御光話録  昭和二十三年四月

四月八日(木)

【お伺】講習を受けた娘さんですが結婚生活二ケ月の後離縁致しました。所が婚約の時先方から刀を贈られましたので、今度返したのですが、どうしても受けとらないので、その刀の始末がつかねば次の結婚に差障るとて母親が心配して居ります。その刀は如何処分したら宜しいでせうか。

【御垂示】それは後であんただけに教へて上げませう。

(昭和二十三年四月八日)

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【御垂示】大黒様はいくつあってもよい。以前私の所には五十体位あった。別に欲張った訳ではないですが、後に人に分けて上げました。大黒様は大きい方がよい。小さいのが数あるより大きいの一つの方がよい。

【お伺】大黒様の御祀りの仕方は――

【御垂示】観音様の前に置いておけば別にお祀りはしなくても宜しい。観音様の御祀りの時に一緒にやればよい。

(昭和二十三年四月八日)

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【お伺】過去によく霊気療法といふのを聞きましたが――

【御垂示】人間の霊気にはいくらか治療の効がある。霊気療法のはそれです。

(昭和二十三年四月八日)

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【お伺】何か世間に水の霊気といふのがありますが。

【御垂示】今迄の療法は患者の病気を引きうけるのです。御木徳一が人の道を始めたのは、徳光教の金田徳光のためです。この人は相当偉くて奇蹟をいろいろやったんですが、それが御木の喘息を治した。所が御木の方はすっかり治ったが金田が今度は一ケ月許り苦しんだ。そんなことから御木は「人の道」を作ったんですが、こういふのをお振替といって他人の病気を自分が背負って苦しんで了ふ。で、毎月二十五日にそれを神様にとって貰ふ。まア苦しみを神様にしょって貰ふんです。あれはこんな風にしてゐましたが段々病人が多くなり、苦しみも一人でしょい切れなくて準教祖といふのを十人位作ってました。今までのは皆引きうけるんです。それは神は月の系統であって水で治す。まア洗濯の様なものです。だから水は汚れて了ふ。所が私のは火で燃して了ふんだから自分は汚れず、病気をしょふどころかやればやる程丈夫になる。それはあんた方がやって、判るでせう。火を使ふのは今迄なかった。霊界が昼になった証拠です。

キリストも矢張り月の系統です。彼の奇蹟は後世大袈裟になったんでせう。教祖に値打をつけるためにやったんですよ。日本にも弘法大師の石薯なんてありますね。弘法大師は病気を治す力がなかった。だから弘法灸を使ったんです。釈迦にもこの力はなかった。それで薬草喩品がある。観音様は薬師如来で薬をのめと説かれてゐる。之は未だ夜の世界であり浄化させるよりも浄化停止の方が手取り早かったからです。観音様は神の化身であり伊都能売大神ですがその上に主神が居られる。それは神道では天御中主大神、キリスト教では天の父、ユダヤではジュース、又メシヤ、支那では天帝、印度では大自在天と云ふ。キリストは父の命で父の子として現れたといふが、それはあの時代必要があって出たんです。私のは主神の力が伊都能売大神を経て、更に私の体を通して皆に行くんです。私は電灯会社であり、観音様は水力電気、大神様は水を出す源です。御守りは一つの霊線の中継ぎ、まア電球ですね。この電球は本社は同じですが、人によって百燭光にもなり又十燭光にもなる、その人の働き次第です。普通の人の霊力とは全然違ふ。御守りのない人がやるのは丁度電灯のない所で手探りしてる様なものですよ。まア修行しても懐中電灯位ですよ。

【お伺】水の霊統も固めに属するのでせうか。

【御垂示】固めです。自分の力で治療するのは固めです。ウスヰ式治療法なんかも固めです。あれは重病人は入院させてましたが結局御自分も入院して死んで了った。元、海軍の軍人の間に大分盛んだったですね。

(昭和二十三年四月八日)

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【お伺】野菜の無肥料栽培に就て御伺ひ致したいのですが。

【御垂示】やり方は今までと同じですがね。今までの畑は肥料があるから悪い。又種子にも毒が入ってゐるから三年位は駄目です。だから畑は新しい土を入れ替える。長く作ると土の養分がなくなるといはれて来たがさうではなく、使ふ程土の養分が出る。砂を焼いて入れるのも不自然だからいけない。無肥料でやると物によっては初めからよくとれるのもあるが大体二、三年から四年位経ってから収穫がふえる。

堆肥は使ってよい。この腐らしに加減が要るんです。木の葉は葉のすじが残ってゐてはいけない。堆肥を使ふといゝのは、堆肥に肥料があるからではなく、熱が出るからいゝんです。肥料の成分――窒素にしても空中に充分ある。それは地霊ですが、その上に製造したのをやるでせう、だから多すぎて了ふんです。燐酸やカリも同じで熱を起す働きですが却って毒が加はる。土が酸性になるのは肥料をやりすぎたためです。

第一土は生かしてやらねばならない。だから連作してやらねばいけない。箱根で栽培してゐるんでも、ナスやトーモロコシを連作してますが、それでよく出来るんです。而も悪い石だらけの土地で、第一虫がつかない。虫なんかは肥料から生じる。だから消毒、殺虫剤を使ふのは間違ひです。あんな薬をぶっかけたら虫は死んでも、土が荒れて了ふ。トーモロコシなんかもう五、六年やってゐる。神山荘の近くの呑本の婆さんがビックリして種をくれといふから、種子がいゝのじゃないと云ってやったんです。果樹は私はやってないが、今迄の様に剪定は必要でせう。枝豆はとても虫がつき易いんですが箱根の枝豆には全然虫がつかない。

【お伺】半年程前に青森の林檎の産地で薬を使はず小鳥とか蜂、蛙などを使って害虫駆除に成功したといふ記事がありました。

【御垂示】さう、小鳥なんかそのために神様が生かしてある。作物は根の伸び易い様にしたらいゝ。堆肥を使ふ時も木の葉の固いすじに根がつかえない様に腐らかして了ふ。草ならば余り固くないからさうでもない。土が固まって了ふのを防ぐのが堆肥です。専門家は根によく空気を入れるといゝと云ってるが、そんなら空中にさらして了ったらいゝ。中耕も土を固めぬためです。箱根で古くて小さい、いぢけて了った木を見ると下に石が沢山ある。それが邪魔して発育が悪いんです。根が石なんか割りますからね、すごい力です。だから耕すのも固まらせない事が必要です。麦踏みは霜のためですね、冬を越すから。霜は上からでなく下から土をもち上げる。だから土がふかふかして了ふ。それを防ぐために麦を踏むんだからあれはいゝ。野菜の中、根を喰べるものは根に陽が当る様にすればよくとれる。甘藷などは畝幅を開けて、又一番よく陽が当る様に畝の方向を按配する。さうするととても大きくなりますよ。上野毛でも大きなのが出来た。

一番よく判るのは雑草です。虫がくってないでせう。あれは肥料をやらないから。第一、肥料をやらないと旨いんですよ。茄子なんかいゝ香りがして、ジャガイモなんかも真白でいゝ香りがしますよ。だから無肥料のを喰べつけると、クソなんかまいて作ったのなんか食えない。大根でもガリガリ云ふのは皆肥料です。無肥料だとキメが細かくてねと細かくてねとしてます。普通は大根にはよく肥料をやるんですよ。まるでクソまみれです。サツマイモは農林やオイランはすじがない。キントキは無肥料でもすじはあります。

(昭和二十三年四月八日)

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【お伺】仏壇の中の御位牌が多すぎた時はどう致したら宜しいでせうか。

【御垂示】原則としては面識のない祖先は先祖代々之霊の中へ入れていい。面識のある人のは位牌を作って祀る。が、多くなったら古いのから整理したらよい。勿論その時はお祀りをする。位牌はいくら小さくてもいい。之は大黒様とは違ひます。然し等級をつけねばいけない。例へば子のよりも親の方を大きくするといふ風に。

鐘を叩くのは今御馳走を上げるという合図です。食物を供へると霊界ではちゃんと係がゐてね、食物を運搬するんです。朝お祀りしても祖霊が来ますよ。ちゃんと何百人も来ます。そんなに大勢集ってもほんのこれっぽっちの大いさです。何しろ霊は伸縮自在ですからね。

(昭和二十三年四月八日)

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【お伺】主人と私と神棚仏壇と二つになってゐるのですが。

【御垂示】それは仕方ないですね。一緒にするんなら神棚が上です。箱だけ別にすれば並べてもいい。その際神棚は左、仏壇は右です。霊界でもそれは別々です。此の世で夫婦でも霊界では大抵別々な所へ行って了ふんです。会ひたいとてちょっくら会えない。修行が出来ると神の許しを受けて会ひに行けます。或階級のものは夫婦生活が出来る。だから現界で一生懸命人助けして修行しておけば出来るんです。死んでから一緒になるといいますが、心中なんかしたら体がくっついてゝ離れない。やがて許されて離れても別々な所へ行って了ひます。この修行とは執着をとることです。仮令神の許しを頂いて会えた所でキス一つ出来ないです。キスなんかしようとすれば体が硬直して了ふ。之は執着があるからです。

【お伺】霊界で新しく夫婦になれますか。

【御垂示】そんな出たら目は出来ない。然し想念が一致する方に近くなることは出来る。それが第三天国以上だと神格が出来ますから夫婦生活も出来ます。霊界は秩序整然たるものです。此の世の親子だって霊界では居る所が違ひます。子の方が親より上の人も居ますよ。

(昭和二十三年四月八日)

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四月十八日(日)

【お伺】薪を燃すため御軸が汚れた場合は――

【御垂示】そのまゝで宜しい。大したことはありません。煤が下ったらハタキではたいたらいゝ。

(昭和二十三年四月十八日)

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(京都の一住人からの手紙を井上先生朗読、内容は――)

【お伺】一、何故に八つの分会が分立してゐるか、

二、天国会では昭和二十五年に大浄化があり、その時天国会の会員だけ残り、他  の会員は死んで了ふとの予言を宣伝してゐるが真意如何、

三、入会金、御守り代の高価な事、真の宗教ならば金を沢山出したもののみ救は  れるなどと云ふものではないと思ふが如何、

四、農村人には天国会の云ふことに驚き真意も判らずに入会してゐるものが相当あり、之では意味がないと思ふが如何。

【御垂示】神様がやってるんだから間違ったことをすればその人が間違ふだけである。神様から制裁を加へられる。外の人は気をもむ必要はない。まアこんなことはいゝ加減にしてゐればよい。それから大勢の中には頭の変なのも居る。そんなのを一一取り上げてゐてはやり切れない。それこそしまひには観音会警察部を作らねばならなくなる。

大本教の御筆先に「世界の人民三分になる」とある。之はのことかのことかわからない。中島の方で大浄化の時は二割しか残らぬと云ってゐるのは、中島が大本で凝ってゐるからそういふんだ。三割が二割までおまけしてある。わたしらは%と解してゐるが、それはわからない。神様はわかってゐたって人間には知らさない。

やはり大本の御筆先「こわさ故の改心はほんまのものではないぞよ」とあるが、こわくて改心したのは本当の改心ではない。天理教でもよく人をおどかすが、脅迫するので本当でない。つまり愛で改心するんでなければ駄目です。不良やヤクザと一緒では神様の仕事ではない。

【お伺】福井の方でも昭和二十五年に八割死ぬとか云ってゐる様です。その他天国会でなければ駄目だとか、来年になれば大先生は極楽へ行かれて了って御目にかゝれないから今の中に行けとか云ってゐると聞きました。

【御垂示】冗談ぢゃない、私はまだ極楽へは行きませんよ。

【お伺】全くそんな具合に大先生に対しまして丁度ヒイキの引倒しの様なことをよく耳にします。又分会分立のことでも会員は大分悩んで居ります。

【御垂示】いやみんなケツの穴がせまい。そんなことでは世界は救はれない。争ひをなくするのが此の道であるのに争ひを自分らでやってゐては駄目だ。分立も去年文部省で八つにしろといふんで、私は嫌だったがやったまでです。まづ観音会を救ふ事が先ですね。

【お伺】下北沢の神官が、将来は一つの宗教に統一されること、薬はいけないものであるが今迄は止むを得ず使ってゐたこと、赤・白・黒の蟻があり、今に金と銀の蟻に征服されること、を云って居ります。

【御垂示】蟻にも共産党があるんですね。

予言予言といふが、宗教で予言のないものはない。キリストも釈迦も皆予言者ですよ。「天国は近づけり」と云ったのも予言ですよ。天理教もさうです。日蓮の「義農の世」といふのも予言です。が、あゝいふのは捉へ所がないからいゝ。何年何月にどうなるなんていふのは外れるに決ってゐる。仮令予言しても又神が変へて了ふんです。それは一般に知れてはいけない事なんだからです。みんな予想なんですよ。予想が理想です。日をきったりするのなんかウソだと知っていゝ。

(昭和二十三年四月十八日)

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【お伺】昨日真知学会(ミロクロッヂ)の会合に行って参りましたが、その時世界には七種の人種が次々と出る。第一がなくなる時大戦争や天災があり、そして第二の人種が現れる。第四の人種は太平洋中に没したアトランチス人で、彼らの時代には飛行機なんか今よりもっと素晴らしいのがあった。そのアトランチス人の血が日本人に混ってゐる。今は第五種の時代であり、又第六の人種が出つゝある。そして第六のは顔は印形で霊の事を解する人種だと云って居りました。会長の三浦さんと云ふ人に「ミロク」の働きこそ我々の働きなることを話しましたら大変喜んで居りました。

【御垂示】それは確かに真知ですね。学ンで知るを人知と云ひ、学ばずして知るを神知と云ふと云はれる通りです。時期が来てそろそろあちこちに現れ出してますね。

こうやって手で治す方法もずっと古い時代何千年も前にはあった訳なんです。

【お伺】日本の古文書のウワツブミにも出てゐるさうです。

(昭和二十三年四月十八日)

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【御垂示】雑誌は何時頃出来るんですか。

【お伺】大体六月頃になると思ひます。

【御垂示】一つ私も文章を書いてみませう。そしてそれに依って之を広めて行ける様に野々山さんにも書いて貰ひなさい、野々山さんはなかなか筆の立つ人だから。よく出来たら観音教団の機関紙にしてもよい。

(昭和二十三年四月十八日)

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四月二十八日(水)

【御垂示】これから直接云ひ難いことや恥かしいことは要点と住所姓名を一緒に書いて井上さんに出して下さい。それに対して次に質疑応答式に返事をして上げますから。それによって外の人も開発されますからね。

(昭和二十三年四月二十八日)

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【お伺】或日霊媒の所へ参りました所、戦死した主人の霊が出まして昭和二十年六月二十三日十三時点呼をしてゐる様子をし「よし」と云った瞬間倒れ右胸に入れてゐた光明を三回さぐり「よく判った」と三回云って死んださうでございます。御守護を厚く御礼申上げます。又私に「お前は米国へ行き此の道で人を救へ」と申しました。

【御垂示】此の間も戦死者の霊がその姉に憑り昭和二十二年何月何日何時何分に死刑にされたが、その時は十五人横に寝かされ、その上をローラーで引いて殺された。自分だけは今度許されて日本へ帰ることが出来たが、殺される時隣りには何某何才、その隣りは何某何才とすっかり教へてくれた。普通こういふ死に方をすると地縛の霊となってその場所を動けないのだが、その姉が去年の秋御守りを頂いたのでその功徳で救はれた人です。

(昭和二十三年四月二十八日)

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【御垂示】最近新潟の方でコレラの様な病気が流行してゐる。群馬の方でもあって六日病と云ひ、六日で死んで了ふんです。ラヂオでは三日で治ると云ってますが嘘です。医学の統計なんかも嘘が多いんです。小野田の妻君が之に罹った時は下痢やら嘔吐が続いて水も飲めず、どんどん衰弱して了ふ。一時間位の中に顔の相が違って来る。そこであしたの朝大先生の所へ行って御願ひしようとして仕度してゐたら卅分位経って少し宛よくなりもう大丈夫になった。この病気は治療しても効がなく、却ってひどくなり注射なんかすると必ず死んで了ふといふ物凄いのださうです。これが全国に拡まったら全く恐怖時代ですね。いよいよ恐怖時代が来ますよ。今後こんな病気の時は熱海の方を向いて「大先生御守護御願ひ申上げます」と頭を下げて言ったらよい。これからはこういふ方法も許される。

【お伺】霊的なのではないでせうか。

【御垂示】いや霊的ではない。人間は衰弱すると必ず霊が憑る。だから霊的な病気の様に見えるんです。こんな場合霊媒に見て貰っても丸呑みには出来ない。狐や何かゞ憑いていろいろと喋ったりするからね。肺病でも衰弱して来て症状が霊的に見えるのは霊が憑くからです。

(井上先生「天国の福音」中の省略された原稿「恐怖時代」を朗読)

(人類は今まで薬を使って来たが今後霊界が昼になるにつれて火素が増量し、今まで服用した薬は体外へ排除される。その時も既存の固め療法をしてゐたら勿論死を免れない。薬毒の多い現代人はその時が到れば急激な浄化のため相次で死亡し「人類は何分の一、何十分の一又はそれ以下に減ずるかもしれない」そしてその恐怖すべき時代は「一九四七年以降数年間に現出するであらう」)

【御垂示】皆毒で一杯なんだ。肉や皮膚より毒の方が多いでせう。でせうぢゃなくて全く多いんです。その時にカイセンをやった者は浄化が軽くて済む。だからカイセンは有難いんですよ。

【お伺】肉三膿七ですか。

【御垂示】その位なら上等ですよ。肉一毒九ですよ。昔は「膿塊人」と題して笑冠句を作ったもんです。今の様な激しい病気や形の変った浄化が起った時、初めてこのお浄めの意味がわかります。私がこう云ふと悪宣伝の材料になり観音会に入らぬと死んで了ふなどと云ふ人が出る。私が云った通り云ふならいゝけどオマケがついて了ふ。空気が三分間なくなるといふ話もよく調べたら出口王仁三郎が言ったんです。そしてこっちで云った様にしてこっちを害しようとしたんです。やっぱり邪神が憑依してゐるんです。外の宗教でもこういふことは云ってます。

以前キリスト教の牧師で「天国の福音」会々長といふ人に会ったらその人が曰く「世の終りとは人類が全部死んで了って千年経ってから一旦死んだのがポツリポツリと生きかへる、それが復活だ」と云ってゐた。その頃私は宗教の事はよく知らぬのでバカバカしくてね。又チベット学者の河口慧海を訪ねて、人間は死ぬとどうなるかと訊ねたら、宇宙の大霊に溶けこんで零になって了ふと云ってゐました。そんな考へになると虚無思想で悪い事をする様になる。何故なら善をしても悪をしても死んでから零になるんなら悪いことをしても此の世で楽をしようといふ気持になるから。

何年何月にどうなるといふ予言は外れるものだ。関西の地震もさうです。そういふ事は人間に判ってはいけないんです。寿命と同じで寿命が予め判ったら人はいい加減前からもうあとこれこれで死ぬんだからといってブラブラ遊んで了ふでせう。地震が確実に予言されたら家を建てる人もなくなって了ふ。だからそんな事を知らせるのは邪神です。正しい神は唯こういふ事が将来あると知らせるだけです。大本で浅野和三郎を訪ねた時、お立替は昭和十一年にあるといったので、もしなかったらどうするかと問ふたら、私は軍人だから腹を切ると云ってゐた。十一年には何もなかったので彼は止めて了ったのです。キリストの再臨なんてのもね、「メシヤは夜盗人の来るが如く来る」とか「栄光の雲に乗って天降る」とか書いてある。これはどっちにもとれる様にしてあるんです。

(昭和二十三年四月二十八日)

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【お伺】仏教がなくなると因縁なんかはどうなりませうか。

【御垂示】もっとはっきりする。仏教のは曖昧だ。だから因果応報はこれから早くなる。今まで悪い事をして出世してゐる人があり、死ぬまで大してその報ひを受けてゐない様に見える事もあり、世間の人々は「あんなにあの人は悪い事をしてゐるのに何ともないのは変だ」と思ふことが屡々ある。之は因果応報が遅かったからです。然し之も体に入れた薬が何れは出さねばならないのと一緒です。それが段々に時期が来て早くなり、最後には即障即暴(ソクショウソクバク)となって直ぐに暴露して了ふ様になるんです。最近そういふ傾向が随分ある。戦死者だってさうなんですよ。

(昭和二十三年四月二十八日)

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【お伺】人間の神に対する冒涜の罪の裁きはどんなものでせうか。

【御垂示】病気とか又は非常な苦しみです。

【お伺】その場合病気の症状で判りませうか。

【御垂示】判りますね。一家死にたえる、一人ではすまない。神社の大木なんか勝手に切るとひどいですよ。大抵一家死に絶えて了ふ。神に対する冒涜の怖しさは私も随分体験してます。その中で一番重いのは、つまりね、昔竜神様を押し込めた罪、押し込めた方に味方した罪が大変で、今はその裁きの時なんです。今迄の特権階級がさうです。これからは益々大変なんだが、まあ余りはっきりは云へません。結局は祖霊の罪になるわけですね。

【お伺】三毒の中の然毒には之が含まれてゐるのでせうか。

【御垂示】いやいや含みません。此の裁きに会ふとね、つまり訳が判らずに死んで了ふ。ここの町会長は一昨日家内が出会った時元気だったんですが、その晩急に死んで了った。こんなのはさうです。

【お伺】唯物論者なんかは如何でせう。

【御垂示】相当な罪です。今に見てらっしゃい判りますから。あれはサタン――赤い竜が支配してゐるんです。

【お伺】此の前も宗教家と唯物論者がラジオで対談して居りました。

【御垂示】えゝ私は聞きそこなったですが、私は以前から共産党の赤龍と戦ってゐるんで、今も戦争中です。今年中にこっちが勝つでせう。二十年前にも共産党の者が私の命を取らうとして匕首を持ってやって来て、それを畳につき刺して脅迫しました。そいつは赤龍ですから顔から首まで真赤だった。その要求は金銭上の事ではないんですが、それを承知して了ふと私の仕事が出来なくなる様なものでした。私の仕事の邪魔をしに来たんです。

(昭和二十三年四月二十八日)