近来日本人に最も多い病気として近視眼がある。医学上治療困難とされてをり、原因も適確には判ってゐないやうであるが、之は延髄附近に集溜せる毒結が、眼の栄養としての血液送流管たる血管を圧迫する事によって、眼が栄養不良に陥る為である。そうして眼鏡を用ふる為、眼の力が漸次弱り眼鏡中毒となる。従而近視眼を治癒するには、毒結溶解と共に眼鏡廃止が根本である。然し眼鏡は急に廃める訳にはゆかないから、漸次的に度を低めればいい訳である。勿論本医術による時、軽症は半年位、重症も二三年位にて完全に治癒するのである。
トラホーム及び濾胞性結膜炎は何れも眼そのものではなく、瞼の裏面にボツボツが出来るのである。即ちトラホームは上眼瞼でボツボツが大きく、濾胞性は下眼瞼でボツボツが小さいのである。そうして前者は治癒稍々困難であり、後者は容易である。医学に於てはトラホームは手術を可とするが、事実は最も不可であって、手術によるも決して根治はしない。否寧ろ悪化を招来するのである。何となれば手術後一時的良果はあるが必ず再発する。故に復(マタ)手術するといふ訳で漸次悪性となり、手の付けられないやうになるものである。数回以上の受手術者に至っては眼球著しく充血し絶えず漏膿、開眼困難、激痛等を伴ひ苦悩甚だしく到底正視に堪へぬものがあると共に、手術の如何に恐るべきかを知るのである。トラホームは放任しておくも治癒するが本施術による時迅速に根治するのである。濾胞性結膜炎は自然治癒するもので、医療を加へればそれだけ時日が延びるのである。
次に多い眼病としては血膜炎がある。一名血眼ともハヤリ眼とも称し、眼球紅潮を呈し、眼脂、涙等が絶えず溢れ出る。原因は前額部に滞溜する毒素が浄化溶解し、眼球から排泄されようとするので放任しておくも順調に治癒する。而も治癒後は頭脳快適となるが、医療を施せば薬毒によって増悪し、視力障碍をさへ起す例も尠くないのである。
眼星も多い眼疾である。之等も毒素が眼球へ集溜、瞳孔面へ固結するのである。いはば瞳孔面に小さな腫物が出来る訳で放任しておけば治癒するのである。然るに、医家又は世人は必ず点眼薬を施す為膿が固結し、非常に治り難くなる。私の経験上全然点薬しない患者は二三回にて大抵治癒するが、点眼を多くした患者程治癒に長時日を要するのである。
右の外種々の眼疾は何れも浄化の為の毒素が眼球から排泄されようとして集溜することが原因である以上、その毒素を排泄する事によって治癒するので、其方法としては本医術による外ないのである。
次に最も恐れられてゐる眼病に底翳(ソコヒ)がある。之は白底翳、青底翳、黒底翳の三種があって何れも眼底に毒素集溜固結するのである。その毒素とは白底翳は白い膿、青底翳は青い膿、黒底翳は黒い毒血であって、黒底翳が最も重症とされてゐる。医療に於ては充分の毒素溜結を待って眼球を剔出(テキシュツ)、眼底部の着毒を払拭し、再び原処(モト)に復させ、手術治癒後特殊の眼鏡を用ひる方法を執るのである。その結果は丁度強度の近視眼位の視力であるが、それで満足するより致し方ない。然し乍ら今迄全然盲目であったものが兎も角幾分の視力が復するから患者の歓喜と共に、医家も医学の進歩に随喜するのであるが、本医術の見地より観る時、右は完全治癒とは言ひ難く次善的方法でしかない訳である。然るに本医術による時完全に治癒するのである。但だ薬毒の多寡によって治癒の速度に長短があり、最も困難なるは彼の六百六号の薬毒に因る底翳であるが、この底翳は片眼が多いのである。
次に鳥眼と称する夜盲症及び医学上不治とされてゐる色盲は、その原因が霊的であるから、その項目に譲る事とする。然し乍ら眼病の大方は本医術によれば全治するのである。又悲しくもないのに涙の出る人があるが之は点眼薬が時日を経て変化し涙となって出るのであるから放任すれば必ず治癒する。此症状を医診では涙嚢(ルイノウ)の故障とするが、之も甚だしい誤説である。
次に眼に就て知っておかねばならぬ事がある。それは眼球充血の場合紅色を呈するが、之は血液ではなく膿であって、眼に限り白色の膿が眼球に集溜する場合紅色を呈するが、膿排泄に従ひ紅色は消滅するのである。
(天国の福音 昭和二十二年二月五日)