医学断片集(九) 便秘の誤解

よく医学では、便秘は健康に害があるように云ったり、病気によっては原因を便秘にする事がよくあるが、之は本当の病原が分らないからである。処が便秘は何等健康には影響はないもので、安心して可なりである。そうして前にもかいた事があるが、滑稽なのは子供の病気によっては原因を便秘の為、自家中毒が起ったからと言うが、実に馬鹿々々しいにも程がある。之は便が溢れて全身に廻るように思う為であろうが、そんな事は決してない。便通がなければ、便は糞袋の中に段々固まるだけである。右のような訳で、下剤や浣腸で無理に出させるが、此方が反って悪いのである。何となれば排便機能を退化させる事になり、反って常習便秘者となるからである。

(栄光百五十六号 昭和二十七年五月十四日)