誠の有る無し

誠のあるなしを最も簡単に知る方法を書いてみよう。

誠のある人は何よりも約束を重んじよく守る事である。単に約束を守る守らないだけでは世人は大した事とは思はないが、実を言うとなかなかそうではない。即ち約束を守らないという事は人を偽った事になるから一種の罪悪を犯した事になる。

約束の中でも一番軽視し勝ちなのは時間である。時間の約束をしておき乍ら守らない事をよく考えてみるがいい。即ち先方は当にして待ってゐるのでその退屈や焦心はなかなか苦痛である。諺に曰ふ「待たるる身になるとも待つ身になるな」といふ事でも判る如く、待ってゐる人の心持を察すべきで、其心が湧かないのは誠がないからである。とすれば外の事は如何に良くても何にもならない事になる。

従而神の信者たる者は約束の厳守、時間の励行を疎かにしてならない。もしその実行が出来ないとすれば、先づ信仰の落第生である。信者たるものよろしく肝に銘じて忘れてはならないのである。

(光新聞四十七号 昭和二十五年一月二十八日)