日置氏 では最後に一つ教主様の恋愛観を承ってみたいと思いますが、…どうかその事について……
近藤氏 熱海では色んなサンプルが一ぱいありましょうから、そんな事からでも。
明主様 併し今では爺さんですからね。兎に角恋愛は非常に良いです。あれは神が人間に与えられた大慈悲と言いますか、恩恵と言いますか、そんなものです。ただ恋愛もある程度に制限すれば結構ですが、その限界を突破するから悲劇が起るのです。ですから、限度を外さない様にすれば、恋愛は大いにやるべしです。(大笑され乍ら)しかし現界で止められるのは本当の恋愛ではないかも知れません。(一同大笑)
日置氏 確かにそうですね。
明主様 私は若い頃恋愛の極致と言いますか、情死の相談までにいったことがありますが、その時に情死する者はこういう心境だなと思った別の私があったのです。オレは経験した、これでいいというので、私の理性が力強く解決してしまったのです。その時私は“自分は偉い”と思ったのです。普通人ではできない。オレにして初めてできるのだと思ったのです。
日置氏 では徹底的に失恋でなく得恋ですね。
明主様 それまでは、心中する奴は馬鹿だなと思っていたのですが、これはオレは今まで考え違いしていた。馬鹿とは言えない。確かにこれから進めば危険だということが分ったのです。つまり恋愛哲学を極めましたね。
日置氏、近藤氏 では長い間いろいろと大変有難うございました。
(昭和二十七年十二月十日)