中村氏 教祖はアメリカにおいでになるお気持はありませんか……。
明主様 大統領が招待すれば行きます。
中村氏 先程のお話で、反駁するようですが、原爆患者を治しに教祖が行かれるのは勿体ないと……。
明主様 勿体ないというのではないのです。私は今個人々々を救う事はできないのです。つまり救う人間を作る仕事をしているのです。
中村氏 一寸、片手間においでになって、十分でも二十分でもという事は……。
明主様 そういう行動も神様次第です。行けないのに何処かに行こうとすると神様に止められます。
中村氏 では、管長さんとか阿部さんとか、他の人が行くという事は……。
明主様 こういう訳なのです。神様の方でその人間を救うという時には、こっちの方で誰かが行かなければならないような事になるのです。神様が凡てやっているのですから……。
中村氏 それでは、我々にはまだ“救え”という命令が来ないというわけになりますね……。
明主様 そうです。
中村氏 教祖以下、救世教の信者は神様の指令下に入っているわけですね……。
明主様 そうです。こっちは役者です。
中村氏 そうすると人間の権利という事を言いますが、神様の前では人権というのを滅しなければならないという事になりますね。
明主様 いや、神様の前では全然無です。神様は絶対ですから、こいつは邪魔だからと一寸ひねったら、それでおしまいです。人間ナンテ情ないものです。
中村氏 アメリカの大統領自身がどうにもならなくなった場合には、教祖さんを呼べば平和は解決するという事になりますわけですか……。
明主様 併しそれは簡単にはゆきません。そうなるとすると、私がアメリカに行けるような、時間的に余裕のあるような境遇になります。神様というのは決して無理がないのです。ですからそういった凡ての条件が揃ってから行くようになります。今はそういう条件が揃わないから駄目です。
中村氏 私の方の社で発表しまして、それによって大統領の招待がありましたら行かれますか……。
明主様 併し、あなたの方の社より神様の方が上です。又大統領にしても、名も知らない岡田という者を招待するという事は、有り得べからざる事です。
中村氏 我々に会われたのも、神様の……というわけですか……。
明主様 無論そうです。神様の方では、あなた方は素晴しい役目をされるわけです。
中村氏 いや、併し我々のボンクラ頭では紙の上にうまく表わせないかもしれませんが……。最後に現在の教祖御自身の生活に満足しておられますか……。
明主様 非常に感謝してます。私は世界で一番恵まれているでしょう。なにしろ、多くの人から感謝される気持というのは、実によい気持です。
中村氏 今日は我々も生まれて初めての経験でしたが、教祖も非常に御忙しい体と思いますが、我々ももう少し勉強させて頂きたいと思いますので、時々来させて頂きたいと思います。
明主様 とに角、あなた方ジャーナリストが分るという事が一番よいのです。そういう人達が分れば地上天国は直ぐ出来ます。とに角今の人間は、あなた方が書いたものの方が、宗教家の言ったものより信じますから、非常に結構です。
中村氏 長い間有難うございました。私も勉強して参りますが、又一つ御願い致します。
明主様 ええ、どうぞ。
(昭和二十九年八月四日)