総結論

私は此著述によって、先づ人間幸福の源泉たる健康の問題解決と、病無き世界建設の可能を説くと共に、貧乏及び争闘の絶滅をも説いたのである。而も右の由って来る根源は霊界に在り、霊界よりの解決こそ目的完遂の真諦である事の原理をも説示したのである。そうして出来るだけ理論を避け経験と実例とを基礎とした事によって、読者は或程度の概念を得、多少の希望と安心感を得られたであらう。

そうして此著述によっても明かなる如く、私の真目的は旧世界と新世界、つまり夜の世界の終りと昼の世界の開幕といふ空前の転換期に当って大方は滅ぶべき運命の下に置かれてゐる人類二十億を可能の限り救はんとする念願である事に対し、読者は満腔(マンコウ)の賛意を表さるるであらう。又私は医学革命以外、来るべき新世界に於て、人類の理想たる地上天国出現の為の設計的役割をも果さんとするものである。

右の意味に於て、私が提唱する言説と、その実行する処のものは科学にして科学に非ず、宗教にして、宗教に非ずして、実は科学でもあり宗教でもあると共に、政治にも経済にも教育にも道徳にも芸術にも関聯してゐるのである。それ等凡ゆる文化面が夜のそれであったものが、不用なるものは滅ぶべく、有用なるものは残存し、新たなる文化が近く生れんとする事を、私は予言するのである。最近一部に唱へらるる世界聯邦説も其一の顕はれであらう。

新世界に於ける宗教、政治、経済、教育、芸術等凡ゆる文化工作に関する私の新説は、やがて発表する考へである。勿論之等の事も医学と同様、前人未発的である事は言ふまでもない。地上天国建設といふが如き空前の事業に対しては、空前の構想が樹てられなければならないであらう。キリストは曰った。「天国は近づけり、悔改めよ」と、又釈尊は言った。「仏滅後、彌勒世界が出現する」等の予言こそは今や如実に生れんとして、其陣痛苦の中に全世界は置かれてゐるのである。

因みに、本著書は英文及び支那文訳も近く出版の予定である。

(天国の福音 昭和二十二年二月五日)