巻頭言

救世教も発足以来、各般に渉って着々活躍の基礎も出来つつあり、やがては一大飛躍の時が来ると思って、社員一同益々信仰に徹すべく精進しつつあるのである。

熟々世界の状勢を客観するに、米ソの二大勢力の確執は日を追ふて益々深刻になりつつあり、何時如何なる地点に爆発が起るや、何人と雖も予断は出来ないであらう。然し吾々信仰者としては唯神意に任せるのみで、一切の出来事は、神が世界経綸上の必要による事であって、人間の憶測は無益というより外はない。而も原爆時代となった今日、もはや戦争とはいえない。破滅行動でしかない。とすれば神の大愛はそのような悲惨な場面が必至とは考えられない。何等か意想外の救済手段が現はれるかも知れないとも想像されない事もない。

右は現在の世界観であるが、飜って日本を見る時、国民挙って平和日本再建に努力すべきに拘はらず、朝野おしなべて真剣味が欠けてゐるとしか思はれない。特に政治家は自党の利害のみに汲々として、国利民福に対し甚だ熱が乏しいように見えるのは吾等のみではあるまい。又唯物教育の結果、民衆は見えざる神の実在を信じない結果、大、中、小の犯罪の激増、忌はしき事件はあまりにも多い事で、実にまざまざと地獄世界を見せられてゐるとしか思はれない。

本教のモットーとする天国化運動こそ、今日の世相に対し緊切な問題はないであらう。本紙に於ても此線に添ひ、救世の大業に奮進してやまないものである。

(地上天国十四号 昭和二十五年三月二十日)