一一、歯槽膿漏及顔面麻痺

近来、多い病気として歯槽膿漏がある。之も医学では未だ原因不明とされてゐるが、私の研究によれば、根本は腎臓からである。腎臓から発生した尿毒が肩部に集溜し、尚進んで頸部淋巴腺附近に移行する。それが浄化作用によって、歯齦(ハグキ)から滲出排泄されようとするのである。其際血液も混るが、それは尿毒が血液中に混入して排泄せらるるのである。私が治療の際、腎臓、肩部、淋巴腺部及び頬、歯齦の周囲等を外部から治療するに於て、悉くの患者を全治したのにみて、明かである。歯槽膿漏の為、歯齦が緩み、ブラブラすると抜歯するが、之も非常な誤りである。そうして歯科医は、歯に原因があるやうに思ふが之は逆であって、歯は関係がないのである。歯が緩むのは、歯根に毒素が集溜したからである。故に、歯槽膿漏を治癒するには、毎朝毛の硬い楊子で歯齦を摩擦し、血膿を出来るだけ排泄させれば必ず治癒するのである。又昔の人が行ったやうに指の腹へ塩をつけて歯齦を磨くのも同一の効果があるのである。

次に、顔面神経麻痺といふ病気がある。之は口脣の左右孰れかが引吊り、又は眼が引吊り眼球が飛出すやうなのがあり、実に容貌醜怪にして、重症は視るに堪へぬものがある。然し放任しておけば 大抵は数十日又は数ケ月にして治癒するものである。然るに此際医療は電気療法を行ふが、之は悪いのである。何となれば此病気の原因は、顔面の一部又は数ケ所に毒素が溜結し、筋肉の屈伸を不能にするのであるから、電気療法は毒素をより固結させるからである。然乍ら、自然療法によれば右の毒素は緩慢なる浄化作用によって鼻汁、喀痰、目脂等によって排泄され、治癒するのである。又、顔面神経痛といって、顔面の左右孰れかが痛むのがある。然し、之もその痛む個所に溜結した毒素が、浄化作用を起すのであるから、自然療法によっても治るのである。

(明日の医術 第二篇 昭和十七年九月二十八日)