第二篇 病気 病気とは何ぞや

此事は、数千年来、人類が此悩みを解決せんとして如何に努力したであらふ事は、余りにも明白な事である。そうして我国に於ても千余年前、漢方医術が渡来し、次いで明治少し以前、西洋医学が渡来し、今日に至ってゐる事も周知の事実である。そうして、政府も国民も協力しつつ、此西洋医学によって病気を治癒せしめ、之によって体位の向上を計らんとしつつ、日夜懸命の努力を計りつつある現状は、洵に敬服すべき事と思ふのである。そして、その結果や奈何(イカン)。あらゆる病気は日に月に増加し、特に青少年の結核、虚弱児童の累進的増加の事実は、何を物語ってゐるのであらうか?。それは兎に角として当局は、此現実をみて、愈よ増々西洋医学の理論と方法によって解決せんと躍起となってゐる状態は、日々の新聞雑誌等によって誰人も知りつつある事実である。人或は曰はん、当局の施設は、漸くその緒に就いたのみにて、今後に於て、漸次的に良策を挙げるのである。然乍ら、私は断言する。西洋医学による理論と方法を以て解決せんとすればする程、結果は逆となり、倍々悪い結果を来す事は火を睹るよりは瞭かである。何となれば、近年、急激の国民体位低下はその原因が、何処にあるか-といふ事が明かでなければ駄目である。一切は原因によって結果が生ずるのであるから、その原因を極め得ずして、末梢的結果をのの捉へても何の効がないのみか、此事に関する限り、逆結果を来すのは致方ないのである。私は、此大問題に就て、長年月努力研究の結果、驚歎すべき一大事実を発見したのである。

(医学試稿 昭和十四年)