医学断片集(十一) 歯の痛み

今日歯の痛みに就て、最も多い原因は何かというと、虫歯の空洞をセメントや、アマルガムを詰める場合、必ず消毒をするが、之が悪いのである。というのは消毒薬が時日を経ると、腐敗して一種の毒素となり、其毒素が排除されようとして歯根に滲透し、骨へ穴を穿け、肉を破って出ようとする。其激痛を歯医者は歯根膜炎というのである。

とすれば絶対消毒薬を用いなければ、何を詰めても、決して痛む事はないのである。としたら消毒薬ではない。増毒薬と思えばいいので、之を一般の歯医者に知らせたいと思うが、何よりも試してみればよく分るであろう。

(栄光百五十九号 昭和二十七年六月四日)