結核解決策

現代医学によって結核を解決せんとし、凡ゆる施策と、熱心な努力を払ひつつあるに係はらず、その事が反って結核を増加する結果となるといふ理由に就ては詳細述べたつもりである。然らば、現下の大問題である結核を、如何にして解決すべきやといふ事を説明しなければならない。

それに就て私は二十数年の間、西洋医学と全然異なる立場に於て、非常なる努力研鑽の結果結核の正体を突止めると共に、治病率九十パーセントといふ、寔に空前ともいふべき治療方法の創見に成功したのである。故に現在私の門弟である本治療専門業者及び非専門業者を併せ、無慮数千人のものが、日夜結核及び其他の治療に専念しつつ、素晴しい成果を挙げてゐる事である、そうして結核二期までの患者はその殆んどが全治し、第三期以後の症状とすれば、先づ七十パーセント位の治癒率であるから、平均して九十パーセントは確かであらう。

右に就て、最も意外とする所は、医療を長く加へた患者、即ち薬毒多量の保有者及び長期間の絶対安静者ほど治癒率が悪いのである。従而、此事によってみても、医療及び絶対安静療法が如何に誤ってゐるかが知るのである。故に此事実を以てすれば、医学の進歩とは、治る進歩ではなく治さない進歩と言ひ得るのである。即ち再三述べた如く自然生理作用ともいふべき浄化作用を停止する事を以て、唯一の方法としてゐる今日迄の医学の進歩であったからである。故に西洋医学を対症療法といふが、全くその言の如くで表はれたる症状のみを消滅せんと研究しつつ、畢に現在ある如き各種の療法となったのである。

故に、近来達識ある医家は、現代医学は病気を治す事を知って、病人を治す事を知らないといふが、全く至言である。即ち一局部の病気症状のみに拘泥して全体を無視してゐるといふ訳である。

又医家に於て余病発生といふ事をよく曰ふが、之は実は理屈が合はないのである。何となれば、本来の病気を治療し乍ら、それの治癒しない中(ウチ)に、更に又新しい病気が発生するといふ道理はない筈である。之によってみても病気を治癒する目的の医療は、病気を殖やすといふ結果にならざるを得ないのである。

然るに、右の如き浄化停止の方法に反し、私の創成した医術に於ては、自然発生の浄化力を何倍にも強化する方法である。即ち自然に於ける浄化力に対し本治療を加へる時、三倍五倍乃至十倍にも達するのである。従而苦痛も何分の一に減じ、治癒迄の日数も勿論何分の一に軽減するのである。そうして医学に於ては、皮下にある膿一滴と雖も、肉を切り、血液を消耗し、痛苦を与へなければ排泄する事は不可能であるに反し、本医術に於ては、外部から患部に些かも触れず、何等の苦痛も与へないで、短時間にその目的を達し得るのである。一例を挙げれば、盲腸炎の如きは三十分以内位に痛苦は去り、解熱せしむるのである。そうして再発の憂なきまでに根本的に治癒させるには、其後数回の施術によって目的を達し得るのである。而も医学の手術に於ては、全治後と雖も必ず多少の残膿があるが、本医術による全治者は残膿等がなく、完全に治癒するのであるから、他の疾患に対する効果も推して知るべきである。右を一言にしていへば、医学は固むるのを目的とし、本医術は溶かすのを目的とするのであるから、其根本に於て相反するのである。

最後に私は断言する。それは本医術によってのみ結核問題の解決は可能であるといふ事を!

(結核の正体 昭和十八年十一月二十三日)