御 垂 示 録 (第十九号)

四月一日

“乾山代々を偲ぶ会”というのを十四日から三越でやります。品物を借りに、いろいろ目録を書いて来たのです。乾山代々を偲ぶ会というのですから、やっぱり光琳、光悦、宗達というのでしょうが、方々から一点か二点ずつ集めればありますが、私の所に来れば纏まっているから非常に世話がありません。それで十数点貸してくれというので、大体貸す事にしました。

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「先だって熱海の新聞に重要文化財という事で出ておりましたのは何ういう物でございますか」

兀庵(ゴツタン)という支那の宋時代の坊さんのものです。まだいろいろ重要文化財になるのがあるのです。洋人奏楽の屏風です。もう一つは布袋の茶掛がありましたが、それも重文になると言ってます。しかしお役人がやる事なので、なかなか手間がかかります。それから岩佐又兵衛の二巻の巻物もなります。だんだん品物は無くなってしまうので、無くなるに従って望みというのは増えて、値段ばかり張っています。今聞いたのですが、因果経の五十行が売りに出たのです。私は知ってますが、どんなに高い値段になるか分りません。

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「昨日大塚巧芸社の因果経の複製を拝見させていただきましたが、大変に良く出来ております」

良く出来てます。随分売れるでしょう。ああいうのは世界中に売れます。「湯女」も大変です。これは浮世絵では日本一です。「彦根屏風」と「松浦屏風」と「湯女」の三つが一番ですが、その三点の中でも「湯女」が一番だそうですから、世界一の物です。アメリカでもあれは評判になっているそうです。

「何時頃日本に帰りますのでございましょうか」

今年一年ですから、早くて暮でしょうが、来春には帰るでしょう。私の方で持っている美術品という物は何処まで高くなるか分りません。私は最初から一級品を狙ったのです。琳派物でも今は大変なものです。後ではもう出来ないのですから、何処かへはいってしまえばしようがないです。それで今美術品愛好というものは世界的に流行してます。今度の浮世絵展でも、浮世絵の良い物が集まりました。ですから今に浮世絵の良い物も大変な事になります。ところで浮世絵の肉筆の方が安いのですから、そんなばかな事はありません。それで私は肉筆を狙って、安いうちに買ったのです。ところが今は肉筆も大分高くなって来ました。これは神様がやっているのですから、実に不思議ですが、今度はエジプト、ギリシャ、ペルシャの物が集まって来てます。それが又安いのです。しかしこれは今に高くなるだろうと思います。なにしろ三千年前の彫刻ですから、日本の天平、奈良朝よりもっと古い物です。

「何時頃日本に渡来したものでございましょうか」

分りませんが、明治頃に外国に行った人が珍らしいというので日本に持って来たらしいので、徳川時代には無かったでしょう。明治以後に外国に行った人が珍らしいので持って来たのでしょう。エジプトではそういう物は一切国外に持ち出す事を禁止したそうです。ですからこれからは駄目です。それでエジプトの墓を掘ったりしたのでしょう。それはみんな三千年以上のもので、その人の愛好品を中に入れたものなのです。ですから中国も、中共政府が去年あたりから墓をあばいているのですが、其処には貴金属があるので、それを掘り出して財政を補おうと思っているのです。それはエジプトも、ピラミッドの中の王様の墓には良い物が埋まっているのですが、それが又なかなか良く出来ているのです。陶器なども実に良い物です。今度美術館に出します。それからギリシャの壺で、二千年以上前の物ですが、裸体の女が踊っている模様になっているのです。ですからその時分にストリッパーがあったのでしょう……これは新しいものと思ったら大違いです。なかなか良く画いてあります。黒地に肉色で踊っているのが出ているのですから、今見ても、実に今画いた様です。ああいうのを写真版にして何かに使ったら面白いと思います。二千年前のストリッパーという事で……。二、三カ月前に千五百年くらい前の支那の六朝時代の石で出来た三尊の彌陀があるのですが、それが学会の問題になって、学者が調査した結果、最高の物なのです。日本では勿論ですが、外国でも一級品だろうというのです。それで研究して、そのために本を一冊こしらえて、それを引き受けてくれと言って来ましたから、冗談じゃない、私の方はそんな物は読みたくないと言ったのですが、なかなか大した物です。今度美術館に出しますが、ペルシャの経本で、羊の皮で出来ていて、それに金でペルシャ文字が書いてありますが、実に良く出来てます。まるで印刷した様にきれいです。それが何十枚もあります。面白い物です。飜訳でもしたらなかなか意味があると思います。それが良い箱にはいってますが、その箱が又ばかに良いです。彫刻になっていて、金を嵌めてあって大した物です。今日から、油絵では一番古い光風会の油絵の展覧会を上野でやってますが、参考品として品物を借りに来たので、三つばかり貸してやりました。それは石で出来ていて弓を射っていて彫刻と、ギリシャの壺とで、これは良い物です。獣が画いてあって、まるで今こしらえた様です。非常にモダンです。美的に見ても実に立派な物です。それが約二千何百年か前の物です。

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「ブリジストン美術館で、フランスから松方さんが持って来た物を陳列してあるそうで、それを一度是非御覧いただきたいと申しておりました」

是非見ましょう。しかしコレクションの一部でしょう。まだ大方はフランスの政府が押さえているのです。それは少し遅れて来る様です。今度来たのは一部で、もっとあるそうです。油絵の良い物で少し古い、後期印象派の値段というのは大変な物だそうです。

「七百五十万とか聞きました」

それは安い方です。只みたいなものです。アメリカのそういった物は三千万円から四千万円です。それでどんどん売れるのです。一千万円くらいのはザラでしょう。しかし値打がない事もありません。この間私は京橋の近代美術館に行って来ましたが、やっぱりブリジストンの品物を貸し借りしてます。セザンヌの人物ですが、全く良く画いてあります。あれを見たら、日本の洋画は全く子供の様です。セザンヌ、ゴーガンの後期印象派ですが、実にうまいです。しかし、うまいとは言っても、あれは日本の光琳から出たのです。写楽(シャラク)、歌麿(ウタマロ)から出たので、その元はやはり光琳ですから、ああいう絵が三千万円からするとすれば、光琳は五千万円から六千万円という事に、いずれなります。それより光琳の方がうまいのです。 今度三越でやる“乾山代々を偲ぶ会”というのは、イギリスの陶芸家でバーナード・リーチという人が乾山崇拝なのですが、この人が見たいというのでこの会をやることになったのです。それでこのリーチが自分の作品をいろいろ持って来たそうですが、全部売れてしまったそうです。この人が崇拝しているのは乾山の陶器なのです。この間私の方にある乾山の五、六点を貸す事にしました。結局リーチも乾山の真似をしたわけなのです。だから日本の美術というものがだんだん世界に分って来るわけです。今浮世絵の肉筆の良い物が相当集まりましたが、それは実にうまいものです。あれを見たら、西洋のどんな絵でもとても比べ物にはなりません。北斎(ホクサイ)にもうまい物があります。いずれ美術館に出しますが、それはうまい物があります。岩佐又兵衛、宮川長春にも実にうまい物があります。今はまだ安いですが、これが世界的に分って来たら大変なものです。戦後財産税や何かで安かったのが、今は大抵十倍から二十倍です。金儲けの方からいくと、私は随分腕があったのです。ところが儲けるつもりで買ったのではないのです。なにしろ私は良い物で最高の物を集めるが、それが当ったのです。三級四級というのはそう高くはありません。かえって安くなったでしょう。二つとない最高品はどんどん上って行くのです。歌切れの様な物でも、私は全然知らないのです。それでも見た目が良いですから、歌などはどうでも良いのですが、表装が良いので狙ったのです。ところが今になってみると、表装が良いのは中の歌も良いのです。やっぱり歌が良いから表装も良くしてあるのです。それで買い損いはなかったのです。それで私は光琳、乾山、仁清の物が好きで、そういうのを狙って買ったのですが、それが一番人気があるのです。それから面白いのは曼陀羅ですが、これは大抵双幅のもので金剛界と胎蔵界を画いたものですが、金剛界と胎蔵界というと日と月で、日の方が金剛界、月の方が胎蔵界です。箱根の美術館にも、金で細(コマ)かく作ってあるのがありましたが、もっと古いのは藤原、鎌倉の初期です。見ると、実に細かく画いてあります。ところがそれが五、六年前は、高いので一  幅六、七万円でしょうが、それがこの頃は、それよりもっと悪い足利時代の物が五十万円ぐらいはしましょう。

道具屋の話の様になりましたが、これでは信仰の話は出て来そうもないからこのくらいにして、質問をどうぞ。

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「まだ“⇒アメリカを救う”と“⇒結核信仰療法”での反響はございませんでしょうか」
「今日の朝日新聞の学芸欄に“神経科から見た世相”という事で“薬毒と称する噴飯に価する幼稚な学理をもって医学を非難している、放っておけない”と言っております。“しかし又口を出させたという事は医学としても考えなければならない”という事が出ておりました」

何でもよいから問題にしてくれればいいのです。問題になれば“では研究しよう”という事になって、それで結局分るのです。それは大きく出てますか。

「大きく出ております。それから文部省の迷信調査協議会で“病気のときは信仰によってなおすか”という事を四千名にアンケートし、医者にかからないというのが二%あり、そういう事もいろいろ考えなければならないと書いております。  それから“結核信仰療法”の売れ行きを本屋で調べておりますが、私達としましても“⇒アメリカを救う”に全力を上げておりまして、まだはっきりとしておりませんが、ほとんど標題を見てそれから買って行くので確かだと申しております。このままで押して行けば問題になるだろうと思います」

それは“⇒結核信仰療法”の方が数はずっと売れます。

「ただ、さばき元の方は本屋に売りつけ様とするし、本屋はなかなか受けないのです。それは一つは、救世教の信用、宗教書は受けないという事、あまりに突飛だから、というので、この点何とか本屋を啓蒙して行きたいと思います」

結構です。とに角お蔭話の実例を読んだら息の根が止まってしまうでしょう。とに角事実ですからしようがないでしょう。ですから前から言っているとおり、どうしても医学との戦いになるのです。それは大問題になるよりしようがありません。

「私共の方では“⇒アメリカを救う”の時は、いくら頼んでもとってくれませんでしたが、“⇒結核信仰療法”は黙まっていてもとってくれました。二軒ありますが、二軒共とってくれました」

なるほど。それで言い訳みたいな事を言うのです。今に政府が困る事になるでしょう。全く新宗教などにあれほどやられるという事は、如何に医学に欠点があるかという事で、それに違いありません。反省しなければならないという事になります。では何うするかという事です。ですからこの頃やっきとなって薬の宣伝をやってます。

「ところが最近の薬の広告を見ておりますと、私共の事を裏書きしているのが大分あります。二、三日前から喘息の薬の広告が出ておりますが、現代医学では喘息の原因は分らない、本来は発作を止めるという事を重点として出来た薬だ、という事を言っております」

昨日か一昨日の新聞に喘息をなおす方法を発見したというのですが、咽喉に痰がからむのが原因だから、痰がからまない様にする薬を発見したというのです。なにしろ問題になるとすると、人に知れるのが大変なのです。だから朝日が問題にしてくれるという事は広告以上です。それも神様が良い様にしているのです。

「朝日の連中がこちらの本を随分読んでおりますから、面白いと思います」 

とに角邪神界の方では脅威なのです。今まですっかり瞞まして、いよいよ自分の目的が達成するという瀬戸際に本当のものが飛び出たのですから大変です。やっと文明国の人間をこれだけに弱らしたのですから……。なにしろヨーロッパの国民などはほとんど弱ってしまっているのです。ですからソ連が戦争しかければヨーロッパの方は何でもありません。ただアメリカだけはまだそこまで弱らないから厄介なのです。ですから薬という毒をもって、これを信用させて、これまでに弱らしたという腕前は大したものです。つまりああいう医学という、人間を弱らせる方法で瞞まして、人類の生命を握ってしまったのです。今これだけ医学と薬を信じているという事は、生命をすっかり握られてしまったのです。これが九分九厘です。これは良く出てます。最初はイギリスですが、弱った一番の根本はイギリスで作っているのです。その時分はイギリスは威張っていたのです。つまり月ですが、イギリスが弱るに従いアメリカが世界に覇権を現わした。アメリカは星ですが、つまり月が落ちた後の闇には星が光っているのです。そこに今度は東方の光が出るのです。そうすると月も星も光を失って行くという事になります。今いろんな本を出しているという事は太陽の光が方々に行き渡りつつあるわけです。今まで電気やローソクやランプを使っていた者が、太陽をけしからんと言うとすると、自分の方が如何に暗かったかという事です。ですからこれは太陽の光を止め様としても、どうする事もできないので、だんだん明かるくなり、従っていくら月や星が威張ったところでしようがありません。とに角絶対の神様がやっているのですからしようがありません。だから大変に大きな仕事なのです。

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時局の話を少しします。今言っている休戦問題ですが、中共の方で案を出して、俘虜問題か何かで言って来てます。それで、いよいよ休戦が成功すると言って世界中が喜んでおりますが、そういう人達の頭というのは全く変です。休戦ができたとしても、それは戦争が終ったという事でなく一時休むという事で、それではしようがないのです。それでは朝鮮は相変らず分れ分れなのです。だからダレスが言うとおり、朝鮮から撤兵させるのが第一の条件になります。ところがそういう様な工合ですから、結局において中共の肚は、やっぱり時を稼ぐためなのです。この前にも休戦によってゴタゴタして時を稼いで、そのうちにアメリカの方では業(ゴウ)を煮(ニ)やして、こんな事をしていてはしようがない、大々的にやっつけようというのでアイゼンハウアーが出たのです。ところが中共の方は、今それをやられては大変ですから、それを何とか延ばさなければならないというのです。それを何だ彼んだと言うのはヨーロッパの方ですが、ヨーロッパはみんな体が弱っているから戦争が怖いからで、一時的自分を慰めるものです。それはアイゼンハウアーが承知しているから、そういう事を言っても軍備を緩めるような事はしないです。だからこれから千変万化で大変です。中共の方では時日を延ばそうとするし、アメリカの方では延ばさせない様にするという事のゴタゴタになってくるわけです。それで中共も折角朝鮮をあれだけやって、手を引くという事になっては、何にもならない事になってしまいます。株ですが、これはまだ下がります。“山高ければ谷深し”で、ばかに高く上げたかと思うと、下がるのも大きいのです。この昔の諺というのは良く出来てます。“山高ければ谷深し”というのは一言で真理を言ってます。こういう都都逸があります。“売れば二上がり、買えば三下がり、これが相場の本調子”というのがありますが、ちゃんとそういう様になってます。だから損する様にできているのです。

「ミロクの世にはそういう経済は無くなって行くものでございましょうか」 

そうです。相場は無くなります。なにしろ儲けるのは必要がないのです。何故と言って、儲かってもしようがないのです。大体が金は儲かるし物資はあり余るのですから楽になるのです。今は一生懸命に貧乏を作っているのです。丁度薬をのんで病気を作っているのと同じで、何にもしなければピンピンしているのです。それから一生懸命に糞をかけて米をとれない様にしているので、みんな一生懸命にやって態々苦しみをこしらえているのです。しかしそれも経綸上必要があったのですから仕方がないです。実際相場というのは真理です。私も随分やりましたが非常に教えられました。下がる時になって必ず悪い材料が出てくるのです。夏があるから冬がある様なもので、上がるというのは良い材料です。下がるという事は悪い材料です。夏になって、秋から冬になるというのと同じです。これが大中小三つの山になっているのです、大がこういう時に、中がこうあり、小がこうあるのです。世界の状態もみんなそうです。だからつまり戦争があり平和があるのです。大中小三段三段と言って、それがミロクというわけです。それでミロクは三六九と書いても良いのです。神様がやられる事は実に大したもので深いです。

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「シラコは何か罪であるという事は御伺いしておりますが、これは何の因縁でございましょうか」

確か、何かの質問で答えた事がありますが、シラコは白蛇の生まれ変りです。白龍です。それがまだ人間にまですっかり浄化ができないで残っているのです。

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「美術品などを拝見させていただき、非常に結構だという気持が霊ではいりますが、あれは欲しくてしようがないという場合にはいる霊とは違いがございましょうか」

やっぱり同じものです。芸術の最高になるから、やはりそれだけの、人を引き付けて楽しませるだけの一つの要素と言いますか……。だからそういった良い物を作るというのは霊が高いのです。私は二、三日前に、私が画いた十年前の古い観音様の表装が出来てきたので見ると、公平に見て、まずこのくらいうまい絵はありません。観音様も随分ありますが断然違います。これは誰が見てもそう言いますが、それはつまりレベルがそこに行っておれば、何をかいても何をやっても、それだけの値打のある物が出来るわけです。結局人間により人間の霊の高さです。だから磨いて霊を高くするという事が一番です。これは支部長なら支部長という人の霊の高さによって人が集まってくるという事です。その人の徳というが、結局そういう訳です。これも信仰の根本は愛です。その人を助けたい、幸福にしたいという想念が強くて、そういう様な、要するに良いものが沢山ある人ほど発展する、そういう人ほど光が強いから、その人の側に行くと気持が良いのです。それもやっぱり大乗的に考えなければいけないのです。だからつまり救世教なら救世教は金が非常に集まるというのは、何か金儲けの様に誤解する人がありますが……美術館が出来てから余程違いましたが……けれども、一人でも多くの人を救うには、やっぱりそれだけの設備機関が大きくなくては、それだけの人は救えないから、そういう意味において金はいくらでも要ります。大いに欲張るというので、それでいいわけです。それで金というものを非常に軽蔑するのは……特に日本人はそうですが……それは悪い所に使うからです。金そのものが穢れているからです。しかし良い事に使えば、これほど便利な力のあるものはありません。ですから私は鉱山もやっているし、金儲けにはなかなか抜目はありません。しかしその金は、多くの人を救うという意味において、その方が一人でも多く救えます。たとえてみれば誰が見ても、立派な殿堂があり、立派な庭園がある、それでは立派なものに違いない、値打があるものに違いない、と思ってはいって来れば、その人は救われます。ですから昔の様に乞食坊主の様では、その人が死んでから何年もたってからなら良いでしょうが、人類を早く救うにはそれではいけないのです。それが小乗的考えと大乗的考えの違いです。今までは小乗的考えが多かったのです。今まで日本は経ですから、非常に階級があって小乗的だったのです。その点アメリカは大乗的ですから、何でも金を儲ければ良いというので、ああいう様に発展したのです。だからその調和はどっちも必要なのです。経も必要なら緯も必要なのです。それをうまく調和させるのが本当です。その調和させるのが救世教です。

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「十九才の女、十五才より耳が聞こえなくなり、医者に行き通風療法の結果、鼻の恰好が変り言葉も不自由となり、その後地方の新興宗教にて一週間で聞こえる様になりましたが、事情があり帰っておりました。親類が本教でお蔭をいただいて、本人が教会に御奉仕する様になってからほとんど聞こえなくなり、御浄霊をいただきますと痙攣していたのがだんだん細かくなり、全身震える様になり、夜休みますと蛇の生まぐさい臭いがします。この人の父親の方の、おじさんは蛇を殺しており、特におじさんは沢山の蛇を殺しており、又白蛇も殺しております。言霊で祀ってやるからと言っても震えるだけで、御浄霊を止(ヤ)めるとなおります。家を建てた時に柱の下か何処かで臭っていたそうで、御浄霊をいただき臭味は抜けて来ました。耳鳴りがし、ほとんど聞こえません。飛行機の音は聞こえますが、人の声は割れて聞こえません。白蛇は白龍明神として祀っております。現在御浄霊は続けております」

庭に祀ってあるのですか。

「仮りの女中さんなので、次の部屋にお宮を作って祀っております」

水はおいてありますか。

「おいてあります。浄霊を始めて一年にはなりません」

よく通風をやりますが、これはどうもいけません。そういう事をしなければなおったのですが、そのためになおらないのです。延髄は見ましたか。

「何時も非常に熱があります」

通風の外に何をやりましたか。

「普通のさし薬くらいです」

普通のさし薬くらいと言うが、これが大変なのです。延髄を溶かしてこれをとって、気長にやっていればなおります。

「今度能登から両親が参り入信する事になっております。そうなったら正式に祀らしてやりたいと思いますが、子供と両方で祀っても宜しいのでございましょうか」

結構です。多いほど良いです。しかし今度祀るなら、家の中でなく外でなければいけません。

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「人造鼓膜をつけたままで御浄霊させていただいておりますが、鼓膜は完全になおるものでございましょうか」

鼓膜は取ってしまったのでしょう。

「取っております」

元どおり鼓膜の出来る人と出来ない人がありますが、それだけいじったものならまず駄目でしょう。鼓膜は破らなくても良いのです。つまり内耳に膿が溜まるので鼓膜を破って其処から膿を出すのですが、その方が手取り早いからやるのですが、それで駄目になるのです。

「有名な耳鼻咽喉科でいたしました」

その“有名な”というのが悪いのです。薮の方が良いのです。立派な大学という所でやったのは何病気でも駄目です。市中にある薮医者でやったのは大丈夫です。薮医者は若し間違ったら信用に関わるのでオッカナびっくりやって、これなら間違いないという事しかやりませんが、大学では間違ってもメシの食い上げにはならないから大丈夫というので、要するに研究のためにやっているのです。

「聞こえたり聞こえなかったりいたします」

鼓膜が残っているだけは聞こえますが、しかし三分の一残っているのもあるし、三分の二残っているのもあります。三分の二残っていれば大抵大丈夫です。残っている方が多ければ良いですが、あんまり取ったのは駄目です。

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「この度の総選挙で、あまりに汚たなかった解散の事もあり、棄権しようかと迷う事もありますが、信者として何の様にすべきでございましょうか」

その人の気持でやれば良いです。

「保守陣営では鳩山も吉田も改進党も五十歩百歩ですから、これを纏めて一つとし、あとは社会党の左派とすればいいと思いますが」

そうすればはっきりします。やっぱりアメリカ式の方が良いです。今の様な人物本位では分りません。だから党本位が一番良いのです。これなら誰でも分ります。アメリカの様に共和党と民主党というのなら確かです。日本は丁度フランスの様です。

「左派は共産党の様でございますが」

共産党です。だから鈴木茂三郎はソ連の支配下になれと言うのです。そうすれば再軍備の必要がないというのですが、それはそうでしょう。

「霊的には向うの方がはいっているのでございましょうか」

はいってます。だから結局においてアメリカにつくかソ連につくかのどっちかです。しかしソ連よりはアメリカの方が幸福です。われわれにしろ……今こういう世界では植民地にはなりませんが、ソ連は植民地という事を宣伝に使ってますが、アメリカの方が幸福です。

「それはソ連などにやられたら、日本には処女は居なくなります」

そうです。金持も処女も居なくなります。ところがそれが分っているから左派があるのです。処女の方はいやですが、処女でなくする方の側になれば面白いからです。

「勿論宣伝もあるでしょうが、中共の内部も良くはなっております様でございますが」

それは良い所もあります。だからソ連と中共は違います。どっちかというと中共はソ連を利用しているのです。毛沢東というのは、又上の人物です。だからソ連と中共は離れるという事は前に言った事があります。ただそれまで中共が持つかどうかという事ですが、おそらくアメリカにやっつけられて、中共というものは無くなるわけです。けれども毛沢東や周恩来は利巧ですから、クルッと変ってアメリカと手を握るかも分りません。そうして中国を民主政治にして、朝鮮を合併して、蒋介石には国民政府として一国を与えるという様に、そのくらい利巧ならちゃんと行きます。けれどもそうはなりません。何となれば支那のいろいろな罪穢れが大変で、この大掃除をしなければならないのです。

「蒋介石は写真の感じはあまり強くない様でございますが」

それは蒋介石は善人であって、悪党ではないからです。やっぱりみんな神様がやっているのです。つまり悪魔を使うわけではないが、結局悪魔のやる事を許してあるのです。なにしろ今に中国に世界救世教中国支部、或いは中国本部というのができます。それは北京と天津にできます。神様の方ではそれまでにすっかり掃除をされます。掃除というのは戦争でぶち壊す事です。それで朝鮮の南北を合併して、此処にも支部ができます。無論その時の首班者は決まっております。それで私は会って、時節を待てと話してあるのです。それはもう大したもので、神様の方ではすっかり準備してあります。人物を言うわけにはゆきません。知れると危ぶないですから……。それは信者になっているかも分りません。

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「十四才、七才、二才の三人の子供が居ります。家計は苦しいのですが、後妻を貰うまでは子供は人にやりたくないと言っているそうでございますが」

二才の子供はやりたくないというのですか。

「さようでございます。しかし信者の人になら差支えないと申して居りますが、如何でございましょうか」

それは信者でない方が良いでしょう。

「信者でない人は薬をのませるから、それが忍びないと言っております」

しかしすべて信者の中でどうこうという事は本当ではありません。そうするとやっぱり小乗的になってしまいます。或る一つのグループに固まってしまう事になります。それよりも拡がった方が良いのです。ですから信者でない人にやって、其処の家を信者にするというのが本当です。それもこれも事情によります。相手はまだ信者にはなっていないが、立派な人で将来神様の話が分る人だという様な所ならやっても良いです。ただ、何というか、虫が好かないというのは止した方が良いです。先方によります。信者と限らなくても良いのです。

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「四十一才の男、約十年前に入信しており、その前に蓄膿で手術し、その前より目の先に小さい豆粒の様な玉が両方に一つずつ黒い玉になって見えており、お道にはいり三年ほど続いておりましたが、最近は二、三寸くらいの蛇になって見えるそうでございます。手術の時の強い注射などの関係で現在鼻茸が出ております。これは霊的でございましょうか、薬毒のためでございましょうか」

目の見え方によります。目の玉にちょっと斑点の様な物があって、それで始終見える場合は、目の玉は何ともなくて、ただ単純に……。

「目の玉には何にもありません様です」

しかしそれは分りません。両方の目ですね。おそらく両方の目の奥です。手術をした時に薬毒が両方の目の奥に固まっているのです。蛇ははっきりしていないのでしょう。蛇と言っても決まって見えるものではありません。いろいろに変化します。

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「文政当時に先祖が稲荷を祀り、その屋敷は只今の家から半町の所で現在畑になっております。稲荷は元の屋敷に石の祠に祀ってあり、月に一回命日の様にして供物をしております。最近その畑をいじったりしますと手足が痺れます。如何いたしましたら宜しいでしょうか」

自分の家の屋敷に祀ってやるのです。そうさせるためにいろいろと知らせるのです。その場合石の祠ではいけません。木でなければいけません。外郭は石でも良いが、中のお宮は木でなければなりません。龍神は構わないが、お稲荷さんは嫌います。

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「漁師が一般に言っておりますが、子供が引きつけるのは満潮の時が一番激しい。それから潮の引く時にも引きつける。それ以外はやらないそうでございますが、どういう訳でございましょうか」

面白いですね。それは魚の怨みです。ですから何か小さな神社の様なものを作って良く祀ってやればいいです。それが本当なのです。

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「ミカンの自然栽培の場合枝の手入れは如何でしょうか」

今までどおりで良いです。

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「藁の代りにモミを入れるのは如何でしょうか」

モミは使ってはいけません。かえって成績が悪いです。私の本にモミを使えとは書いてないでしょう。

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「外姙娠にて手術し、筋腫ができているとて手術し、卵巣も喇叭管も取っております。子宮が片方だけありますので避姙法をして、子宮が無くなっているところに、上の方に腹膜を起し、それより姙娠し月経もあります。子宮の上の方は切ってあります」

というと何分の一かですね。避姙法というのは喇叭管をしばるのです。

「如何なものでございましょうか」

それは私にも確答はできません。何故と言って、それはお医者さんが天から授かったものを目茶苦茶にしたので、神様の方は完全に作ってあるのだから分りますが、それを医者の方でやったのだからはっきりした答えは分りません。できない事はないが、出来てもおそらく駄目でしょう。子宮がふくらまないから、或る程度で流産するでしょう。月経があるという事は、子宮まで血液が行く事は完全なのです。しかし月経があれば姙娠するには違いないが、ただ、姙娠しても子宮が完全でなければ子供はできません。姙娠すると子宮がふくれるが、ここに欠陥があるとふくれません。子宮は切り取れば元どおりにはなりません。切り取ったというのでは流産が多いから、姙娠しない事はないが、してもまず駄目だという事は間違いない話です。まあ諦めるのです。これは医者の被害者です。それをみんなに知らせるという事が大変なのです。ですから今助けつつあるのですが、これはやむを得ません。

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「糞尿は畑に捨てておりますが、畑が少ない所で場所がありませんので、藁灰は川に流しても宜しいでしょうか」

良いです。

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「苗代は陸苗代と水田苗代とはどちらが宜しいでしょうか」

畑に稲を作るのはいけません。

「水田の方が宜しいのでしょうか」

それが当り前です。水稲なら無論苗代もそうしなければならないです。

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「自然農法をやる上において技術という事は如何なものでございましょうか」

技術という事は良いですが、今までほどに技術に重きをおく必要はないのです。今までは良く出来ないし、良く分らないから、技術とか肥料、種の良い悪いを考えましたが、根本は肥料をやらない事で解決するから、あとは簡単で良いのです。当り前で良いのです。それからその土地によって違います。種をまくにも、早くまいて良い所と遅くまく所があります。それは其処の気候によります。暖かい所は早く、寒い所は遅くまきます。それから土も、火山灰の土があります。関東地方では昔富士が噴火した時の灰がありますから、そういう所は又違います。火山灰が多い所は畑が良いです。イモ類、大根、人参の様に根を食べる物は良いです。土が固まらないのです。それから普通の土によっても、赤土が一番固まりやすいのです。しかしそれも年々耕していると黒土になります。ですから赤土の所は最初から増収にはなりません。相当にこなして固まらない土にして行かなければならないのです。それから肥料を沢山やった土は自然農法にしてもなかなか効果が良くないから、そういうのは客土した方が良いです。そうすれば肥毒はないから良いです。そういう事も農民は間違った解釈をしています。この頃オレの所の田はばかにとれる様になった。あれは作物が肥料を吸いきってしまったので客土したからだ、というのです。それで客土すれば二、三年は大丈夫なのです。この客土をするという事で、“それには肥料が沢山あるから良いのだ、土の肥料分を吸ってしまったから駄目になったのだ”という事は、肥料迷信にかかっているからです。ところが実際は客土をすれば肥料分がないから良く出来るのです。こういう間違いがあります。それから種も、朝日何号とか農林何号と言っているが、これも肥料の少ない所の種が良いのです。だから無肥料にすれば最高の種が出来るから問題ではないのです。今度も書きましたが、信者の人の無肥料の種によるのが一番良いと言ってあるのです。農事試験場で今まで無肥料を試験しても出来ないので、駄目だと言っていますが、それは種が駄目だからです。だから一年二年やっても前より劣るに決まっているのです。そのために今まで無肥料というのは行われなかったのです。それは本当の事を知らないからです。

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「二毛作地帯でありまして、麦を作る関係で水が遅れて来ますので陸苗代をいたしておりますが、陸苗代で宜しいでしょうか」

嘘をやっているからです。

「別な所で苗代を作っても宜しいでしょうか」

そんな事をしなくても、二毛作を止(ヤ)めれば良いのです。

「一般がそういたしておりますので水が来ません」

それは何とか工夫するよりありません。

「そういう場合に井戸を掘りましては」

結構です。

「そういう場合に一毛作地帯で苗を作ってくる事は如何でしょうか」

いけません。苗はその土地で作るのです。つまり一つ作物を其処で作れば、だんだん作物を育てる様な肥料分が土から出て来るのです。そこで埼玉県の種を長野県に持って行くと良く出来ません。その種は埼玉県の土でうまく合う様になっているのです。そういう土の性分になっているのを、外に持って行くと、新規まきおなしになるから、できるだけ離れない方が良いのです。

「北海道の道南の方では苗代を畑に温床を作っておりますが、昨年は全部枯れてしまいました。如何いたしましたらよろしいでしょうか」

それはできない相談です。では日当りの良い所を見付けてやったら良いでしょう。そして北の方に風が当らない様に囲いをすれば大丈夫です。

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「ジャガイモは寒い所のが良いとか、高い所の土地から低い方に移した方が良いという事は、肥料の関係でございましょうか」

ジャガイモは寒い暖かいは関係ありません。それから北海道のが良いとしているが、それは北海道は広いので肥料が行き渡らないからです。

「最近は古くからやっております地方は駄目になっております」

「寒冷地帯の苗代で保温摂取苗代というので、水を少しかけておいて、苗をまいた上に油紙をかけておくと早く伸びるそうでございます」

それは良いです。油紙から肥料が出るわけではないから……。ジャガイモなどの自然栽培の物は美味いです。色が真白で、良い香りがしてます。

「ジャガイモは最初から増収して、倍、三倍となる様でございます」

そうです。

(垂十九号  昭和二十八年四月十五日)