医学断片集(二十三) 神経とは

御医者さんは病原が分らない場合“其の苦痛は貴方の神経の為です”といって済ましているが、よく考えてみると之位可笑しな話はないと思う。というのは何等の原因もないのに、神経の為苦痛を感ずるとしたら、其の神経こそ病気に罹っているのだから神経を治すのが本当の医学ではないか、それを知ってか知らないでか、相も変らず言っているのだから、恐れ入った話である。此の様な理屈に合わない事を聞かされても看破る事も出来ず、有難がっているのであるから、現代人は全く可哀想なものである。

右はお医者さんにはチト耳が痛いだろうが、本当の理屈と思うからかいてみたのである。

(栄光百八十五号 昭和二十七年十二月三日)