日置昌一氏との御対談 今にアメリカ一の美術館を作る

日置氏 話は変りますが一個の宗教家が美術館を作ると言う様なことは今までに余り聞きませんが、貴方の場合どう言う御動機で造られたのですか。

明主様 これは動機とは言えないかもしれませんが人間と言うものは始終生まれ変って来るのですが、私は聖徳太子に生まれたことがあるのです。大体日本で仏教を弘めたのが聖徳太子で、それは何でやったかと言えば美術によってやったのです。しかしあの時は日本だけですから、今度私は世界的に聖徳太子と同じことをやるのだと言っているのです。箱根の美術館というのはその最初なのです。二、三日前にアメリカに長く居る日本人ですが、その人が来て、「アメリカに私のところにある美術品を持って行って、是非巡回展覧会をしたらいいだろう」と言うので、私は「今にアメリカにも美術館を造る」と言ってやったのです。今アメリカにある美術館を相当調べてみましたが、私から見れば、ただ名ばかりのものです。私はアメリカ一のものを造ろうと思ってます。

日置氏 世間では僅かの間に巨万の富をつくられたことに対して疑問に思ってますが、金儲けの秘伝とでも申しますか、それは何でしょうか。

明主様 一番の根本は病気が治る事です。大病院や立派な医者にやって貰ってだんだん悪くなって死の間際まで来たのを、私の弟子が行って命を救われるからその感激は大変なものです。それで何をやるにも教団でやることには金を上げなければならない気持になるのです。それから搾取的なことはやってはいけないと常に言っています。御利益を戴いている人は金の御用を待っている位です。美術館も五千万円くらいかかりましたが、それも去年の十一月あたりに話して、できたのが今年六月です。それだけで全部できたのです。

日置氏 造幣局はメシヤ教の為にできている様なものですね。(大笑)

近藤氏 選挙前は代議士が金を借りに来ませんでしたか、よく聞くことですが自由党の吉田、鳩山が大分金に困って、両方とも子分をつくるのに金が要るので借りているという話ですが。

明主様 来ませんね。

日置氏 僕が代議士だったら、お伺いするかもしれませんね。

明主様 兎に角、私の方は世を救うという大きい仕事がありますので、金には苦しくて年中ピーピーしています。それから再来年は熱海に箱根のよりも大きい美術館を造るのですから、それについても色々買わなければならないから金の苦しさは大変です。その代り借金の催促の苦しさではありません。夫からこういう事がある。アメリカが最近とても日本の古美術品を欲しがっているのです。「これを貴方の方で買って呉れなければアメリカの方に売る」と言うので、これはどうしてもおさえなければならないというわけです。今月に入ってからも素晴しい仏像でそう言うのがありました。

松井氏 金森徳次郎(国立国会図書館長)さんがとても感謝しておりました。

明主様 そういう美術品を買わなければならないから大金が要ります。それで又いろいろこっちが経営しているものもありますからね。

阿部執事 必要な金だけは不思議に集りますからね。

松井氏 メシヤ教の信者から出た代議士が三人ありますが、これにも金はやってありません。明主様から浄霊して戴いて、これで大丈夫当選だというわけです。(大笑)

明主様 それですから私のところに来る人はみんな運が良くなるのです。

日置氏 近藤君、僕等も来ましょうかね。

明主様 徳川夢声さんも私の方に来る様になってから余計良くなったやうです。そういう訳で金は集りますが、出る金も大変ですよ。

近藤氏 国税庁が目を光らせるでしょうね。

明主様 しかし宗教法人ですからその点は良いです。宗教になりたての時分は、理解がゆかずにかなり税務署から目をつけられましたが、美術館を造ったりしたので、ああこれだなという事が分ったのでしょうか、今は全然ありません。それに美術館は関係方面でも大変好感をもたれています。

日置氏 文化への貢献ですからね。

明主様 博物館では予算が足りないので外国に流れる貴重な美術品も買えないというのです。それで、私の方で買って保存してくれるというので、実に国家の為になるというのです。それで文化財保護委員会も便宜を図って援助して呉れます。

(昭和二十七年十二月十日)