医学断片集(十六) 眼にゴミが入る

よく眼にゴミが入ったり、何かで傷ついた場合、放っておけば必ず自然に治るもので、何等心配の必要はないのである。処がそれを知らない一般人は、早速御医者へ行くが、御医者も亦全然無知であるから、薬を点けるので、其薬毒が僅かな傷口からでも沁み込んで治らなくなり、此為飛んでもない眼病になって了い、長く苦しむ人が沢山ある。又石鹸が沁みて、一時痛んだり赤くなったりするが、之も放っておけば簡単に治るものを、医療を受けて態々眼病を作り、稀には失明する人さえあるのだから恐ろしいのである。

斯うみてくると、医療が如何に不幸の原因を作っているかは勿論であるが、今それを知らした処で、信ずる者は殆んどあるまいから、今の世は全く哀れなる仔羊の集りといってよかろう。

(栄光百六十六号 昭和二十七年七月二十三日)