医学断片集(三十一) 逆栄養

栄養といって近頃ビタミンを多く使用するようになったのは、医学の無智とは言い乍ら困ったものである。いつもいう通りビタミンでもどんな栄養剤でも飲めば飲む程、反って体力を弱らすばかりである。というのは体内の機能は、必要な栄養は何でも自ら製造するように出来ているからである。従って栄養剤を飲めば機能の働く余地がないから、退化するのは当然である。という訳で美味くもないものに高い金を遣って健康を不良にするのであるから、その馬鹿々々しさはお話にならないのである。

この意味に於て造物主は、人間を養うに足るだけの食物を適当に与えられている以上、その味わいを楽しみつつ食っていれば、それで充分栄養は摂れるので、栄養学などという間違った学問が無くなるとしたら人間はどんなに助かるか分らないのである。

(栄光二百七号 昭和二十八年五月六日)