肋膜炎

肋膜炎は、医学でも言はれる如く、肺を包んでゐる膜と膜との間に水が溜るので、之が湿性肋膜炎と言ひ、膿が溜るのを化膿性肋膜炎と言ひ、何も溜らないのに膜と膜との間に間隙を生じ、触れ合って痛むのを乾性肋膜炎と言ふのである。一番多いのは湿性肋膜炎である。

湿性の原因は、勿論胸を強打したり、器械体操の如き手を挙げて、力を入れる等が原因となって発るのであるが、何の原因もなく偶然発る事もある。医学上にては打診の音と感じで判る事になってゐる。然し肉眼でも胸部、脇腹、背部の左右孰れか腫れがある。又は、触指すれば、患部に熱があるのでも判る。此病気である膜と膜との間隙に溜る水とは勿論尿であって、医療は穿孔して水を除るが、此方法は割合奏効する事もある。然し之も癖になり、慢性となり易いが、そうなると水が膿化し化膿性肋膜炎に転化する。又初めから膿の溜るのもあるが、何れにせよ慢性になり易く、大抵は穿口して其穴から毎日排膿させるのである。然し斯うなると仲々治り難く、重症となり殆んどは死は免れないが、此化膿性は薬毒多有者が多い事は勿論である。

湿性は最初高熱と胸の痛みで、深い呼吸をする程余計痛むが、反って水が多く溜ると無痛となるもので、之は膜の触れ合ひがなくなるからである。又尿の出も悪くなるのは勿論で、此病気の特異性は、眠い事と盗汗であるが、此盗汗は非常によいので、之は溜った水が皮膚を透して出るのであるから、放任しておけば出るだけ出て治るものである。之を知らない医学は盗汗を悪いとして停めようとするから治らなくなるので、如何に誤ってゐるかが判るであらう。此際最も悪いのは利尿剤である。最初は尿量を増し溜水も減少するので軽快に向ふが、或時期に至ると逆作用を起し、尿量減少して悪化する。又化膿性は膿が肺に浸潤して痰となって出るのであるから、之も自然にしておけばいいのである。

乾性肋膜炎は滅多にない病気で医診は肋間神経痛をよく間違へるやうであるが、之も簡単に治るものである。之は胸部の痛み、咳嗽、発熱等の症状で、医療は湿布、注射、服薬等で浄化を停止するから、一時は治癒したやうでも再三再発するものである。よく肋膜炎から肺結核になる人も多いが、之は肋膜の水や膿が肺へ浸潤し、安静其他の誤った手当の為、肺の中で固まって了ふ其為であるから、最初から何等手当もせず放任してをけば結核にはならないのである。

〔浄霊箇所〕
肩、背面腎臓部、肋膜部

肋膜炎(文明の創造 昭和二十七年)
肋膜炎及び肋間神経痛 肋膜炎(岡田先生療病術講義録 昭和十一年七月)
肋膜炎(医学試稿 昭和十四年)