著述編

自観叢書

龍神の憑依

或六才になる女児、全然歩行が出来ない。片一方の手をつき乍ら、イザって歩くのである。脚をみれば全然力がなく、軟骨のようでニョロニョロしてゐる。私は龍神の憑依と思ったので、脚を主に治療した処、半年位で全く治癒したので、その龍神を庭へ小さな池を掘...
自観叢書

間違ひ信仰

斯ういう面白い事があった。私が一番最初の弟子であった山室某なるものに、昭和六年麹町五丁目の或裏へ一軒の家を借り、治療所を開始さした事がある。そこへ近所の風呂屋の親父が脚が悪いので治療に来た処、非常によくなって今少しで治るという時、バッタリ来...
自観叢書

霊的肺患

私は先年、私の妻が突然発熱、咳嗽、血痰等の肺患三期位の症状を起したので、早速私が治療したが、頗る効果が薄い。二三日経ても症状は一進一退である。そこで、之は霊的ではないかと想ったので、憑依霊の有無を査べてみた所、果してそうであった。その憑依霊...
自観叢書

死人に鞭つ

之も矢張り私の妻が胃痙攣を起した時の事、胃部の激痛の為ノタ打廻るのである。早速私は胃部に向って治療を加えた処、痛みは緩和されたが全く去らない。然るに痛みの個所は一寸位の円形で、漸次上方へ向って進行しつつ咽喉部辺に来たと思ふや、妻は、「モウ駄...
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天理教

此事柄は、他宗を非難する事になるのでかきたくはないが、何かの参考になると思うからかくのである。之は大本教時代の事であったが、私が小間物問屋をしてゐる時に使った蒔絵師で、熊井某という男があった。之は熱心な天理教信徒であって、支部長となる事にな...
自観叢書

或婦人の話

此婦人は当時廿五六歳位の人妻であったが実に不思議な病気で、サンザ医療を尽したが治らない。その原因はといえば、結婚後三年間に二人の子供を産み、其後間もなく自分はジフテリヤに罹り注射を受けた処、薬が強過ぎた為か一週間位人事不省に陥った。それから...
自観叢書

宗教となる迄

治療をやめたのは十五年末で、それから十九年春まで、重に治療師養成に専念した。処が世の中は戦時色が段々濃厚になり、十六年十二月八日逾よ火蓋を切る事になったが、東京は無論爆撃の為焼土と化する事は、以前から判ってゐたので、前以て信者にも注意を与へ...
自観叢書

運命の転換

私は前項に述べだ如く、昭和十五年十二月一日愈よ治療をやめ、いはば一個の浪人となったのである。それは寧ろ霊的にみて、一段階上った事になるので内心は喜ばしく思ったのである。というのはそれまで治療という極限されたいはば、第一線に於る体当り的兵隊の...
自観叢書

三度目のブタ箱入り

前項に述べた如く、復活した私は一年有余の空白を埋めようとして一生懸命治療に励んだ。すると三年目の昭和十五年十一月又々玉川警察へ召喚された。其時は物々しく警官二名が附添ひ自動車で警察へ送り込まれた。私は何事かと思ったが、署へ入るや主任らしい者...
自観叢書

豚箱入り

忘れもしない、昭和十一年八月四日の事であった。突如埼玉県大宮警察から呼出し状が来た。翌五日其頃玉川上野毛の今の五六七教会集会所になってゐる私の住宅から警察へ赴いたのである。其訳は斯うである、当時、大日本観音教会(創立は昭和九年十月)の会長を...