迷信と科学

迷信は何から生れるかというと、実は科学からだといったら世人は吃驚するだろう。それは斯ういう訳である。

現代人は何でも科学で解決が出来るように思っている。而も高等学府を出たものほど、最もそう信じている。ところが実社会にブツかってみると、学校で習った事とあまりにも食違う事で、事実学理ではどうにもならない、と覚り科学以外にそれ以上の何かを求めようとする。

そればかりではない、思わぬ災が来る事もあり、之なら大丈夫と思ってやった事が反対の結果を招く事さえある。実に世の中は割り切れない事だらけだ、という訳で、一種の失望と前途不安に襲われない者は殆んどあるまい。こんな訳でインテリ人が、人に知れないよう極内密で、何々判断や人相、手相、神憑り行者の御託宣等を受けに行くものが、案外多いという事である。

以上述べた事によってみても、最初述べたように、科学で解決されない事が余りに多い結果、迷信に走るという結果になるのであるから、全く迷信は科学が作るといっても、否とはいえないであろう。

(光新聞二十八号 昭和二十四年九月二十四日)