寄生虫問題

人も知る如く寄生虫問題は、今日非常に喧ましく言われている。何しろ蛔虫保有者が日本人中、八○パーセント以上というのだから実に重大問題である。蛔虫保有者が余りに多い為、反って世人はあまり関心を有たないが、実際上蛔虫によって死亡する者も、近来少なくないという事である。普通蛔虫といえば数匹にすぎないが、人によっては数十匹乃至数百匹に上るものさへある。斯うなると恰度饂飩(ウドン)玉のようになっていて、内臓機関へ迄食い込んでゆくが、そうなると種々の苦痛が発する。而も人によっては其苦痛たるや、実に堪えられないものがある。

此原因は無論糞尿肥料によって、医学でも唱える如く蛔虫の卵が、野菜から人間の口を通じて胃に入り繁殖するのである。処が其他の蟯虫、十二指腸虫、疥癬虫、水虫等々何れも小虫の繁殖によるのであるが、医学では未だ病原不明とされているが、私の研究によれば、実は人為肥料の為で、直接の原因ではないが、人肥によって血液が濁るから小虫が湧くのである。此点パスツールの伝染説の誤れる事は、私は以前記いた事がある。

大体、人体に虫が湧くなどとは道理に合はないのである。成程、死人なら兎に角、生きている人間に虫が湧くなどとは、不合理も甚しいと言わねばならない。それは全く人間が天理に外れているからで、体内へ入れるべからざる不潔なものを入れ、血液を濁すからである。此意味に於て、人間は新鮮な空気を吸い、清浄な水を飲み、不純物のない土から生じたものを食し且薬剤の如き異物を成可用いないようにすれば、無病息災たる事は勿論で、寿齢も百歳以上は決して不可能ではないのである。

(自然農法解説 昭和二十六年一月十五日)