自然栽培は花でもこの通り

右の写真は今度私の庭に栽培した約二百本のチューリップの中から、四本だけ枝が出た。その中の一本を写したのである。以前から私はチューリップが好きで度々作っているが、枝が出たのは今度が初めてなので驚いたのである。勿論今までに見た事も聞いた事もないからで、しかも花は普通よりも二倍大で、色も非常に好く、赤色で水の滴るような鮮かさなので、珍らしいと思った。これは信者の人が一昨年植えて呉れたもので、昨年は普通の花であったが、今年は俄然として右のような花が咲いたので、全く昨年は球根に肥毒が残っていたからで、それが二年目の今年肥毒が大いに減った為であろう。従って来年は一層好い花が咲くに違いないと、今から期待している訳である。しかも堆肥も使わず、土ばかりでこの成績なので自然栽培の威力は花卉類でも同様である事が分る。これによってみても種子の肥毒は早く抜け、土の肥毒の方が暇がかかる事が分るのである。従って水田なども肥毒の多い土は、客土した方がいい訳である。

そうして寸法を計ってみたら上の花は丈が 三寸直径 三寸九分 下の花は同二寸四分同四寸一分 茎の長さ 二尺一寸五分

(栄光二百九号 昭和二十八年五月二十日)