新しき暴力の著者小坂君は、古いジャーナリストで、其方面では知られている人だが、勿論信者ではない。私も以前から同君をよく知っているので、君が私の法難手記を読んで非常に感動され、独自の力で編輯出版し、世に出したいと言われたので、私も承諾したのである。出来上ったのをみると、著名人の所論も花を添え、仲々よく出来ているので、私も満足したのである。そうして最初私の序文を要望されたが、本は元々同氏の企画であって、私の発案のように思われるのもどうかと思って御断りしたのである。
処が右著書の出版後、小坂君が私を訪ねて参った際、私が度々公判廷に出たときの模様を話し、特に係官の非理な点に言及した処、同君より是非新しき暴力の附録として出したいとの希望があったので、此小冊子となった訳である。又此文を同著の序文の代りと思って貰えば結構である。
(昭和二十六年八月十日)