谷川徹三氏との御対談(完) 玉器、銅器について

谷川氏 玉器はまだお買いになりませんね。私は今玉器に興味を持っていますが、玉器や銅器になると、漢以前でなければ弱くて駄目です。三国、漢の物を、殷や周の中に入れて見ていると、だんだんいやになります。焼物ですと漢のは強くて良いのですが、玉器とか銅器というのは漢までの物で、漢以後の物はまるで駄目です。銅器は戦国時代にもありましたが、漢以後の物は弱くなります。

明主様 全く銅器となると、漢以後は駄目ですね。私は、不思議に思うのは、周代に周銅などとあれほどの物ができたということです。

谷川氏 その前の殷、商でもそうです。殷の物でも立派なものですね。

明主様 立派ですね。ですから陶器でも、ほとんど銅器を写してますね。殷から周時代の文化というのは大変なものですね。

谷川氏 このことは私共も一番興味のあることです。結局銅器は、古代の宗教に結びついた祭器ですから、漢以後になると仏教がはいってますからね。ですから支那は、仏教がはいってからと、その前と区別します。仏教は北魏の時に盛んになったのです。

明主様 ですから魏には仏像の良いのがあるのですね。

谷川氏 日本の飛鳥ですね。そうして奈良朝は大体唐ですね。日本でも飛鳥の物というと強いですからね。

(昭和二十八年六月二十四日)