結核新薬を嗤う

最近アメリカに於てリミフォン(イソニコチン酸、ハイドラジット)という新薬が発明され、之によると人体の結核菌は短期間に悉く死滅し、忽ち病気は快くなると云い、今や世界的に評判になっているやうだが、尤もまだ試験中で、発表は本年六月頃との事であるから、若し其言う通りであるとしたら、救世主の如く騒がれるであろうが、それは一時的で、時の経つにつれて消えて了うのは、今迄の新薬の例に徴しても分るであろう。之に就て吾々が確信を以て断言出来るのは、今後どんな立派な新薬が出来ても、無論一時的で、結局は駄目になると言っても間違いはあるまい。としたらどんな人でも信じられまいから其理由を詳しくかいてみるが、之を読んだら誰でも成程と肯くに違いなかろう。

抑々現代医学者の考え方は、結核菌さえ殺して了えば、それで解決するものと思っている其浅見である。尤も之は根本を知らないから致し方ないが、茲でよく考えてみて貰いたい事は、結核菌と雖も天から降ったものでも地から湧いたものでもない以上、必ず何等かの理由によって、何処からか湧いたものに違いないが、医学は其点を知る程に進歩していないので、其為如何に無益な努力を払ってゐるか分らない程である。処が吾々の方は疾(トウ)に根本的原理が分っているから、此根本を教えたいのである。

先づ人間なるものは、いつもいう通り見える体と見えざる霊との二要素から成立っているもので、之は万有の真理であって、之に洩るるものは一つもない。例えば天地、陰陽、昼夜、火水、日月、明暗等々悉くそうである。従って人体とても同様で、病気なるものは初め霊に曇りが生ずる。曇りとは透明体である霊身が、不透明になる事である。勿論目にも見えない以上、科学では到底分り得ないが、之を科学的にいっても超微粒子が本質で、空気よりも層一層稀薄な原素である。処が人体は不断に自然浄化作用が行われているから、それによって曇りは漸次圧縮されつつ濃度化し、部分的に凝結する。勿論此本質も水素の密合体で、恰度大空の雲の如きものである。それが極度に到るや、茲に一種のバクテリヤが発生する。之は無機質植物性の如きものであって、此バクテリヤが時の進むに従い、生育すると共に有機体に変化する。即ち之が黴菌の卵で、此卵が漸次生長して一個の生物となる。之が黴菌であって、最早顕微鏡で見得る程度になるのである。彼のヴィールスとは右の如き黴菌の卵であるから、何れは親となり病原となるのは、医学でも認めている通りである。

此理によって、仮令黴菌を殺し尽したとしても、それは結果の解消でしかないから、後から後から無限に生産される以上、病気は根治とはならないのである。従ってどうしても発生源である曇りの解消こそ根本的解決法であってみれば、それ以外方法のない事は分り切った話である。此理によって殺菌法は一時的効果で、結局無意味であるのは余りにも明かである。処が本教浄霊とは病原である曇りの解消方法であるから、之こそ真の医学である。従って現在の如き唯物医学を如何に研究したとしても、徒労以外の何物でもないのである。という訳で私は此真理を一日も早く全世界の医学者に分らせ、覚醒させたい念願である。

(栄光百五十号 昭和二十七年四月二日)