寸鉄活人 (栄光百三十八号)

世の中の奴はみんな馬鹿ッ正直で、食うや食わずで苦しんでいやがるのに、俺の方は人の目を巧く誤魔化すので、賄賂の金はシコタマ入り、美味しいものは喰放題女は選り取り放題、酒は飲み放題というんだから、何と俺達は利口者じゃないか

エッヘン、ア丶いい気持だ。愉快々々といっていると、変な人間がドヤドヤと入り込んで来て、君一寸取調べたい事があるから、署迄来てくれ給えで、ダー

僕は人間を廃業したいね

廃業してどうするんだ

知れた事よ、コンど狐に生れ替って、馬鹿野郎共をコン限り躍らせ、正一位稲荷大明神に祀られ拝まれて、栄耀栄華の仕放題さ

コンな旨い話は、コンりんざい、ありっこねーよと威張っているから、コン畜生のコンコン狐め、コン棒でブン殴ってコンジョッ骨を叩き直してやるぞ

二十世紀の猿飛佐助を知っているか、ソラあれだよ、徳田以下ワンサワンサ

旗本退屈男じゃない、政党退屈男がアッチでもコッチでも、コクリコクリ居睡り、昼寝、鼻糞ホジリ、碁将棋、麻雀、ワイ本、議論、屁理屈、愚痴、泣言、借金の言い訳等々が日課とは、イヤハヤ、御気の毒でも何でもないよ

(栄光百三十八号 昭和二十七年一月九日)