ物を神様は召上るといふより霊を入れて下さる。祖霊は喰べます。御供へしておく時間は余り長すぎてもいけず直ぐ下げて了ふのもいけない。御供へして祝詞を上げてそれが終ったら下げたらよろしい。
【お伺】会員の方々が御供へをした場合は――
【御垂示】三十分か一時間位御供へしておいたらいゝでせう。余り長くおいてもホコリがたかったり品物が痛んだりしますから。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】幽世大神とは閻魔大王の事でせうか。
【御垂示】えゝ閻魔様です。幽世大神も観音様の部下なんですが、霊界で係りをやってゐるから御唱へするのです。丁度此の世でも区役所の仕事は内務省の管轄だが、いきなり内務大臣へは行かない。それと同様に夫々係りがあるのです。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】夫婦の先祖の霊を同じ仏壇に御祀りしてもよいでせうか。
【御垂示】いゝです。そこの夫の先祖の次の位に祀ったらよい。夫婦の霊は片方だけでなく必ず一緒にして祀らなければいけない。妻は妻の先祖を祀ればよいが、主人は先祖の外、亡くなった兄弟等も祀る。位置は左が上座です。
養子は女の家が主体になる。養子を迎へるのは養子が女になるのです。名前で「三」の字が附いたのは大抵養子になる。「三」とは女の働きなのです。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【御垂示】大黒様は御軸の正面に祀るのがよいが、止むを得なければ観音様の左、向って右でよい。
床の間の上は何も掲けないのが本当です。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】天津祝詞の中の神漏岐、神漏美の命様に就て――
【御垂示】高御産、神御産の神なのです。一番上に、天御中主大神、次に神漏岐、神漏美、次に高御産、神御産、次に伊装冊となるのです。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】「大先生はいろいろの型をなさって御出になる」由ですが、その事の基礎的知識に就て――
【御垂示】之は神様がやって御出になるのだからね。私は別に何も――。之は今は云へません、時間が来たら話しをしよう。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】山口県長門三隅(萩から約一時間、古戦場)長崎県五島(墓を粗末にしてゐる傾向あり)右二ケ所は極端に霊憑りの患者が多いのですが――
【御垂示】ほうそうですか。動物霊ですね。それはそこの霊界が曇ってゐるから動物霊が働くのです。やはりその土地の神様の位が低く力が弱いのです。
【お伺】御軸や御額を御祀り致したら如何でせう。
【御垂示】あゝ勿論結構です。以前治療所と云ってゐた時分、額を沢山掲けた所は発展しましたよ。最初から一番沢山かけたのは渋井です。私もその発展ぶりにはびっくりしました。
御額はたゝんで三方にのせてたって駄目です。ちゃんと展げて掲けねば。
【お伺】一寸家の事情、例へば金がなくて表装出来ぬといふ場合は――
【御垂示】そんな事はないですよ。表具屋へやれば必ず金が入って来ますよ。借金をしてもいゝから表具屋へ持って行く事です。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】家に永く居た蛇が死にましたが如何処置したら宜しいでせうか。
【御垂示】人の踏まぬ所へ埋めて祝詞を上げてやんなさい。石を刻んで立てればよい。一時的には――明神と木に書いて立てゝもよい。長村明神なんか蛇には丁度合ってますよ。天津祝詞を上げ、最後は「幽世大神」と唱へ「此の次は人間に生れて来ます様御守護を御願ひ申し上げます」と云ってやればよろしい。家に永く居た蛇なんか大抵祖霊ですから。
(昭和二十三年六月二十八日)
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【お伺】御許しなしで御言葉を印刷し弟子に配布致しました――
【御垂示】構ひませんよ。たゞ判らない人が見て誤解を起す事のない様注意すれば。私もこうして話をするのも出来るだけ常識に合った事を話して誤解のない様にしてゐるのです。
(昭和二十三年六月二十八日)