今度、多くの自然農法の報告を見るとどうも藁に頼りすぎる傾きがある。本当をいふと、別段藁をやらなくても、増収に変りはないのである。只寒冷地などで土が冷へる場合、温める為に藁を使ふのである。そして藁は出来るだけ細かく切る方がよい。長いと根伸びを妨げるからである。どうも今迄の肥料迷信が抜け切れず、藁の成分に肥料があるやうに思ふやうだが、そんな事は決してない。いつもいふ通り、土自体が肥料の塊りのやうなものであるから、土を重視し、土の機能を充分発揮させるやうにすればいいのである。
(栄光八十三号 昭和二十五年十二月二十日)