昨今BCG問題が喧しくなって来て、言論機関も旺んに論議されており、医家の間でも賛否両論に分れていて、仲々決著はつかないようである。そうして此問題の起りというのは、先頃米国ミネソタ大学の教授マイヤース博士が、BCGの有害無益論を、八月十八日発行の米国医学協会雑誌に掲載されてあった処、折も折日本に於ても武見太郎博士が文芸春秋四月号に、結核撲滅対策を撲滅せよとの題下に、BCGの効果に疑問ありとし、法によって強制するのは不可なりという意見を発表したので、それらに刺戟されてか、最近に至って橋本厚相が、同薬の効果は未だ不確実な点あり、充分確定する迄接種は見合した方がいいとの主旨を発表した事から、俄然波紋を捲き起し、政治問題なども絡んで、面倒臭くなったようである。
之に就て私としての見地から、些か批判を加えてみるが、之は事改めていう程の事もないが、BCGに限らずどんな薬でも効果は一時的で、時が経てば必ず薬害が表われる。というのは私の持論であって、今度の問題などもそれである。勿論吾々にはよく分っているが、科学者としたら実に不可解千万と思うであろう。というのは此薬は、昨今使用しはじめたものではない。既に二三十年も前から旺んに使用されて来たに拘わらず、今迄は別段何事もなかったに拘わらず、思いもかけぬ今度のような事が起ったので、本来なれば何よりも此原因を究明しなければならないが、それも無理であろう。何故なれば、此原因は科学の分野には属していないからであって、其證拠には今以て決定しない為、今度の問題が起ったのである。というのは真の原因は霊的であるから科学的智識では分りようがないので、今茲にかく処の私の説明を見た処で、科学者から見れば先ず一種の珍説か、迷信的ドグマにしか思えないであろう。処が吾々から見れば此人達こそ、立派な科学迷信に陥っているからである。
偖て之から真の原因を明かにしてみるが、それは斯うである。私は以前かいた事もあるが、長い間の夜の世界が愈々昼の世界に転換する事となったので、霊界に於ては太陽の精である火素が増え、浄化力は日一日と旺盛になって来たので、以前は薬で固め得たものも、今日では固まり得なくなった為で、それが今度の問題の原因である。其様な訳で今後時日を経るにつれて、段々固まらなくなり、何れは医師自身が凡ての医薬に疑問を起す事となり、結局薬害の恐るべき事がハッキリ分って、遂には医学の再出発という事になるであろうし、此処で初めて眼を他の面に向ける事となる結果、本教の浄霊療法こそ真の医学としての真価が判り、医学の大革正となり軈(ヤガ)ては世界医学界に一大センセーションを捲き起すのは、時の問題でしかあるまい。従って今度の問題も、其時機の接近の示唆でなくて何であろう。
(栄光百三十号 昭和二十六年十一月十四日)