大光明世界の建設 救主と贖罪主

世間往々、救主と贖罪主とを混同してゐる。然し、実際は、天と地程の相違がある。

贖罪主とは、罪の贖ひ主である。彼のナザレの聖者イエスが、世界万民の、罪の贖ひの為に、十字架にかかったのは之であった。之こそ、大いなる贖罪主であった、贖罪とは、罪人の代理又は代表者となって主神に対し奉り、罪の赦しを乞ふのである。故に、言ひ換えれば、謝罪主であり、赦される側である。

それに引替へ、救主とは、贖罪者が、赦しを乞ふのに対し、其罪を赦す権威者である。然し、今日迄、贖罪者としては、大小幾人もの聖者が出たが、未(イマ)だ、赦し主たる、救主は、出現されなかったのである。其点を充分識ってをかなければならない。

(観音運動 昭和十年九月十五日)