自然農法の驚異

自然農法の成績報告は、其後ボツボツ集ったので、此前程全面的ではないが、纏まっただけを以て再び特輯号を作ることにしたので、勿論その悉くが実行者自身の手になったものであるから、絶対的信を措いて差支えないのである。之に就て思い出されるのは、本年二月の自然栽培特輯号を出した時は、国務大臣、両院議員、新聞社を始め、全国の農事関係方面へ一万数千部を配布したので、相当の反響があるだろうと期待していたが、成程少しは問合せ等、幾何かの反響はあるにはあったが、仲々目が覚めないと見え、農村は相変らず人肥、金肥に憂身をやつしている始末である。とはいうものの、何しろ長い間の根強い肥料迷信に罹っている以上、早急に転換する事は困難であるから、吾々の努力も並大抵ではないのである、とは思うものの、多くの人の中には兎も角試験的に行ってみる位の人は相当あるであろう事も想像されるのである。

そうして今回の報告中、下に掲げた成績の如きは、実に驚異的で、之を読んだなら如何に疑い深い人でも、実行せずには居れないと思うのである。としたら現在国家の最大の悩みである主食問題が、肥料代も要らず、手数も省け、病虫害からも解放されるとしたら、恐らく之程素晴しい福音はないであろうから、一日も早く実行に移らん事を痛切に勧める次第である。言うまでもなく、当局者を始め農業に関係ある限りの諸君に云いたいのは、一切の既成観念から脱却し、断乎として、一日も早く我自然農法を採用されん事を、重ねて勧告するのである。

(栄光百六十三号 昭和二十七年七月二日)