私の目をひいた絵

唯今度の院展で兎も角私の目をひいた絵が一つあった。それは小倉遊亀女の瓶花の図である。ガーデニヤの八重三輪を眼目とし、呉須赤絵の瓶にさし、二三の他の花を遇った、そのポーズも色彩も賞めてよかろう。特に余白を淡墨でぼかし、静物を引立たせた意図は心憎い程である。以上私が見たままの感想である。

(栄光七十号 昭和二十五年九月二十日)