寄生虫問題

九月二十五日朝日新聞紙上『回虫恐るべし』と題し左の記事があった

二十一日から寄生虫予防週間が始まってゐる。戦後の悪条件が重なって今や腹中に虫を飼ってない日本人は珍しい。わけても回虫の繁殖ぶりはまさに空前で寄生虫病予防法による大まかな報告でみると、昭和二十二年度の寄生虫保卵率(%)は
北海道 五二・五(三八・三)
青森  八九・一(六六・五)
群馬  九五・一
東京  四八・七(二六・七)
山梨  九八・○(六四・七)
静岡  七八・七(五四・○)
大阪  六六・八(五七・六)
広島  八一・四(五一・四)
鹿児島 九二・九(五六・五)
となり、カッコ内の昭和十三年度の数字に比べて如何にふえたか判る。

米軍第四○六綜合医学研究所の精細な調査によると、昨年九月から十一月の間の寄生虫保卵率(%)は
埼玉 九一・六
茨城 九三・四
千葉 八七・○

回虫は
埼玉 七四・二
茨城 六六・四
千葉 五五・八


十二指腸虫は
埼玉 三三・五
茨城 五九・○
千葉 四五・七
もあり、肝臓ジストマ、日本住血吸虫もそれぞれ数%発見されてゐる。

従来農村専門だった回虫が、最近は都会にまで進出。さらに従来一人二三匹を出なかった腹の虫が昨今は十数匹から百数十匹、ひどいのは二百三百と大量飼育者がふえて来た。こうなると顔色が悪いとか、食欲不振の騒ぎではなく、腹痛はおろか肝臓肺臓をくい破られ、しまいには腸につまって人間を殺す。最近どこの病院にも死後解剖して、やっと回虫のしわざと判明した例が二つ三つ必ずあるようだ。

以上の事実によってみても、本教が奨励しつつある無肥料栽培が、如何に虫害撲滅の福音であるかが判るであらう。

(光新聞三十三号 昭和二十四年十月二十九日)