脚気とバセドー氏病

脚気も日本人特有の病気で、原因は医学で唱ふる如く、白米中毒である事は間違ひない。故に療法としては糠を、食後茶を飲む時、普通匙に一杯位服用すれば、大抵は一週間位にて全治する。又副食物を多く摂る事も効果がある。昔から脚気は坊ちゃんやお嬢さんにはないが、小僧や下女に多いといふ事実が證拠立ててゐる。然し乍ら注意すべき事は、医診に於ける脚気はその殆んどが誤診である。それは医診は脚気の麻痺又は歩行に支障ある時、すべて脚気と断定する事である。然るに真症脚気の特徴としては膝下前面内側、俗に向ふ脛の反対側と掌の拇指の付根及び下唇の三個所の麻痺である事を知っておくべきである。誤診に因る擬似脚気は、原因は腎臓の余剰尿及び注射の薬毒等である。本施術によれば真症脚気は二三回、擬似脚気も数回にて全治するのである。

バセドー氏病は、医学上甲状腺の疾病とされてゐる。即ち咽喉前面外部が腫脹するのであるが、軽症は軽微な咳嗽と其部の不快感位で、人により気の付かない場合もある。重症は強烈なる咳嗽、吐痰又は白色の小粒物や泡沫等の液を排泄する。此病気の特徴としては眼球の飛出す事である。末期に到るに従ひ、心臓障碍を起し、脈搏不正、呼吸困難、食欲減退等に陥り、衰弱死に到るのであって本医術によればよく全治する。又此病気は婦人に多き為、姙娠の場合、医家は危険ありとなし、人工流産を行ふが、私の経験によれば危険等は更になく、正常に出産するのである。

(天国の福音 昭和二十二年二月五日)